勉強はできないけれど人気者の時田秀美は、サッカーが好きで年上の恋人がいる高校生。物怖じせず、まわりに流されず、先生にだって毅然と意見をいうけれど、じつはあれこれ迷ったり、考えたりしている。文春文庫のほうには「四半世紀後の秀美くん」という書き下ろしがついているらしいから、そちらも読んでみたい。

勉強はできないけれど人気者の時田秀美は、サッカーが好きで年上の恋人がいる高校生。物怖じせず、まわりに流されず、先生にだって毅然と意見をいうけれど、じつはあれこれ迷ったり、考えたりしている。文春文庫のほうには「四半世紀後の秀美くん」という書き下ろしがついているらしいから、そちらも読んでみたい。

ジュネーヴ在住のアメリカ人青年ウィンターボーンは、伯母に会いに訪れた湖畔の町で、美しいアメリカ娘デイジー・ミラーに出会う。ヨーロッパ式の礼儀にとらわれず、自由に青春を謳歌するデイジーに惹かれたウィンターボーンだが、デイジーはローマで知りあった男とすっかり親しくなり……。上流階級の素直な青年が、古い価値観を理解しながらも、美しく奔放なデイジーに魅力を感じるという図式がおもしろい。

以前読んだ『エンド・オブ・ライフ』の著者による作品集。淡々とした文章の中に、自然体で対象に寄り添おうとする姿勢が感じられ、新たな視点や気づきが得られる。「死」に向きあってきた著者の作品は、読むのに気力と体力が必要だと思うが、これからもひとつずつ読んでいきたい。

準男爵の次女アン・エリオットは、教養はあるが控えめな27歳。8年前に、周囲の反対で結婚を諦めたことが、今でも心の傷となっているのだが、その相手と思いがけず再会し……。たんなるハッピーエンディングの結婚物語ではないところが魅力的。イギリス上流階級の相続制度や社交の作法などもわかっておもしろい。

「サウンド・オブ・ミュージック」原作のアメリカ編。映画やミュージカルでは描かれていない、アメリカに渡ってからの様子がわかる。敵性国からの移民というつらい立場にありながら、音楽と信仰を支えに生き、次第に受け入れられ愛されていった一家。終盤の「手紙」の章は、年を取ったせいなのか、特に感銘を受けた。