ネタバレ小説を読み慣れているような人であれば、推理小説的なロジックを読み解くよりも前に、物語の構造的に犯人はこいつしかいないことは、おそらく上巻でわかると思う。作者もその当たりは織り込み済みだろう。 敢えて言えば「自己成就予言」の部分が、推理小説としてのトリックなのかもしれない。 それにしても小鳩くんも小佐内さんも、なんというかこう､人が悪い。そこが面白いところでもあるんだけど。ただし、ただの互恵関係よりもお互いが相手のことを自分にとって必要な人、と認識したところは、ちょっと前進かな。

ネタバレ小説を読み慣れているような人であれば、推理小説的なロジックを読み解くよりも前に、物語の構造的に犯人はこいつしかいないことは、おそらく上巻でわかると思う。作者もその当たりは織り込み済みだろう。 敢えて言えば「自己成就予言」の部分が、推理小説としてのトリックなのかもしれない。 それにしても小鳩くんも小佐内さんも、なんというかこう､人が悪い。そこが面白いところでもあるんだけど。ただし、ただの互恵関係よりもお互いが相手のことを自分にとって必要な人、と認識したところは、ちょっと前進かな。

ネタバレこの話は２年の秋から３年の秋にかけての１年間の話なので、どんどん時間が進む。基本的に上巻では小鳩くんと小佐内さんが直接会話を交わすことはないので、これまでの２作品とは雰囲気が違った感じ。小佐内さんがますます暗躍する黒幕っぽいなっているのだが……。そして小鳩くん、恋人の下の名前を忘れるわ、二股かけられているという情報に「一切必要ない」と言い切る感性はなかなかすごい。基本的に付き合っている相手のことを、どうとも思っていないことがよく判る。まったく小市民ぽくないのは小鳩くんも同じだな。さて、下巻を読もう。