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2025年1月の読書メーターまとめ

スミス市松
読んだ本
3
読んだページ
816ページ
感想・レビュー
3
ナイス
33ナイス

2025年1月に読んだ本
3

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

スミス市松
伝承の古層から生じうる幻想的な現象を日常的な尺度で捉えていく語りの姿勢が好ましい。その手法は往時の南米文学を思い起こさせるものだが、本書を読み終えて物語から離れれば、読者の現実へのまなざしが幾許か豊かになり、それはわれわれの〈日常〉に立ち向かう力にもなるのではないだろうか。良作だと思う。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
3

スミス市松
だから人は物語を求める。
が「ナイス!」と言っています。
スミス市松
嘘をつき続けて押し通した者が称賛されたり、実物や実感以上を示して人を騙したり、競い合うように盛って人の上に立とうとしたりする、そんなことがまかり通る世の中だからこそ、罪の意識やトラウマや自らの情けなさを忘れることなく背負いながら生き抜き、「過去を未来につなぐ」ために書いてきたティム・オブライエンの作品を読む必要性はますます高まっている。本著では作家のキャリアや彼の作品中の様々な技法に注目しつつ、その文学を「戦争文学」から「生存者の文学」「平和文学」へと捉え直している。貴重な評論だった。
スミス市松
2025/01/03 16:13

②オブライエンの「正直であろうとする文章。命を削るような思いで書かれた文章」に向き合い続けた、著者の真摯な筆致が胸を打つ。また構成も素晴らしく、まず読者は著者の評論を通じてオブライエンの志向性や彼の想像域がインプットされ、その上で巻末に収録されたインタビューを読み始めることになる。すると、まさに自分も著者とともにオブライエンに会いに行くような感覚が生じるのである。感慨深かった。

スミス市松
2025/01/03 16:14

③「結局、戦争の話とは人間についての話なのだ」と『ディスパッチズ』のマイケル・ハーは語っている(オブライエンは「本当の戦争の話というのは戦争についての話ではない。絶対に。」とも)。だから逆に言えば、これだけ数々の戦争が起き続け情報として届けられ多くの人が語るようになったこの時代において、人間についての話が語られていなければそれは戦争の話にはなりえないのだということを教えてくれる。そこは肝に銘じたい。

が「ナイス!」と言っています。
スミス市松
伝承の古層から生じうる幻想的な現象を日常的な尺度で捉えていく語りの姿勢が好ましい。その手法は往時の南米文学を思い起こさせるものだが、本書を読み終えて物語から離れれば、読者の現実へのまなざしが幾許か豊かになり、それはわれわれの〈日常〉に立ち向かう力にもなるのではないだろうか。良作だと思う。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/04/14(5788日経過)
記録初日
2006/03/31(6898日経過)
読んだ本
786冊(1日平均0.11冊)
読んだページ
228450ページ(1日平均33ページ)
感想・レビュー
564件(投稿率71.8%)
本棚
55棚
性別
年齢
37歳
血液型
O型
現住所
東京都
外部サイト
URL/ブログ
http://video.akahoshitakuya.com/u/75559
自己紹介

いちおう心の中でマッピングみたいなのをしているつもりです。
が、どういうつもりで読んでいるのか自分でもまったくわかりません。

皆様の読書のご参考になれば幸いです。

【Most Impressive Book 2024】
★川崎祐『光景』(赤々舎、2019年)

【MIB Back Number】
〈2023〉該当なし
〈2022〉該当なし
〈2021〉エドゥアール・グリッサン『第四世紀』
〈2020〉中西夏之『大括弧』
〈2019〉トマス・ピンチョン『重力の虹』
〈2018〉エドゥアール・グリッサン『〈関係〉の詩学』
〈2017〉ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙 他十篇』
〈2016〉ハーマン・メルヴィル『白鯨』
〈2015〉管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
〈2014〉ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』
〈2013〉リチャード・パワーズ『舞踏会へ向かう三人の農夫』
〈2012〉中上建次『地の果て 至上の時』
〈2011〉岡真理『アラブ、祈りとしての文学』
〈2010〉ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』
〈2009〉ティム・オブライエン『ニュークリア・エイジ』

【2025年の目標】
読んだ本の感想を書きたい。

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