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2024年12月の読書メーターまとめ

ジャッカル佐崎
読んだ本
22
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6529ページ
感想・レビュー
14
ナイス
50ナイス

2024年12月に読んだ本
22

2024年12月のお気に入られ登録
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  • magurit

2024年12月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ジャッカル佐崎
北沢陶、背筋、恩田陸は角川ホラー文庫初登場(のはず)。「アイソレーテッド・サークル」「追われる男」「猫のいる風景」など、シンプルかつソリッドな筋立ての中に技巧を凝らした作品が目立つが、6作すべて、‟ちょっといい話”への着地を許さない直球ホラーであると同時に、作者の「らしさ」も存分に味わえる力作ぞろいだと思う。「主役級にこわおもしろい」とは言い得て妙である。シリーズ3冊のベストを上げるとすれば本書の「お家さん」がトップ。「函」「ココノエ南新町店の真実」「龍狩人に祝福を」もよかった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年12月の感想・レビュー一覧
14

ジャッカル佐崎
もとが歌舞伎の脚本ゆえか、セリフの占める比重が大きめ。ぜひ頭の中でセリフを黙読しながら読んでほしい。クライマックス前の展開を冒頭のエピソード「死人花」に持ってくる粋な構成、幽霊騒動を理屈でズバズバ切っていく痛快さ、非道を尽くした悪徳奉行や悪徳商人が成敗されるカタルシス、「そんなにも?」と呆気に取られるほどの‟縁”が明かされるラストの展開、どこを取っても隙のない大安心の1冊。著者の「百鬼夜行」シリーズに登場する京極堂こと中禅寺秋彦の曽祖父・中禪寺洲齋が活躍する話だが、前知識はまったく必要ない。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
霊感があることを「普通」という前提で描かれているため、いわゆる「実話怪談」とはまた異なるテイストである。「夜遊び好き……らしい」などは短いながらも印象深く、「土着の神」っぽさが微笑ましいほど。本書の中でも拾い物。ただ、『船玉さま』では作者の主観が出過ぎないよう気を配られていたのだが、本書の「引越物語」以降のエピソードはどうもその辺のバランス感覚が欠けているように感じる。どうも後半はのめり込めなかったというのが正直な感想。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
サスペンスな雰囲気だった前作に比べるとバイオホラーとしての読みごたえが増しており、アポピスの文字通り「恐るべき」習性も印象深い。相変わらず地味ではあるが誠実さと柔軟さを持ち合わせる坂口、なぜか坂口と同居することになったチャラといったレギュラー陣も好ましい。犠牲者の派手な死にっぷりに反して全体的に小粒というか、外連味に欠けるイメージは拭えないものの素直に楽しめる1冊である。話としてはきれいに完結した感があるが、ある人物の行動が最後まで不可解だったことを考えると、まだ何か続きがありそうな雰囲気
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
北沢陶、背筋、恩田陸は角川ホラー文庫初登場(のはず)。「アイソレーテッド・サークル」「追われる男」「猫のいる風景」など、シンプルかつソリッドな筋立ての中に技巧を凝らした作品が目立つが、6作すべて、‟ちょっといい話”への着地を許さない直球ホラーであると同時に、作者の「らしさ」も存分に味わえる力作ぞろいだと思う。「主役級にこわおもしろい」とは言い得て妙である。シリーズ3冊のベストを上げるとすれば本書の「お家さん」がトップ。「函」「ココノエ南新町店の真実」「龍狩人に祝福を」もよかった。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
主人公・坂口は地味な高年齢男性で、妻がいなければ洗濯機の使い方も米の炊き方もわからないという仕事人間。なんとも華のないキャラクターだが、読み進めていくうちにだんだん魅力を増していく。全人類存亡の危機になりかねない状況で重責を負う羽目になり、苦悩しつつも己に出来ることを果たすため奮闘する坂口。持ち前の知識と研究心、海谷や大学関係者たちのサポートで真犯人とウイルスの行方を追い詰めていき、年を感じさせないアクションシーンも披露したりする。黒幕の行動も目的も二時間ドラマ的なスケールだが、素直に楽しめる一作。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
お嬢様な有沙、活動的な融、ボクっ娘の菜つみというキャラ立てはいいのだが、この3人の間で交わされる会話がすさまじく、どこでどう取材したのかと思わせるほど。理解しがたいテンションで繰り広げられるダジャレやギャグの応酬もヤバいが、「キャピピ」、「キャポポ!?」、「ギャッピー!」、「キャパでキャピでミラクル!」など、死にかけのポケモンみたいなセリフを乱発する菜つみは特に酷い。中盤以降、怪しげな旅館に到着し、温泉でのサービスシーンを経てからの怒涛の展開はそれなりに面白い。
ジャッカル佐崎
人間に舐められても意に介せず、悠久の時を生きながらも幼さが抜けきらない健気さと図太さを持つ皐月のキャラクターがとにかく可愛らしい。マイペースが過ぎる。端々で描かれる妖たちの生活のリアリティも雰囲気たっぷりで、文章のひとつひとつが味わい深い和風ファンタジーである。…と同時にシビアな描写も多く、ほっこり系とは言い難い作風でもある。人も、妖も、もっとタチの悪い何かも、神だか仙人だかわからん存在も、すべてひっくるめて成り立っているこの世界そのものに愛着が湧いてしまうシリーズだ。
ジャッカル佐崎
様々な人々の協力を得ながら、恵平が真実に近づいていく様は相変わらず読みごたえがあり、人情系の警察ドラマとスリリングな猟奇犯罪サスペンスの調和ぶりはさすがである。いくつかの謎は最後に明かされる「真犯人」の感情的な行動によるものだったりするのだが、真犯人の心情にかなり寄り添った展開なのでアンフェアさは感じない。冷酷無惨なバラバラ殺人、猟奇的な加害者と哀れな被害者。その‟おもて”と‟うら”が反転したとき、パズルのピースはかちりとはまる。よい構成だと思う。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
ネタバレクトゥルフ神話の1作。蘇った女王とその眷属の冒涜的なビジュアルは素晴らしく、おなじみの触手系とはまた違ったグロテスクさがある。後半はハイテクビルを舞台に、ホラー映画さながらのアクションが展開。杏里がいくらなんでもタフ過ぎて『バイオハザード』を観ているかのような気にさせられるが、むろん本作のほうが早い。ラストの絶望感も含め、単なるドンパチものの怪物退治アクションになっていないのが好印象。あとがきで著者が「原点回帰」を謳っているだけはあり、新時代のクトルゥフ神話としては満点。
が「ナイス!」と言っています。
ジャッカル佐崎
「曰くあり気な村に伝わる秘宝」というオカルトミステリのお約束ネタ、夏のお楽しみサークル旅行と並行して描かれる表題作が実に楽しい。えげつない人間の業を描く事件ばかりではあるが、全体を通して「謎の美女(正体は男)と付き合ってると誤解されてギクシャクする森司とこよみ」というこれまたベタ過ぎるラブコメ展開があり、これらの要素がお互いを邪魔しあっていないのという奇跡のバランス。毎巻同じことを言っているような気がするが、これでマンネリ感を感じさせないのも作者の手腕である。
ジャッカル佐崎
本書に収められている怪談には「死んだはずの人が実は…」みたいなベタなものも少なからずあるが、それぞれの語り口は雰囲気じゅうぶんで、リアルな「百物語」の追体験としては完璧である。参加者それぞれが10話ほどを語ることになるが、ターンが進むにつれておなじみの登場人物やエピソードが出てきたりして、人となりが見えてくるのが興味深い。九十一話以降は「最後のとっておき」とばかりに、一気に怖面白い話ばかりとなるので感心してしまった。やっぱラストはイイ話取っておきたいよね。
ジャッカル佐崎
前作に比べるとだいぶ読みやすい気はするのだが、その一方で癖が薄まってしまい、ごく普通のオカルトミステリになってしまった。主人公たちが直接関係しないところで勝手に事件が起きて勝手に解決しており、全体的に物足りない印象が強い。「オレは天才だ! イ~ヒッヒッヒッヒ!!」みたいなサイコパス黒幕もまったく魅力がないままぼんやりと退場してしまう。リヒトが魔女調伏するまでもなく、ほとんど自滅したようなモンである。魔女ウンチクも少ないし魔女自体も存在感がないし、ホラーとしてもキャラノベルとしてもイマイチ。うーん。
ジャッカル佐崎
解説には「必ず4度ダマされる。驚愕必至!」などと大仰に書かれ、叙述トリックがあることをバラしているようなものだ。それでいて本作の叙述トリックは非常にわかりやすく、不自然な描写や言い回しが目立つため簡単にネタが割れてしまう。二段目、三段目と進むごとに新事実が明らかになり、話の前提が崩れていくのは面白いが、これは単なる後出しであって「必ずダマされる」云々とはまた別の話である。四段目で描かれる‟四段式狂気”自体はなかなかイイ感じにホラーしているのだが、これも読者の推理と期待を裏切るようなものではない。
ジャッカル佐崎
行方不明になった母の足取りを追いつつ、「泣き女」にまつわる怪奇事件を調査する…というのが大筋だが、この怪異がかなり怖い。泣き女に魅入られた幼児と、子供を愛しつつも怪異に耐えられない母親が描かれる第一話。老人たちが残された居場所を守るために凶行に走る第二話。娘の死により崩壊へ向かう家庭を描く第三話。そして驚愕の事実が明らかになる第四話…。中でも第二話の老人たちは救いがなく、この類いの‟厭さ”が味わえる小説にはなかなかお目にかかれない。トータルで見れば爽やかな成長物語だが、ガチ目の恐怖もしっかり描かれた良作。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/03/19(4679日経過)
記録初日
2012/03/19(4679日経過)
読んだ本
5267冊(1日平均1.13冊)
読んだページ
917432ページ(1日平均196ページ)
感想・レビュー
865件(投稿率16.4%)
本棚
1棚
性別
職業
自営業
現住所
東京都
URL/ブログ
https://khorror.midnightmeattrain.com/
自己紹介

ブログ「角川ホラー文庫全部読む」を運営中。ツイッターでは「タマネギを切る時は、目に重曹をすり込むとよい」「汚れたカルマを取り除くには、こちらのリンク先から行ける無料診断を受けてみるとよい」等の嘘ライフハックを日々発信しています。

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