「小市民」になると誓いながら始まった新生活だけど、そう簡単にはいかないと気付かされる春を経て、描かれる小鳩くんと小佐内さんの高校一年目の日常。彼等の傍らに潜む謎は、短編になってより一層存在を際立たせており、このシリーズならではのほろ苦い読み心地をどれも味わえるようになっています。不意に現れた頼んでいない品物に、文化祭での突然起きた拉致事件。ある日の新聞部での一悶着に、理不尽な処分に立ち向かう調査と、様々な二人が味わえたなと。また名古屋という新しい舞台が物語の幅を広げており、面白さを彩っていました。

「小市民」になると誓いながら始まった新生活だけど、そう簡単にはいかないと気付かされる春を経て、描かれる小鳩くんと小佐内さんの高校一年目の日常。彼等の傍らに潜む謎は、短編になってより一層存在を際立たせており、このシリーズならではのほろ苦い読み心地をどれも味わえるようになっています。不意に現れた頼んでいない品物に、文化祭での突然起きた拉致事件。ある日の新聞部での一悶着に、理不尽な処分に立ち向かう調査と、様々な二人が味わえたなと。また名古屋という新しい舞台が物語の幅を広げており、面白さを彩っていました。

意外と神様って私達と共存しているのかもしれない、そう身近な存在として思わせてくれる作品です。政治色が濃く閉塞的な環境ゆえに、純粋ながらも歪んだ愛情を抱いてしまっていたテオ。兄への献身的な思いから町と神が虐げられる状況へと発展していきますが、真っ直ぐ立ち向う仭がとてつもなく頼りになった今巻でした。海神であるイソラ様の存在も効いており、捕らわれたジョリと剣心が奮起する場面も含めて、仲間の強さを感じられるのが良いなと。謎多き設定を感覚で楽しんでいく展開と、青春という分かりやすい要素のコントラストが面白いです。

遂に明かされる小佐内さんの「本性」な春、そして素敵な始まりだと小佐内さんが「予感」する夏、ゆっくりと進む季節と供に謎を彩るのは小市民的思考とスイーツの数々。小説やアニメとはまた一味違う、漫画ならではの動かない絵だからこそ魅せる事が出来る表現が今巻も溢れています。登場人物の表情や様子をじっくりと見れるので、それぞれに愛着が湧きやすいなともなりました。この度特に印象に残ったのはやはり「シャルロットだけはぼくのもの」でしょうか。小鳩くんはまだ高校生、というのをより感じられる雰囲気がして気に入っています。

出来ることはまだ少ないのかもしれないけど、意外と身の周りにある世界は広い。遼馬・玲臣・秋野の3人を通して、昔の自分にそう言ってあげたいと読みながら思いました。複雑な家庭環境を抱える人物が多く出てきますが、彼らなりに頑張って日々を過ごし、そして穏やかな気持ちになれる大事な居場所を形作りはじめているのに胸が温かくなります。この度は彼らを取り巻くクラスメイトについて描かれており、特に兄弟関係に関して歪んだ感情を持ってしまった有門の様子が印象的でした。どの子にも等しく、幸せな青春が訪れますようにと願うばかりです。

禍獣の異常発生に長年の護符の偽造、そして蠢く後継者争いと、散らばった点であった物事が徐々に繋がりを現わし物語の全容が少しずつ見えてきました。派閥抗争の色が濃くなり、異能の力を持つという王道の要素を持ちながらも、作品独自の雰囲気が増してきたのが良いなと。腐敗した天傍台閣の内で繰り広げられる欲に満ちた謀略や姦計に、一矢報いようと藻掻くのは血筋や組織の中で最も理不尽さを被ってきた藤哉。彼の今後の動向がどう作用するのかが気になります。今巻は原型となった読切の収録もあり、より世界観の広がりを楽しむことが出来ました。