読書メーター KADOKAWA Group

2023年11月の読書メーターまとめ

Hiroshi
読んだ本
7
読んだページ
2516ページ
感想・レビュー
7
ナイス
144ナイス

2023年11月に読んだ本
7

2023年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Hiroshi
1960年代から90年代にかけて主にフランスで展開されたポスト構造主義である現代思想の入門の本。ダリデ、ドゥルーズ、フーコーの脱構築を経てラカン、メイヤスーに迄行き、21世紀の思想まで進む。ポスト構造主義の本は読みづらいので、「現代思想の読み方」が付録として付く。「重要なのは主なストーリーとそれを補うサブの部分を区別して読む」とあり、私が主張する「文章は説明する文と、説明される文に分かれ、後者が大事だ」とほぼ一致した。概念の二項対立を意識し、レトリックに振り回されないで、英語の文法を意識して読みなさいと。
Hiroshi
2023/11/20 17:31

構造主義とはパターンを重視する考え方だ。それに対してパターンの変化や、パターンから外れるもの逸脱を問題とし、ダイナミックに変化していく世界を論じようとしたのがポスト構造主義だ。一般に物事を考えるときに二項対立で考える。ポスト構造主義は差異の哲学と言われており、ズレとか変化が大事だと考える。二項対立は一方を負の価値観において考えるが、負の側に味方する論理を考え、勝ち負けが留保された状態を描き、二項対立の決定不可能生を担う第3の概念を使って考える。ダリデが概念で、ドゥルーズは存在で、フーコーは社会で行ったと。

Hiroshi
2023/11/20 17:32

フーコーは権力を悪の支配者との戦いと単純化しない。権力は上から押し付けるだけではなく、下からそれを支える構造もあって、本当の悪玉を見つけるという発想自体が間違っていると。近代社会では規律訓練と生政治が両輪で動いている。現代思想の発想はニーチェ、フロイト、マルクスに始まりがある。母の欠如の哲学のラカンは想像界から象徴界、そして現実界へと進む。現代思想は意味が逸脱して多様化することを論じるが、メイヤスーにおいては実在のレベルで徹底されている。否定的神学、複数性の問題では東浩紀がでてくる。1つ1つ取り組めと。

が「ナイス!」と言っています。

2023年11月の感想・レビュー一覧
7

Hiroshi
下巻は人類の統一の途中から現代、将来まで。貨幣・帝国に続き宗教は人類統一の要素だ。アニミズムから多神教が生まれ、多神教から一神教が生まれた。二元論もある。神ではなく自然法則の産物とする仏教もあり、これを拡張すると自由主義・共産主義・資本主義・国民主義も宗教だ。イデオロギーだ。交易と帝国と普遍的宗教によりグローバルな世界に到達した。1500年頃迄人類は医学・軍事・経済の分野で新たな力を獲得する能力があるとは思っていない。それ以降科学研究に投資することで自らの能力を高めることを信ずるようになった。科学革命だ。
Hiroshi
2023/11/29 17:07

科学研究は宗教とイデオロギーと連携して盛んになった。1850年頃からヨーロッパは科学革命で軍事・産業・科学複合体とテクノロジーを得てアジアの帝国を凌駕する。帝国主義は新たな領土と新たな知識を求めた。科学は帝国主義の事行に実用的な知識やテクノロジー上の道具を与えた。科学革命と進歩と言う考え方は経済にも取り込まれた。将来に信頼を寄せるようになり信用を生んだ。利益は再投資され、資本主義が生まれた。科学の発展がより経済を発展させた。熱運動を他のエネルギーに変換させる蒸気機関・内燃機関が発明され、産業革命がおこる。

Hiroshi
2023/11/29 17:07

人類の生産性は爆発的に向上した。資本主義は消費者主義になる。産業革命により人の生活は変わる。社会革命だ。家族と地域のコミュニティが崩壊し、国家と市場が台頭した。個人が独立した。富が土地でなく複合的な社会経済組織に変わり、戦争により得られる利益が減り戦争が少なくなる。文化は人を幸せにしたのか。幸せを主観的感情とみるか、真の自分を知ることとするかと幅が広い。21世紀になり人類は自然選択の法則を知的設計の法則に変えようとしている。遺伝工学・サイボーグ工学・AI。人類は何処に向かっていくのかは誰にも分からない。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
今から700万年前に現れたヒト。その中でホモ・サピエンスだけが生き残り文化を形成してきた。その道筋は、①7万年前の認知革命、②1万2千年前の農業革命、③5百年前の科学革命が、決めた。その流れを見ていく本。上巻は①②から人類の統一に向かう途中まで。ホモ属は何種かあり、同時に複数の種が存在していたこともあった。食物連鎖の中程に位置するサピエンスが頂点に立てたのは何故か。20万年前に現れたサピエンスは、7万年前に新しい思想と意思疎通の方法を獲得した。認知革命だ。現実に対し想像上の現実(虚構)を考えるようになる。
Hiroshi
2023/11/28 17:03

狩猟採集民だったサピエンスは肥沃な地域であれば理想的な栄養が得られていた。アニミズムを信じていた。サピエンスはアフロ・ユーラシア大陸からアメリカ・オーストラリアの両大陸や島々に進出する。進出先で多くの種を絶滅させており、最も危険な種となった。1万2千年前から農耕が始まる。漸進的だ。農耕民は狩猟採集民より苦労するが食べ物は劣った。劣悪な条件下に多くの人を生かしてしてことに。農耕は未来に対する不安を導く。その為大規模な政治体制や社会体制が生まれた。想像上の秩序だ。彼らは神話を共有した。それに基づく秩序だった。

Hiroshi
2023/11/28 17:03

複雑な社会が出現し始めると、その王国を維持する為に数理データを必要とした。数字と記号ができ、段々と完全な書記体となっていく。その最新がアルゴリズムだ。想像上の秩序はヒエラルキーを成し、人々は架空の集団に分けられた。人間社会は次第に複雑になり、社会秩序を維持している想像上の構造体も精巧になる。個々の文化が融合して統一へ進む。交易が盛んになると物々交換の限界となって、交換目的の価値を体系的に表す物が使われる。富を蓄え保存し運ぶ必要から貨幣が生まれた。更に人類の多様性が減ると帝国が生まれた。アッカド帝国だ。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
存在するものの全体を万物と呼ぶとすると、万物は生成してきたものと受け取るのが普通だ。宇宙創成神話では神々の生殖行為で生まれたと見る。これも普通。だが一神教では万物は人格的創造者によって一定の目的で創られたとする。特殊だ。哲学は存在するものの全体が何であるかの問いを立てる。自分が自然を越えた超自然的な存在であると思わないと考えられない。哲学は創られた万物を洞察するものであり、万物をなる、生まれたと自然に考えるのは哲学に反する。これを反哲学という。この反哲学の考えでニーチェ、ハイデガーまでの哲学を見ていく本。
Hiroshi
2023/11/22 17:29

ソクラテス以前の哲学は万物を生成するものと見ていた。プラトンが生成もしなければ消滅もしないイデアという超自然的な原理を設定してからは、万物はこの原理に則って形成される質料になってしまった。アリストテレスはこれをギリシア風に戻したが、形相-質料の図式を可能態-現実態の図式に組み替えたが不動の動者をおき、超自然的思考様式は継承された。キリスト教は世俗と神の国の二世界説と類似するプラトンの現実世界とイデア世界の哲学を利用して体系化した。アウグスティヌスだ。世俗化していくとアリストテレスの哲学を。以後は覇権争い。

Hiroshi
2023/11/22 17:29

ケプラーは質的自然観に量的自然観を持ち込み、ガリレオは数学的自然観の方法論的基礎を確立した。デカルトは量的関係を数学に関係させ、量は感覚ではなく精神の洞察するものとして生得観念とした。理性による生得観念の利用で独断論が横行し、それを批判したのが経験論。だが経験は蓋然性でしかない。理性的認識の有効・無効の場面を理性の自己批判によって区別したのがカント。カントの理性と実践の二元論を一元化したのがヘーゲル。近代哲学を完成させた。19世紀に科学的な世界観への危機から思想を形成したのがニーチェ。生を生成と持続と。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
1960年代から90年代にかけて主にフランスで展開されたポスト構造主義である現代思想の入門の本。ダリデ、ドゥルーズ、フーコーの脱構築を経てラカン、メイヤスーに迄行き、21世紀の思想まで進む。ポスト構造主義の本は読みづらいので、「現代思想の読み方」が付録として付く。「重要なのは主なストーリーとそれを補うサブの部分を区別して読む」とあり、私が主張する「文章は説明する文と、説明される文に分かれ、後者が大事だ」とほぼ一致した。概念の二項対立を意識し、レトリックに振り回されないで、英語の文法を意識して読みなさいと。
Hiroshi
2023/11/20 17:31

構造主義とはパターンを重視する考え方だ。それに対してパターンの変化や、パターンから外れるもの逸脱を問題とし、ダイナミックに変化していく世界を論じようとしたのがポスト構造主義だ。一般に物事を考えるときに二項対立で考える。ポスト構造主義は差異の哲学と言われており、ズレとか変化が大事だと考える。二項対立は一方を負の価値観において考えるが、負の側に味方する論理を考え、勝ち負けが留保された状態を描き、二項対立の決定不可能生を担う第3の概念を使って考える。ダリデが概念で、ドゥルーズは存在で、フーコーは社会で行ったと。

Hiroshi
2023/11/20 17:32

フーコーは権力を悪の支配者との戦いと単純化しない。権力は上から押し付けるだけではなく、下からそれを支える構造もあって、本当の悪玉を見つけるという発想自体が間違っていると。近代社会では規律訓練と生政治が両輪で動いている。現代思想の発想はニーチェ、フロイト、マルクスに始まりがある。母の欠如の哲学のラカンは想像界から象徴界、そして現実界へと進む。現代思想は意味が逸脱して多様化することを論じるが、メイヤスーにおいては実在のレベルで徹底されている。否定的神学、複数性の問題では東浩紀がでてくる。1つ1つ取り組めと。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
西洋近世の哲学史の全体にわたるハンドブックとして役立つような本。1965年に刊行された本の文庫化されたものであり、サルトル迄。①15・6世紀のルネサンスの時代、②17世紀の古典的理性主義に基づく形而上学の時代、③18世紀の啓蒙主義の時代、④18世紀末から19世紀前半のカントからドイツ観念論、⑤19世紀の科学の分化の時代、⑥20世紀の現在の哲学、からなる。①で自然主義、客観的観念論、自由の観念論が入り交じり、②④では自由の観念論から客観的観念論への移行がある。①は著者の『ルネサンスの思想家たち』で補足する。
Hiroshi
2023/11/15 18:40

②ベーコンは自然を征服することを求め、知識獲得の方法を考えたが完璧ではない。デカルトはコギト・エルゴ・スム故に心身分離の二元論の立場であり、人間を自由な主体が身体の生を支配する実践的可能性を吟味する。他にスピノザやライプニッツが後に影響を与えた。③ロックは経験論を主張しているが、経験論を完成させたわけではない。全ての考えに経験論的なものが現れているのではない。後に託している。④カントは大陸合理論と敬虔主義を統一した。『純粋理性批判』『実践理性批判』は神の存在等の形而上学が学問として成立しないことを証明。

Hiroshi
2023/11/15 18:40

しかし神の存在という形而上学的問いは人間に避け得ない問いであって無意味ではない。道徳的経験の場における実践的信仰の表現とみていく。そして『判断力批判』において美や生命についての目的論的反省を行った。⑤科学の発展は伝統的な哲学が思っていた世界と違う世界であることをはっきりさせていく。特に進化論は人間を神に似せて創られた者でないとした。実証主義、功利論、史的唯物論がある。⑥科学はアインシュタインで完成される。分析の哲学、プラグマティズム、論理実証主義、現象学、実存哲学、言語分析派など色々な哲学が出てくる。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
著者は野田又夫。330頁。ルネサンス期の思想家24人を紹介する本。ローマ法王庁にとりルターの宗教改革があり、反動宗教改革がおきた時期。ヨーロッパは百年戦争と疫病で英仏が衰退し、スペインは新大陸に進出、独伊が経済的文化的に繁栄していた。ビザンチン帝国滅亡によりギリシア古典が流入。信仰と理性の綜合はトマス・アクィナスによりアリストテレス哲学となる。オッカムは信仰と理性を分離させた。哲学は、①反宗教的アリストテレス自然主義、②キリスト教信仰の純化、③神秘主義、④人文学者の活動、⑤新自然学の形成、が基準線となる。
Hiroshi
2023/11/12 15:30

オッカムを基本とし論理学と意味論を捨てて修辞学を採るヴィラ。神は有限な差別の否定という道を通じて直観されるクザーヌス。哲学と宗教を同等としたフィチーノ。全ての哲学と宗教の中に1つの真理が象徴的にあるというミランドーラ。自由思想家の祖のポンポナッツィ。マキアヴェリは無政府より悪政の方が益し。聖書を人文学者の心で解釈したエラスムス。義は信仰による神の恩寵とするルター。義は聖霊により人が生まれ変わることとするシュヴェンクフェルト。普遍的な啓示を信じたフランク。錬金術から自然哲学と形而上学に向かったパラケルズス。

Hiroshi
2023/11/12 15:30

遊星の年周運動を説いたコペルニクス。百科全書家のカルダーノ。アリストテレスより近代科学に近づいたテレシオ。理性的認識における方法としての論理学を説くザバレラ。汎神論的一言論的形而上学のブルーノ。テレシオを宗教的意識の次元に高めたカンパネルラ。綜合神秘学のベーメ。懐疑論と寛容の精神のモンテーニュ。人間の技術的自然支配を求めたベーコン。正確な天体観測をしたティコ。その弟子で遊星の軌道を楕円としたケプラー。惰性の原理で力学を形成したガリレイ。望遠鏡で天体観測。天文学で異端。力学は次世代のニュートンが完成させる。

が「ナイス!」と言っています。
Hiroshi
西欧においてアリストテレスの哲学は代々引き継がれて来たのではない。ローマ帝国分裂後、西ローマはラテン語化が進みギリシア語は忘れ去られていく。東ゴートの宰相になったボエティウスはプラトンやアリストテレスの書籍等をラテン語に訳したが、形而上学や自然科学は訳されなかった。プラトンは感覚的知覚の背後に純粋な思惟の領域があるとみた。アリストテレスは現実世界が個々の実体からできており、実体は可能性を実現する途上にあるという。プラトンの思想は渇望が渦巻いている時代に適し、アリストテレスの思想は社会が成長する時に適する。
Hiroshi
2023/11/07 17:08

ゲルマン民族による西ローマ滅亡の危機の5世紀に、アウグスティヌスは新プラトン主義により信仰と理性を調和させた。以後7百年の思想となる。12世紀にレコンキスタによりイスラムがアラビア語に訳した哲学書がラテン語に訳され西欧に入ってきた。直ぐに利用したのはアベラールであり、大学の道を開いた。腐敗したカトリック聖職者に対し民衆は大規模な福音伝道運動を興し、異端だが清貧のカタリ派が流行り、アッシジのフランチェスコが清貧を伝導する。教皇はフランシスコ会をカトリックに取り入れ、ドミンゴにはドミニコ会でカタリ派と戦わす。

Hiroshi
2023/11/07 17:09

カタリ派と戦うにはアウグスティヌスの思想では勝ち得ない。ドミニコ会は新しいアリストテレスの哲学を望む。だがその思想はカトリックと整合が難しい。異端に陥る可能性がある。アルビジョア十字軍でカタリ派を倒した後、パリ大学でドミニコ会のトマス・アクィナスがアリストテレス哲学をカトリックの教義に整合する範囲内で利用して新たな神学を創る。聖人となる。以後はフランシスコ会のオッカムが信仰と理性の分離を主張する。自然科学の発展の始まりだ。中世の覚醒が確かにあった。イスラム経由であったという汚点がこのことを忘れさせたのか。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/01/15(4182日経過)
記録初日
2013/01/06(4191日経過)
読んだ本
1129冊(1日平均0.27冊)
読んだページ
329654ページ(1日平均78ページ)
感想・レビュー
1030件(投稿率91.2%)
本棚
50棚
性別
読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう