自然の中での描写が多く、人物が少なめでもクドくならないのは作者の筆力の良さからか、現在と過去を交えて徐々に隠された背景が明らかになる構成は巧いなあ。誰もが完璧でなく、どっちに立場を置くかで登場人物に対する賛否が分かれそうだが、完璧なヒーローでないことで作品のリアルさが増したか。巻末の著書インタビューにページを割いていたのが意外だったが、なかなか興味深い内容だった。今ならGPS経由でネット環境を用意できれば森の奥でも暮らし易いのかもと妄想。。

先週金曜休みを取り八王子の夢美術館へムットーニの展覧会へ行ってきた。幻想的からくりシアターが多数見れて夢の様な時間を過ごせた。過去に文学モチーフな「猫街」「山月記」に感嘆したが、今回は中原中也「サーカス」を見て『ゆあーん　ゆよーん　ゆやゆよん』の揺らぎ、サーカス小屋・ブランコ・落下傘をからくりで鑑賞できて心も揺らぎました。中也の詩はリズム感がラッパーぽく読みやすい、ぶきっちょな人目線の叫びを感じる様な印象。

自然の中での描写が多く、人物が少なめでもクドくならないのは作者の筆力の良さからか、現在と過去を交えて徐々に隠された背景が明らかになる構成は巧いなあ。誰もが完璧でなく、どっちに立場を置くかで登場人物に対する賛否が分かれそうだが、完璧なヒーローでないことで作品のリアルさが増したか。巻末の著書インタビューにページを割いていたのが意外だったが、なかなか興味深い内容だった。今ならGPS経由でネット環境を用意できれば森の奥でも暮らし易いのかもと妄想。。

平日金曜休みを取り、行き難い美術館へ電車で乗り継ぎながら読み終える。作中でエクストラの街を彷徨うあたりを読んでいたら、現実でも乗り継ぎを誤り元来た経由駅に戻ったときには驚いた。。時間の感覚、過去現在未来と連なっていて街を巡りまた戻る、開けている様で近所にある様な世界観が心地よい。最近チェーン店が目立つ街並みが増えているが、老舗な店は代替わりが上手く進んで長く続いて欲しいなあ。。