異国の地で亡くなった人を、祖国に送りとどける国際霊柩送還士の仕事を追ったノンフィクション。愛する人の突然の死を受けとめきれずにいる遺族の気持ちを最優先に考えるエアハースト・インターナショナルの人たちの誠実な仕事ぶりに心打たれる。

ケアを通して他者や自分自身と関係を築いていく〈ケアの倫理〉が世界文学においてどのように描かれているかを考察している。〈ケアの倫理〉や〈多孔的な自己〉といったキーワードの概念をしっかりおさえながら読んでいかないとわからなくなってしまうので注意が必要。当然のことながら、読んだことがある作品についての解説はわかりやすく感じ、理解が深まった。

詩人ディラン・トマスが語った子ども時代のクリスマスの思い出。素朴であたたかいアーディゾーニの絵が、海辺の町のクリスマスの雰囲気をよく伝えている。

若かったサンタさんが、失敗を重ねながら天職をみつけるお話。『ぐるんぱのようちえん』を思わせるストーリーに、最後は「よかったね」とうれしくなる。

ある家族の姿を2029年から1979年まで、10年ごとに遡っていく物語。章ごとに視点が変わり、それぞれの思いが明らかになっていくとともに、語られない期間の登場人物たちの心情を想像させる。

銀婚式の日。妻と田園地帯をドライブしていたアシャーストは、そこがかつて自分が旅し、恋に落ちた村であることに気づく。「ヨーロッパ人の内在的論理について学ぶための実用書として、本書は大きな価値をもつ」との佐藤優さんの解説に、なるほどと思った。

きもちのいい朝の光をあびながら、ベルウッドおじさんは、ふと考えた。自分のお気に入りのものたちを、家の中に閉じこめておくのは不公平ではないか？　おじさんに呼ばれて家の外に出てきたものたちは、はじめて味わう自由を満喫して……。細かく描きこめられたものたちや、独特の色遣いを、じっくり時間をかけて楽しみたい。

谷川俊太郎さんの詩に塚本やすしさんが絵をつけた絵本。太く力強い線で描かれた絵が印象的。同じ詩を読んでも、イメージするものは人それぞれで、おもしろい。

ルイザ・メイ・オルコットが２度にわたるヨーロッパ周遊旅行の経験をもとに書いた旅物語。時間をたっぷりかけ、気に入った場所に滞在しながらヨーロッパを巡っていくという旅のスタイルが新鮮で、魅力的だった。19世紀のアメリカ人がヨーロッパをどのようにみていたのか、という点でもおもしろかった。

秋にぴったりの楽しい絵本。学校でサツマイモを育てているという小学生が喜んでくれた。

長い長いヘビ。あんまり長いから、ネズミもウサギもヘビだと気づかずに遊んでいるけれど……。ユーモアたっぷりの絵本。

ともに喘息を患い、支えあってきた弟を失った女性の物語。静かに息をしながら自分と向きあっていく場面が印象的。離ればなれになりながらも、互いに悪感情を抱くことなく、一歩一歩自分なりの人生を歩んでいく家族を、ばらばらの時間と視点で語っていく「わからないままで」も、とてもよかった。

異国の地で亡くなった人を、祖国に送りとどける国際霊柩送還士の仕事を追ったノンフィクション。愛する人の突然の死を受けとめきれずにいる遺族の気持ちを最優先に考えるエアハースト・インターナショナルの人たちの誠実な仕事ぶりに心打たれる。

フランス革命期のヨーロッパの架空の王国を舞台にしたミステリ。最後の最後までちゃんと読むとびっくりする。

『ティファニーで朝食を』で知られるトルーマン・カポーティの作品集。「クリスマスの思い出」や「感謝祭の客」など、家族に見捨てられた子どもと老人の交流を描いた話が、切なくて美しくて心に残った。