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2024年4月の読書メーターまとめ

ががが
読んだ本
10
読んだページ
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感想・レビュー
9
ナイス
99ナイス

2024年4月に読んだ本
10

2024年4月のお気に入られ登録
1

  • ちえぞう

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ががが
筆者はロシア文学を機にロシア語を学び、本から純粋培養されたロシア世界を内面に宿して文学を修めんと留学する。物語と現実の落差に戸惑うのが普通だと思うのだが、書物から貪欲に吸収した精神性が著者の心にすでに醸成されていたのか、柔軟な胆力で異国の環境に難なく適応していく。2021年刊行でこの地を巡るアクチャルな話題もあるが、それを抜きにしても、読書で培った人格と文芸によって高められた教養から放たれる上品な文章が読者の胸を打つ。言葉が紡ぎ出す力を再確認できる一冊で、読後に「読んでよかった」という感想が思わず漏れる。
ががが
2024/04/01 04:10

私もロシア文学がきっかけでロシアに留学したクチではあるが、この本を読んでしまうと、もうそんなことは口が裂けても言えなくなる。それでも膨大な蓄積のあるロシア文学の引力みたいなものは今でも感じるし、それがゆえに重厚すぎて呆然としてしまう。読書中「令和の米原万里を見つけたかもしれない」と何度も思った。

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2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

ががが

2024年3月の読書メーター 読んだ本の数:10冊 読んだページ数:3197ページ ナイス数:76ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/244402/summary/monthly/2024/3

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2024年4月の感想・レビュー一覧
9

ががが
「星に仄めかされて」の続編。失われてしまった故郷を確かめるためにバルト海を巡る商船に揺られながら停泊する街を見て回る。視点人物は各章で異なるが、船という仕切られた舞台に皆いるので、出来事は単線で展開される。消滅した国は日本と思われるが、現実の国家ではなく、言説や歴史のみから創造される異国はフィクショナルなイメージがしみついていて、日本人読者にはそれがどこかユーモラスに映る。この旅の導き手は言葉そのもの、時間も空間も簡単に飛び越していく。幻想的な登場人物もあいまって詩的で神話的な世界観が紡ぎ出される。
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「地球にちりばめられて」の続編。故郷が消滅してしまった主人公が同郷の人を訪ねてアルルにたどり着くが、その人物は失語症らしく、治療のためデンマークの病院に送られる。一区切りついた旅の後で、各々のコペンハーゲンへの帰路を描いていて、そこで伝わってくる登場人物の心境や変化がおもしろい。前作のような仲間を増やして次の町へ行く冒険譚ではないが、今作は後日談的なおもしろさがある。言語を様々な次元で混ぜ合わせる設定や展開は前回同様だが、今作は心や性格といった精神的なものをミックスさせて、一風変わった物語に仕立てている。
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留学中に故郷が消滅してしまったアジア人が、自分と同じ母語を話す人を探してヨーロッパを転々とする話。言語学の院生やインド人留学生やグリーンランド出身の鮨職人など、様々な人たちがそれぞれの理由で同伴していく。国籍や話す言葉や性などをミックスした人たちからなる旅の一行が作り出す調和が不思議なハーモニーを奏でていて、言葉そのものが旅の推進力になっている。通常言語はコミュニケーションの手段だが、この作品では言葉そのものが行き先を示すようで、言葉から言葉から歩いて行くような会話のやり取りはずっと聞いていたくなる。
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邦題は『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』。手ごたえのない仕事が発生するメカニズム。実際に商品を作る人よりもその広告費のほうに予算が割かれるのはある意味当然であり、後半では実質的な労働ほど給与は低くなり、逆に空虚なものほど待遇は高いという構造的な問題に触れている。「実質よりもどう演出するかが大事」というのは、就活でも揶揄されることがあり、まさにそのために求職側は苦しむのだが、無意味なことをさも意味があるかのように振る舞う演技力が図らずも重要視されている現状を考えると絶望的な気分になる。
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デンマークの地方都市で「人生に意味がないからもう学校来ない」って退校した一人の生徒に対して、クラスの皆が意味を証明しようと各人の大切なものを集めて「意味の山」を作って行く話。メタな視点を持つことで憑りついてくる虚しさ、それを受け容れきれない中学生にはこの主張は劇薬になりうる。意味はないけど意味があるかのような振りをしなければならない現実、それを直視できないがために起きる倒錯はかなりグロデスクで読んでてしんどい。対象読者の年齢は13~17歳らしいが、年を重ねて読んでも受ける衝撃の大きさは変わらない。
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デジタル版断捨離の勧め。「便利なことはよいことだ」と無条件でテクノロジーを取り入れた結果、個人の時間が吸われて企業だけ儲かるという現状に対し、スマホ依存の正体をテック企業のビジネスモデルを明らかにしながら、それにどう応じるかを具体的に提言する。著者の理念には「利便性<主体性」という構図があり、情報端末機器やSNS自体を頭ごなしに否定するのではなく、使い方を検討して惰性を打破するのが本書の狙いだ。確固とした哲学を基盤に置きつつもすぐ実践でき、抽象論やハウツーに陥らない絶妙なさじ加減で書かれた良書である。
ががが
2024/04/08 21:12

SNSを始めとしたアプリは「役に立つかもしれない」ではなく、どんな用途でそのアプリを使うのかをクリアにしなければ、そのビジネスモデル上、搾取されるしかない構造になっている。「ほどほどにする」とか「付き合い方を考える」といった漠然な話ではなく、厳格にそしてストイックにデジタルの恩恵を最大化しようとする姿勢にこちらの姿勢も思わず引き締まる。

ががが
2024/04/08 21:20

個人的な話だが、ほぼフルタイムで働いてたとき、私は完全にtwitter依存で、帰宅から就寝までスマホをスワイプする以外何もする気が起きなかったりしたものだが、仕事を辞めたらそれがきれいになくなり、SNSの時間も減った。「(やりたいことはあるが気力等の問題で)スマホをいじるしかできない状態」が常態化してたのかもしれない。忙しかった時はアクセスできなかった読メが、辞めた途端に読書量も感想を書く余裕も増えて、結果的に一番有意義に使えてるSNSになってるし。特に暇はないのに暇つぶしに勤しんでしまうという異様な状態

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陸上選手だった著者が物事の成熟の段階を5つに分け、その過程で起こる身心の変化を語る。スポーツの例が多いが、何かを上達させるときに人間が体験する感覚を詳細に描出していて、言葉には経験に裏打ちされた実感がある。熟達とは、ただ単に努力を重ねるのではなく、絶えず己が身体との関係を分析して到達する場所なのかもしれない。自分が学んでいる技能を念頭に置きながら筆者の論を追えるので、その意味では自己啓発本だが、いわゆるゾーンの状態である「空」に至っては解脱の境地のようで、まるで哲学書を読むような深い気づきも得られる。
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フランス語の例文から中級者向けに文法を読み解いていく本。テーマは冠詞類、分詞構文、条件法、各時制など。おそらく例のほとんどは実際の原文から採取したもので、説明のために拵えたものではなく、現実にある文章の解釈を通して言語を分析する構成になっている。そのため解説が煮え切られないところもあるが、裏を返せば大雑把に断定できるほど単純にはできてないとも言える。読むときに見逃しがちな点を丁寧に押さえているので、繰り返し参照すれば読解力は間違いなく上がるだろう。「この文はあの古典からかな」と原典が推測できるのも楽しい。
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筆者はロシア文学を機にロシア語を学び、本から純粋培養されたロシア世界を内面に宿して文学を修めんと留学する。物語と現実の落差に戸惑うのが普通だと思うのだが、書物から貪欲に吸収した精神性が著者の心にすでに醸成されていたのか、柔軟な胆力で異国の環境に難なく適応していく。2021年刊行でこの地を巡るアクチャルな話題もあるが、それを抜きにしても、読書で培った人格と文芸によって高められた教養から放たれる上品な文章が読者の胸を打つ。言葉が紡ぎ出す力を再確認できる一冊で、読後に「読んでよかった」という感想が思わず漏れる。
ががが
2024/04/01 04:10

私もロシア文学がきっかけでロシアに留学したクチではあるが、この本を読んでしまうと、もうそんなことは口が裂けても言えなくなる。それでも膨大な蓄積のあるロシア文学の引力みたいなものは今でも感じるし、それがゆえに重厚すぎて呆然としてしまう。読書中「令和の米原万里を見つけたかもしれない」と何度も思った。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/07/22(4313日経過)
記録初日
2011/05/14(4748日経過)
読んだ本
1219冊(1日平均0.26冊)
読んだページ
347052ページ(1日平均73ページ)
感想・レビュー
1006件(投稿率82.5%)
本棚
4棚
職業
無職
現住所
愛知県
外部サイト
自己紹介

語学と読書が好きなフリーター32歳

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