分厚い概説書を読んでよくわからなかったにもかかわらず、訳書を読んでやろうとイキっていましたが、やらなくてよかった。わかりにくい議論を丁寧に解説し、何よりもその意義を明確に示してくれるのは、もう感動的ですらあります。これまで、いまいちつかめなかったその後の哲学の展開と、社会学に対するカントの役割がよく理解できました。すでにここからニーチェやフッサールはすぐそこなような気もします。カントをあらかじめ読み方を準備せずに読むのは時間のムダだと痛感します。しかし、ワタシにとってはこれでカントはもういいかな・・・。

ポルノするより小説したい感じの作品でした。著者の傾向らしいですが、比較的暴力性が低めで、その分実用性は低いところがあります。ちゃんと元に戻って完結するので安心感があり、シリーズにしやすい構成になっていました。キレイにまとめてももっとハードにできるし、悪意を描かなくてもポルノできると思うので、著者の性格なのかなと感じました。AVみたいにプレイを割り振って全体を構成する作品の方が実用性は確実ですし、それでもハッピーエンドの物語は描けるように思うのですが。それがフィクションの利点なので、少々残念でした。

9.11がアメコミに与えた影響を中心に、社会とマンガとの関係をテーマにした本でした。しかし、日本にアメコミの体系的な情報が絶無ないこともあって、アメコミ史やアメコミ産業論としても十分意義のある内容になっています。特に、アメリカのマンガはアメコミやカートゥーンなどの縦割りで横断性が薄く、あるジャンルの読者は他のジャンルに無関心どころか存在の認知すら怪しいところがあるとの指摘は興味深いものがありました。これが日本製コンテンツへの独善的な批判の背景にあるというのは説得的で、アニメにもありそうな予感がします。

分厚い概説書を読んでよくわからなかったにもかかわらず、訳書を読んでやろうとイキっていましたが、やらなくてよかった。わかりにくい議論を丁寧に解説し、何よりもその意義を明確に示してくれるのは、もう感動的ですらあります。これまで、いまいちつかめなかったその後の哲学の展開と、社会学に対するカントの役割がよく理解できました。すでにここからニーチェやフッサールはすぐそこなような気もします。カントをあらかじめ読み方を準備せずに読むのは時間のムダだと痛感します。しかし、ワタシにとってはこれでカントはもういいかな・・・。

著名な経営学者で、本人にも縁のある著者が独自取材を含めて書いた伝記。中内さんの伝記を探していたので、著者のファンなのもあって手に取りました。読むと、これまで漠然と抱いていたイメージに再検討を求められました。まず、日本にここまで深く小売業を蔑視する製造業至上文化が根付いていたのかと驚きましたし、小売から製造までをブロックブッキングすることの意味や大店法の影響など基礎的なものから、単なる土地信者ではなく、地価は自分で上げる流のスタンスだったこと、戦後日本を代表するかのような個人的背景も目からウロコでした。