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2025年8月の読書メーターまとめ

桜もち 太郎
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2025年8月に読んだ本
30

2025年8月のお気に入られ登録
2

  • カンちゃん
  • 夢蔵

2025年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

桜もち 太郎
アナザーストーリーが長すぎて読みつかれた。同じことの繰り返しも多かったかな。お笑い芸人の天童が不倫の末、SNSからのバッシングをうけ自殺をする。もう一人は1980年代に活躍し、暴言テープの流出により姿を消した美月。昔も今も形は違うが「赤の他人の人生ならおもちゃにしても構わない」って人間の精神性は変わらないのかな。普段は普通の顔をして正義面を見せている人間が、ネットの中に入ると人が変わる。これからの世の中どうなっているんだろう。何だろうこの閉塞感は。どんな単位でも同じことが言える今の現状にうんざりする。
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2025年8月にナイスが最も多かったつぶやき

桜もち 太郎

当然のように出てくる言葉は「暑い」。この夏、気合いで乗り切るしかありませんが気合い不足です。お互い身体には気を付けたいですね。7月、印象に残った一冊は、金原ひとみ著「マザーアウトロウ」でした。2025年7月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:3632ページ ナイス数:514ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/223491/summary/monthly/2025/7

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2025年8月の感想・レビュー一覧
30

桜もち 太郎
長年連れ添ってきた夫との死別。未亡人の三人組、辰子、美土里、美子、未亡人の会を作る。主人公は美土里。悲しみに暮れる毎日、あるときは娘夫婦とすれ違い、一人暮らしの美土里は老いること死ぬことを考える。死んだ人間の魂はどこへ行くのだろう。良かったのは、夫の初盆をどうするのか。寺の檀家ではないので、僧侶はいない。ネットで派遣型僧侶がいるらしい、お経の音源を貸し出してくれるところもあるらしい。しかし彼らが選んだのは「妙法蓮華経 如来寿量品第十六」を自分たちで練習して執り行うところ。作者の宗教観が出ていてよかった。→
桜もち 太郎
2025/08/31 18:26

→考えてみると人間みな平等、僧侶も檀家も上下はない。自分たちで経を読んで供養する事って、一番死んだ人が喜ぶことではないか。最近では墓じまいとかいろいろな問題がある。そういうことを考えると、時代の変化とともに仏事も変わっていってもいいと思う。自分の時はどうしようかと考える時がきているのかな。

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桜もち 太郎
アナザーストーリーが長すぎて読みつかれた。同じことの繰り返しも多かったかな。お笑い芸人の天童が不倫の末、SNSからのバッシングをうけ自殺をする。もう一人は1980年代に活躍し、暴言テープの流出により姿を消した美月。昔も今も形は違うが「赤の他人の人生ならおもちゃにしても構わない」って人間の精神性は変わらないのかな。普段は普通の顔をして正義面を見せている人間が、ネットの中に入ると人が変わる。これからの世の中どうなっているんだろう。何だろうこの閉塞感は。どんな単位でも同じことが言える今の現状にうんざりする。
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桜もち 太郎
生まれると同時に母親を亡くしたアル。自分の母親はどこにいるのか。父親はママはシンガーで世界を回っていると嘘をつく。この嘘がこの物語を一層悲しいものにし、アルにとっては残酷な日々を送ることになる。アルに見える二人の幽霊、ダダとエラソーニの二人の紳士。彼ら二人がアルに寄り添うように諭していく。「悲しい動物なのさ、人間は」人間は忘れる生き物だ。「そうじゃないと人間は過去に支配されて、未来を求めなくなってしまうからな」と。少年の未来。大人になる日は近いのかな。作者が南果歩さんと夫婦だったころの物語。ピュアだった。
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桜もち 太郎
「ヲチ」が面白かった。SNS上で見栄を張ったり、痛い投稿をする人を裏でウォッチするのが「ヲチ」。主人公は、ある程度の社会的地位につき、イケてる男に入る若者。しかし一対一の遊びになるとコミュ障に陥ってしまう。気まずくなるのだ。それはマッチングで知り合った女性とのデートでも出てしまう。その微妙な心の影がうまく表現されていて、もしかして自分にも当てはまるのかなと感じてしまった。彼の場合、偶然ヲチしてた人を発見し、脅され無理やり登山させられることで克服できたのかな。もうひと作品の「ファン・アート」もよかった。
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桜もち 太郎
「幸せってそもそも何だったっけ?」で始まる本書。自分自身本当の幸せが何かということをあまり理解していない。作者と同じ人生の最後に向かって帳尻合わせをしている年代としては、すがる思いで読んだところがある。がしかし今の自分には何故か刺さらない。なぜだろう。幸せの定義って人それぞれの価値観だし、作家だからといって、書いてあることすべてが正しいとは言えない。そう「幸せはオーダーメード」なんだよね。だから正解はないんだろうなと感じた。「死ぬときに振り返ったらどうせ全部が、幸せ」そう思うと死に甲斐もあるというものだ。
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桜もち 太郎
彼女の本は全て読んできた。そして最後に書かれたこの一冊。一番はじめに読むべきだった。エッセイとかではある程度分かったつもりでいたが、ここまで根の深いものだったとは。高校時代の保健室登校、作家としてある程度名が売れたところでの断筆。「相手ルール」と「自分ルール」、価値観をひっくり返してしまってこんなに苦しんでいたなんて。思春期にうけた傷はそう簡単には消すことができない。自分の経験からも言える。学校という所は変で、傷つけられた側に適応を求められる。やっぱり変だ。よしもとばななの著書「彼女について」からの一節→
桜もち 太郎
2025/08/26 16:28

→『君の幸せだけが、君に起きたいろんなことに対する復讐なんだ』、心に留めておこう。幸せって何?って聞かれても答えられないけれど。あとは2008年12月号の「小説新潮」が残っている。当時物議を醸しだした豊島さんが作家をやめた本当の理由が書かれている。メルカリで購入。もうすぐ届く。

桜もち 太郎
2025/08/27 15:09

小説新潮を読む。「休業の理由」とのエッセイだ。直接的な言及は避けていた。「読まれるために書くのではなく、書きたくて書いたものが、結果的に読まれるようにならないかどうか」とあった。本当に書きたいことへのエネルギーがなくなったのかな。最後に「次に小説に戻る時には、ちゃんと読者の顔を見ていたい。そうして、できれば、小説を書くためにいる小説家でありたいと思う」で締めくくった。いつかはきっととファンとして思わずにはいられない。

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桜もち 太郎
文庫本のあとがきで、単行本を大幅に改稿したとあったので、ようやく手に入れた単行本で読んでみた。どこがどうとかは、忘れてしまっていたが、5作品ともあらためて味わいがあった。中編の「日傘のお兄さん」が特に印象的。幼いころ仲良く遊んでくれたお兄さんがロリコンだった。そんな彼と14歳になったなっちゃんの逃避行。行先は昔遊んだ旧家の庭。物語の発想、周りの騒ぎと二人だけの静かな時間の対比。そして結末もさすがとしか言いようがない。文庫本にはなかった「猫のように」の40歳の男の話が短いが秀逸。→
桜もち 太郎
2025/08/24 17:52

→若いころから群れるのがイヤで一人で生きてきた重ちゃん。ソープランドのリコだけが自分をわかってくれている。しかし彼女には彼氏がいて玉砕。「ちょっと淋しくても、それまでは自由気ままにのらりくらり。猫だ。猫みたいにさ」って最後の言葉なんだけど、死ぬまで猫みたいに生きていたいって、悲しいけれど何となく男として気持ちがわかる気がした。全編満足の一冊。それにしても豊島ミホさんの復活を願っているのは自分だけだろうか。もう書かないのか、書けないのかどっちなんだろう。淋しいよなぁ・・・。

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桜もち 太郎
常緑町を舞台にした3つの中編・短篇集。 爬虫類ペットショップに勤める男の話。生徒からいびられる新人女教師の話。占い師の話。「スタンドプレイ」に出てくる悪ガキ生徒。彼女が書く生徒の憎たらしいことといったらない。グイグイ攻めてくる。先生だって病むこともある。どの作品も最後は読者にゆだねられるところがあり、ミステリアスさも残している。「逸脱」が一つのテーマになっているのかな。デビュー作から5年経って出された本で直木賞候補作にもなっているが、受賞者なし。デビュー作ほどのめりこむことはなかった。第3弾に期待しよう。
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桜もち 太郎
めっちゃ面白かったし考えさせられた。地方の高校に在学する主人公の広一と美術教師・二木先生との物語。広一は幼いころから普通ではない、ズレた感覚の中で生きている。二木先生は社会的には受け入れることができない性的趣向の持ち主。二人とも生きづらさを抱えており、互いの秘密を共有している。物語は二人の駆け引きで進むが、終盤は一変。自分的に許せない男・吉田の登場。陰湿なやり口で広一と二木を攻めていく。悪の根源みたいな男に対して二人のとった行動は、これしかないという展開。読みながら怒りと二人に対する応援の気持ちが渦巻く→
桜もち 太郎
2025/08/22 20:56

→もし自分が彼らのような立場だったらどうするか、そう考えるから怒りがわくし、感情移入するんだな。自分本位上等だね。初読みの作家のデビュー作。今後追っていく作家がまた一人増えた。おすすめの一冊だ。次は2作目「Nの逸脱」をさっそく読んでみよう。

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桜もち 太郎
6作品からなる短篇集。どの作品も1ページ目から不穏な雰囲気が漂うんだよなぁ。霊的な怖さではなくて、もしかしたら人間が本来持っている邪念というか業の深さからくる怖さ。それが保身のためであったり、追い詰められた人間の本能だったり。そこはさすが小池真理子という感じ。一番怖かったのが「会いたかった人」、一番嫌だったのが「寄生虫」、最後の「甘いキスの果て」は救いようがなかった。作者の恋愛ものはよく読むが、こういった系統の話も夏には向いている。そしてけしてどの物語の当事者にはなりたくはないと感じた一冊。
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桜もち 太郎
大学生の「彼」は常に自分というものが何もない、と退廃的な考えを持ちながら生きている。そんな彼にある日keyという名前でメールが届く。強制的女装。それが自分らしくなる道であると。物語はジェンダーに関するものであり、謎の女性keyが物語を引っ張っているといってもいい。おそらく謎の女性は読む誰もが想像していた通りの人だ。彼は物語を書くことで、本当の自分を見つけ出す。「ぼくはぼくになる。きみはきみになる」男女関係なく自分らしさを出しながら生きていくこと、それさえできない世知辛い世の中が今のような気がする。はぁ。
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桜もち 太郎
横道世之介シリーズも第4弾で完了。悲しい結末だけれども彼が残したものは大きい。「なんでもない一日。春の、夏の、秋の、冬の。そんな何でもない一日みたいな人」こんな人が横道世之介だ。彼と亡くなった恋人・二千花とのエピソードも最高だし、かかわった人すべてに最高のエピソードが生まれる、そんな男だ。人生の長さは、みんな少し多めにもらっている。自分のためだけに使うには少しだけ多い。彼のようにリラックスして生きていきたいなと思った。最終章「一五年後」に彼の生き方が全て詰まっている。何となく読み終えるのが寂しかった。
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桜もち 太郎
10の物語すべてに「櫻田哲生」が出てくる。この男いたって普通でかなり印象が薄い。生活に対する執着がないのか、せっかく本屋の店長に就任してもすぐにやめてしまう。結婚生活も長続きはしない。しかし女性に対してはストーカーなみに執着する。その相手は璃子。夜になると璃子のアパートに張り付くし、たまには電話して部屋に入り一夜を共にする。物語としてどうなのと思う。また昌と呼ばれる劇団員との不倫もあったり、振り幅がすごい。でも魅力はないんだよな櫻田哲生は。物語としての統一性も全くない。→
桜もち 太郎
2025/08/18 08:53

→以前読んだ同じようなパターンで桜木紫乃の「ブルース」に出てくる影山博人の方が断然魅力があった。不完全燃焼。

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桜もち 太郎
キリで心をえぐられるような物語だった。最後に会ってから7年、私と幼馴染の冴木は再会する。二人が小学生の頃に目の当たりにしたホームレス同士の集団レイプ。この経験が二人の人生に大きな影響を与える。私は事件をきっかけに精神的に参り体調を崩し、自身の性生活にも影響を与えるほど心に根を下ろす。冴木はレイプでないと真の快楽を得ることができなくなる。「人間の内部には、様々な、本来自然界にはないような、変容されたうねりがある」性の逸脱はもともとあったものが大きく変容したものと冴木は捉える。→
桜もち 太郎
2025/08/17 19:59

→作者があとがきで書くように、善と悪の二元論では語れない感じがする。何が善で何が悪なのか、冴木が犯した罪はどんな罰でも補うことはできない。だから冴木は死を選んだ。物語の結末は読者にゆだねられることになる。真実は何なのか?少しモヤっとしたがそれでいいと思う。許されることができない性癖。もしかしたら人間誰もが奥底に持っていて、それが何かの縁で出るか出ないかの違いだけかもしれない。「最後の命」って題名も奥深く感じた。

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桜もち 太郎
筑後下流にある大野島で生涯を過ごした作者の祖父をモデルにした物語。明治大正昭和を生き抜いた稔(みのる)。子供のころから身近な死に触れ、またシベリアでロシア兵を殺した体験から、死について深く考えるようになる。何のために生まれ、死の先には何があるのか。晩年幼馴染の清美は死は無だという。立場を超えて無になるという。稔は「死は思考を越え、存在を越えた深い宇宙」であるという。二人を中心に進める島の遺骨をすべて集めて骨仏「白仏」を作る使命的活動は実を結び、現在島の納骨堂に建立されている。→
桜もち 太郎
2025/08/17 08:53

→死は必ず誰にでも訪れる。生死の価値観を考えさせられる。祖父の名前は今村豊。作者はXのポストで発明家であった祖父は「太平洋戦争で使われた今村五連式銃の開発者、軍のために自動小銃を開発してました。しかし自分が発明した銃で命が奪われることに心を痛め、浄土真宗に帰依、人間の平等、命の意味を探求するようになります」と言っている。物語に深みを与えるポストだった。

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桜もち 太郎
「普天を我が手に」、普天とは天下のこと。昭和100年、戦後80終戦記念に書かれた本。今のところは7日間しかなかった昭和元年に生まれた4人の子供の親たちの物語。600ページにもわたる第一巻は真珠湾攻撃、開戦で終わった。軍人として、左寄りの雑誌編集をする女性として、満州の興行師として、北陸のやくざの親分として、右翼に左翼、それぞれの思惑で物語が進む。本当にアメリカと戦うのか、勝てるのか、戦争に突入するしかない間違いを犯してしまった指導者たち。今日は終戦記念日。その日にこの本を読んだ意味を考えさせられる。→
桜もち 太郎
2025/08/15 18:05

→国家総動員法発令、大手新聞社の扇動。満州国で掲げられた五族協和。土地を奪われた中国人の日本に対する憎しみ。考えさせられることが多すぎる。敗戦に向かって進む日本については次巻となる。それにしても参考文献の量の多さは凄すぎる。作者の意気込みを感じた。第2巻は9月18日発売予定

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桜もち 太郎
果てる・・・。もうこの題名だけで期待が膨らむ。女性作家が描く愛と性の物語7作品。やはり圧巻だったのは花房観音著「海の匂い」だ。何もない閉鎖的な海辺の村には、娯楽・情報はなく、あるのは男女の営みと、それにまつわる噂話。寺の娘と結婚する条件で仏教の大学に進学した伸也。ストイックに仏の道を学ぶ彼に対して、女遊びに狂う僧侶秀建。仏の道か俗物の道か、俗物の道の中に仏の道があることを理解できなかった伸也。寺の本堂での伸也の許嫁・静江と秀建とのまぐあいは圧巻。仏の修業は厳しいなと実感。頑張れ伸也。ようやく読めた一冊。
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桜もち 太郎
「生きとし生けるものと死者が同居する古都」、5人の男女が苦しみながら生きる姿が終盤に行くにつれてグイグイと迫ってきた。緊縛(きんぱく)という聞きなれない言葉は、いわゆるSMの世界を芸術に昇華させたものなのだろうか。「肉体を縛り、心を解く」、その心っていったいどこにあるのだろう。死んでしまった亜紀の魂に絡め縛られるように苦しむ残された人たち。「人間は終わることのない夢の中で生きている」「思い出せないことを、今、忘れることができない」この深さ、何という苦しみなのだろう。彼らは本来の生を取り戻すのだろうか。
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桜もち 太郎
誰もが経験する「恋」、「十年後の恋」とはフランスに住む映画プロデューサーでシングルマザーのマリエが、離婚後十年経って、謎めいた年上の男アンリに恋に落ちること。恋は盲目で人の感情をいいようにも悪いようにも持って行ってしまう。マリエもアンリの天才的詐欺師という悪い噂に苛まれる。そしてマリエのコロナ罹患の前と後の世界が、絶妙に二人の関係とリンクされていた。恋と愛の違いについて紙面が割かれていたが、アンリはどこまでも恋を求めて、マリエは愛を求めていたような気がする、それが最後の物語の最後の二行であらわれていた。→
桜もち 太郎
2025/08/11 19:52

「人を好きになるのは本当にタイミングだね。思い通りに行くよりも、いかない方が多い。きっと本当に求めているならば絶対に結ばれると信じている」とはアンリの言葉。自分自身いろいろ考えさせられる言葉だ。だったら失恋なんてないしなぁ~、とも思うし。人間の心の機微は難しい。中江有里の解説が良かった。

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桜もち 太郎
初読みの作家。夫の浮気が原因で離婚し介護ヘルパーの弥生、派遣社員の妹ひな子はマンションで二人暮らし。ある日叔母の清子がブラジル旅行をひな子を誘う。なぜひな子なのか、釈然としない弥生。妹が旅行に行っている間に何か新しいことを始めたいと淡い決意をする弥生。しかし「自分を当てにできないような生き方」に疲れてしまう。「わたしは永遠にこない『いつか』の中で生き、ひからびて人生を終えるのかもしれない」。ありふれた二人の人生、うまくいかない生活がとてもリアルに自分に迫ってきた。新し自分を見つけるのはままならない。
桜もち 太郎
2025/08/10 19:24

「一度だけ」という題名の意味を考えてみると、一度だけの出会い、勝負時、失敗、いろいろあげられる。自分の過去、いろいろな後悔が浮かんできてしまった。

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桜もち 太郎
毎月第三日曜日に開催される「日曜俱楽部」、集うのは全員が独身で、しかも不倫中のメンバー。それぞれ5人の女性が自身の不倫を語っていくだけの話。物語に深みは全くなく、単調な話にお腹が一杯になった。不倫物は大好きだけれども退屈さにうんざり。しいて言うならば、男たちは女を舐めすぎているってとこかな。つまんなかった一冊。残念。
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桜もち 太郎
NADAとは夫婦がビルを買い取り地下にある喫茶店の名前。ベッドの下というのが何となく艶めかしい。店には常連たちが集う一般的な喫茶店で、主人公となる夫婦も一見は仲睦まじく振舞っている。でも何となく溝がある感じ。それは夫がの不倫、妻も男の影を匂わしている。「ちょっと本屋へ」「コーヒー豆を買ってくるよ」は愛人のもとに行く夫のサインだ。これに妻も気が付いている。そして常連客のミノルと妻の関係も怪しい。物語は子供のころの追憶と現代を行ったり来たり。この物語の男女の関係、何となく自分も陥りがちな怖い作品だったな。
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桜もち 太郎
地方の高校での校外学習を行った彩音、衛(まもる)、一(はじめ)。その郊外には誰もいない。当時を振り返り共通した思い出は、蛇が三匹空から絡まりながら川に落ち、泳いでいる風景。彼らが東京に出て早稲田に入り、作家、音楽、映画の道にそれぞれ進んでいく物語。「誰でもない時代。引き延ばされた猶予期間。インターバル。幕間。それがあたしの四年間だった気がする」と彩音が感じているが、最後の「恩田陸、大学の先輩と語る」では随分充実した学生生活を送っていたようだ。東京での学生生活がただ羨ましく感じた。そんな一冊。
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桜もち 太郎
少女だったころの被写体は死期が迫っているものばかりだった主人公の写真家。愛がないと写真は撮れないと気が付く。自分に何が足りないか、愛の欠落の原因を知るためにセルフポートレートを撮る彼女。他人の目に自分がど映っているのかが知りたい。ヌードも撮ってみた。そこに映るのは間の抜けた時分だった。「男の背中」をテーマにした個展を開き成功を収める。写真展が終わるとき、写真の男たちが振り向いて見つめられた。不思議な感覚のする物語だ。そして何より何枚も出てくる同一人物の美少女。最後の写真で確信が持てた。南果歩さんだった。
桜もち 太郎
2025/08/07 20:36

30年前に書かれた作品でとてもシャープな文体に吸い込まれた。

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桜もち 太郎
横道世之介シリーズも三作目。残念ながらシリーズ1で彼の衝撃的な最後を知っているだけに、読んでいて少し悲しくなる。しかしこの作品。どこをどう切り取っても横道世之介なのだ。のんき君で、誰から愛され、人なっこく、懐にすっと入っていく術を身に着けているところは羨ましい。彼の人生の終焉に思いたいことは「あー、いっぱい笑った。あー、いっぱい働いた。いっぱいサボって、そんでもって、いっぱい生きたなーって」らしい。最後の章の「輪廻転生」が下巻に繋がっていく。しばらくしてから読んでみよう。
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桜もち 太郎
町田よぉ、難しいよ、言ってることが。比喩比喩比喩だもん。これじゃあ良い文章は書けないよ。だって「文書書きは読まにゃあかん。血ヘド吐くまで読め」「これ以上、読んだら死にます」「じゃあ死ね」はないでしょ。文章に統一性はないし、枝の枝に話が進んでいくし。同じ本を100回読むべし、って多分この本を100読んでも意味は分かんないだろうね。文書指南の本は谷崎、井上ひさしとか読んできたけど一番わかんない。最もストンと腹に落ちたのは村田喜代子さんの「名文を書かない文章講座」だったな。ほんと今回は修行のような読書だった。
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桜もち 太郎
予備校勤務の28歳みのりと、彼女が通う生け花教室の年下のセンセイ・透20歳。途中は何となく二人の関係がもどかしくて、だるくなってきたが、終盤に行くにつれて盛り上がってきた。二人の恋愛には絶対条件があるような気がする。共に成長を続けること。「20代で好奇心を開くのと閉じるのとでは、その後の人生が大きく変わる」これは透の華道の師である祖父の言葉。透は名古屋から東京に出て、大学に通い稼働の道に進む決意を、みのりは予備校内で新たな仕事の挑戦を。成長し続ける二人の恋愛は「賢者のフットワーク」だ。爽やかな物語だった。
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桜もち 太郎
7作品からなる短篇集。どの作品も読んでいて、何かつかみどころなさを感じた。少女から大人の恋愛を描いたものが多い。良かったのは「エイコちゃんのしっぽ」かな。OLが派遣先の上司にたやすく手に入る女と目を付けられ、ラブホテルに誘い込まれるが、難を逃れる話。しっぽのはえたエイコちゃんが絶妙なタイミングで助けてしまうという物語。表題作もよい。母親の年下の恋人と、息子の恋人がバーでかち合う。いくつになっても恋は心を温かくする。しかし46歳の母親に恋に対する情熱は感じられなかった。それがうまくいく秘訣なのかもと思った。
が「ナイス!」と言っています。
桜もち 太郎
6つの短編は還暦を過ぎた人たちの話が多い。『人の一生を白と黒で分けるのは難しい』とは「グレーでいいじゃない」の言葉。中年を過ぎた年齢であっても、様々なことに分別をつけることは難しい。自分が置かれた境遇は偶然の積み重ねだ。人生を振り返ることに感傷はあっても意味があるのか。「らっきょうとクロッカス」もよかった。自分の仕事を否定されるよような左遷。それから始まる未来もあるんだな。40歳が不惑の齢、60歳は「耳順」と齢という。人の話を素直に聞き入れる齢だそうだ。それでも生き惑うのには変わりない。あ~嫌だいやだ。
桜もち 太郎
2025/08/02 14:29

作者が1965年生まれということはちょうど還暦なんだな。「情熱」というタイトルにも思い入れがあったんだろうね。

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桜もち 太郎
濃密な過ぎ去った過去を追憶する物語。一人暮らし、古い小さな一軒家に住む繭子、なんのために彼女は生きているのか。死者さながらの暮らしが、死者を呼び寄せたのか、死者との交流を求めたのか。物語終盤の状況である。人は一人の人をどこまで愛せるのか、いつまで愛せるのか。繭子の場合は父の友人で会った作家の雅之と逢瀬を重ねる。彼の突然の死があり一人で生きる覚悟を持つ。そして突然訪ねてきた雅之の息子俊之。雅之が死んだ年齢、俊之と繭子の年齢は46歳。このときを待っていたかのように、繭子の世界が異形なものへと変わっていく。→
桜もち 太郎
2025/08/01 21:49

→俊之のなかに雅之を感じる繭子。そして俊之の正体。ざわつく終盤、本当のことは何なのか、確かに感じた俊之との逢瀬。22歳っと46歳の繭子、同じ快楽を味わったことも確かなことなのだろう。野良猫のくまの温かみを感じる繭子が印象的だった。46歳の繭子。これからの人生、どのようにして生きていくのだろうか。思いの深さが異次元の世界を呼び込んだ物語。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/05/22(4954日経過)
記録初日
2003/05/22(8242日経過)
読んだ本
3254冊(1日平均0.39冊)
読んだページ
892311ページ(1日平均108ページ)
感想・レビュー
2965件(投稿率91.1%)
本棚
14棚
性別
職業
専門職
自己紹介

読書が好きです。でも読んだ内容はすぐに忘れてしまいます。致命的です。だから附箋をはりながら読んでいます。いろんな作家を幅広く読もうと思うのですが、結構、偏ってしまいます・・・・。一応司書教諭の資格は持っていますが、全くいかせてません。
人生最高の書籍は、夏目漱石の「こころ」、遠藤周作の「沈黙」です。べたですね。

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