読書メーター KADOKAWA Group

2025年1月の読書メーターまとめ

ががが
読んだ本
14
読んだページ
4630ページ
感想・レビュー
14
ナイス
132ナイス

2025年1月に読んだ本
14

2025年1月のお気に入り登録
1

  • ヴェネツィア

2025年1月のお気に入られ登録
2

  • ヴェネツィア
  • Small Light

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ががが
アンナのパートは妻、夫、愛人が三者三様の悩みを内に抱えながらなんとかこの関係を終わらせようと動く。子供の出産を機にこの微妙な感情の均衡が崩れ、雨降って地固まるかと思いきやなかなかどうしてそんな簡単に物語はうまく運ばない。リョーヴィンのパートでは一度は振られたキティとうまくいき、農民と生活をともにしながらロシアの農業改革に野心を燃やす。常に遅れながら西洋の手法を模倣してきたロシアの、当時の強国に対する嫉妬と羨望がないまぜになって醸成された強烈な自国意識がサロン内の会話を通して浮き彫りになっていておもしろい。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月にナイスが最も多かったつぶやき

ががが

去年の読書量はちょうど100冊だったのか。 2024年の読書メーター 読んだ本の数:100冊 読んだページ数:32177ページ ナイス数:912ナイス ★去年に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/244402/summary/yearly

が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
14

ががが
自由とは何か。人類はどのようにして自由になったのか、なぜ自由を忌避してしまうのかを中世から20世紀前半までの社会における価値観を心理学から分析して、その本質に迫った本。刊行当時に台頭していたナチズムに対する警鐘の色合いが強く感じられるが、現代社会を観察する際にもヒントとなるような視点が多く得られる。束縛されたくない一方で、何か指示がないと不安になる私たちは、この自由という価値観をどのように扱っていけばいいのか、人間存在の根幹に関わる途方もない問いに対して向ける著者の精緻な洞察に終始圧倒される。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
山内訳で何度か読んでいたが、この度訳者を変えて再読した。ジェロームから受ける印象はさほど変わらない一方で、アリアの物腰が垢抜けて親しみやすくなっている。今までよく分からずに読んでいた一節も聖書からの引用であることが訳註から分かり、物語の背景知識についての理解が深まった。解説のストーリーを時系列にまとめたものも作品を読む上で役に立つ。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
悪口や罵倒、嘘などから入る言語哲学入門。日常的な素材に焦点を当てることで、観念的になりすぎないような配慮が行き届いている。表紙のタイトルからして味のある本で、悪い言葉の言語哲学入門とも言えるし、正統的でないと言う意味で「悪い」言語哲学入門とも解釈できるような配置になっている。土台となる用語や概念の解説に多くの紙幅が割かれているが、それらの道具を駆使してヘイトスピーチの問題を表現の自由との対立を鮮やかに解消して論を進める様などは学問が学問として威力を発揮している瞬間を見るような清々しい論述になっている。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
ドイツ語は暗記項目が多いと言われ、語尾変化の表がびっしり並ぶような無機質な教科書になりがちだが、この文法書はそれとは一線を画そうとする姿勢が見られる。個々の語の変化よりも文単位でドイツ語の構造を説明する方針は文意のニュアンスを汲み取る一助になった。その一方で、そうはいってもやはり表にまとめた方が理解が容易な箇所もあるよなと思わせる。初学者でも一応は読み進められるが、やや突っ込んだ文法の解説を求めている中級者でないとこの本の真価は得られない。接続法や冠詞、叙法要素あたりがためになった。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
邦題『悪魔とプリン嬢』ヨーロッパの小村にやってきた異邦人が村人一人の命と引き換えに金の延棒をやると旅館で働く娘に交渉する。素朴で善良で保守的な村の人々が金に眩んでだんだんとスキャンダラスな様相を帯びてくる。人間の本質は善か悪かという命題をプロットに落とし込んだ形だが、土壇場の解決策からはすっきりとした答えは得られない。村を象徴するような老婆が功利的な発想によって「殉教者」に選ばれる過程などは、古き良き共同体が拝金主義に侵されていく様を見ているようだった。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
法王が幽閉されたとデマを撒いて救済資金をふんだくる詐欺グループ、奇蹟によってカトリックに回心したフリーメンソン会員、道徳観念がイカれていて動機なき犯罪に走る青年などが織りなす運命の悪戯を描く。物語の幹線が見えず、登場人物の関係も把握にしくいが、この読みにくさは作者も織り込み済みだったようだ。宗教を出汁にした陰謀論の風刺なんだろうなと思うものの、いまひとつ笑えなかった。解説を先に読んでおけばもっと味わい深い読書になってたかな。信仰について『狭き門』とはまったく別ベクトルの批判的な眼差しが見え隠れする。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
自分の影を金で売った男が社会から阻害され、奇妙な運命に翻弄されていく冒険譚。影とは何か、影を欲しがる灰色の服の男は何者なのか、あれこれ思いを巡らせて読むだけでも楽しいが、巻末で解説されている作者の生い立ちや時代背景を知ると考察の幅が一層広がってさまざまな読み方ができる。メルヘンチックな世界観が寓話的で不思議な雰囲気を醸しており、何らかの人生訓とも読み取れそうな箇所もある。金があっても影がないんじゃねえというまさしく日陰者を排斥する世間の態度にはどことなく既視感がある。軽快なテンポでサクサク読めるのもいい。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
プロレス好きの作家による言葉についてのエッセイ集。雑誌の連載に載せたものに書き下ろしを加えたもので、生成AIブームの時の空気も文字から伝わってきて言葉に対する世間の見方の変化も体感できる。メトニミーや接頭辞を題材にした掌編と言えそうな創作もあり、言葉そのものの不思議さに加えて私たちの言葉に対する態度をユーモア溢れる文体で浮かび上がらせてくれる。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
ネタバレロシア文学のなかで最も浸透しているネタバレと言ってもいいくらいのアンナの鉄道自殺は、そこに至るまでの心理描写が圧巻で、嫉妬に狂いながら死を決意する姿が痛ましかった。生や死や存在についてああでもないこうでもないと考えてきたリョーヴィンの思索も最終盤にきて厚みを増し、これまで以上に読ませる内容の思想らしきものになっていてよいまとまり方だった。読後に冒頭の一文を思い出すと、この本は一対の幸せな家庭と不幸な家庭の話だったんだろうかと思う。セルビア出征に際しての社会の雰囲気も克明で現代のことがつい思い起こされる。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
人類の歴史を情報という観点から捉えなおし、最先端の技術であるAIが今後の人間社会にどのような影響を与えうるかを述べる。テクノロジーが社会に与えてきた影響の分析は鋭く、陰謀論等の拡散は活版印刷術の発明の際の魔女狩りの焼き直しでしかないというのは説得力がある。一方で、AIがこれまでのテクノロジーと違って自分で考えて決定を下せるという機能を持っているため、人類に与える影響は計り知れない。情報の流れから民主主義と全体主義を説明し、AIがこれらの政治システムにどのような作用を及ぼすのか考察した章がおもしろかった。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
相思相愛の幼なじみがなかなかくっつかない話。両者の気持ちが分かる読者視点だと「もう付き合っちゃえよ」と下世話な想念も沸いてしまうが、愛を昇華しようととして陥穽に嵌ってるような関係はどうしようもなく哀れだ。恋愛の話として読まずとも、世俗的な快楽は本当の幸福にはつながらず、絶えず理想に向かって歩を進めることが確固たる幸福に導くのかもしれない。
ががが
2025/01/07 18:23

いかに幸福なことであっても、わたしには進歩のない状態を望むわけにはいかない。わたしには、神聖な喜びとは、神と融合することではなく、無限にして不断の神への接近であるように思われる…もし言葉を弄することを恐れないなら、わたしは〈進歩的〉でないような喜びを軽蔑する、と言ってもいいだろう。

が「ナイス!」と言っています。
ががが
オブロンスキー家の浮気騒動から始まったこの物語は身を持ち崩していくアンナと紆余曲折ありながらもキティと結ばれ、農業経営に勤しむリョーヴィンの二つの筋が並走して流れていく。タイトルが「アンナ」ではなく「アンナ・カレーニナ」なのだからカレーニンの妻としての側面が前面に出るような意図を感じなくもないが、リョーヴィンの社会に対する葛藤や自分の感情を制御しきれていない様子のほうも興味を引かれる。両者の視点を通してロシア社会全体の鳥瞰図を描いているとも思えるが、どうしても一方に集中して読みたくなってしまう。
ががが
2025/01/07 15:20

ロシア人の名前は「名前・父性・姓」の三つで構成されていて、(アンナならアンナ・アルカージエヴナ・カレーニナ)3つ全部言うとかなり形式ばった感じ。名前だけいうのが一般的で砕けた感じ。名前+父性だと丁寧なニュアンス、父性だけだと軽薄な印象。だけど「アンナ・カレーニナ」という「名前+姓」ってどういうニュアンスなのかあまり考えても浮かばない。やっぱり「カレーニン夫人としてのアンナ」ということなのだろうか。

が「ナイス!」と言っています。
ががが
アンナのパートは妻、夫、愛人が三者三様の悩みを内に抱えながらなんとかこの関係を終わらせようと動く。子供の出産を機にこの微妙な感情の均衡が崩れ、雨降って地固まるかと思いきやなかなかどうしてそんな簡単に物語はうまく運ばない。リョーヴィンのパートでは一度は振られたキティとうまくいき、農民と生活をともにしながらロシアの農業改革に野心を燃やす。常に遅れながら西洋の手法を模倣してきたロシアの、当時の強国に対する嫉妬と羨望がないまぜになって醸成された強烈な自国意識がサロン内の会話を通して浮き彫りになっていておもしろい。
が「ナイス!」と言っています。
ががが
初めてポルトガル語で読んだ原書がパウロ・コエーリョのこの『アルケミスト』だった。羊飼いの少年がピラミッドの夢を見たことをきっかけにエジプトまで旅をする話。寓話的な冒険譚に過ぎないのかもしれないが、財宝や砂漠など、この物語で重要な役割を果たす事物がそれぞれに象徴的な意味を帯びているようにも思え、味わい深い作品となっている。夢を追うこと、自分の情熱を追求することの喜びが全体から感じられる。詩的な雰囲気だけど分かりやすいストーリーとして成立しているあたりが世界で5番目に読まれてるとまで言われる所以かもしれない。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2012/07/22(4593日経過)
記録初日
2011/05/14(5028日経過)
読んだ本
1291冊(1日平均0.26冊)
読んだページ
370782ページ(1日平均73ページ)
感想・レビュー
1069件(投稿率82.8%)
本棚
4棚
職業
無職
現住所
愛知県
外部サイト
自己紹介

語学と読書をひたすら楽しんでいたいフリーター33歳

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう