彼女は、寝室から流れる斜めの光に照らされた、青年の横たえられたからだと、波うつ寝息を見た。彼女は枕の下につぶされた顔と、項の後ろの、ふたつの、椎骨の間のすじを見つめた。彼女は、自分自身の青春が眠っているのをながめているような気持ちだった。
車が暗い橋を渡るとき、彼女はいかにもくたびれた様子で僕の上着の肩に顔をこっそり寄せた。そして誘いかけるように手を押しつけてきたとき、三十歳になっことの暗い衝撃は、僕の心から遠のき霞んでいった。 そうやって僕らは涼しさを増す黄昏の中を、死に向けて一路車を走らせたのだ。
ギャツビーは緑の灯火を信じていた。年を追うごとに我々の前からどんどん遠のいていく、陶酔に満ちた未来を。それはあのとき我々の手からすり抜けていった。でもまだ大丈夫。明日はもっと速く走ろう。両腕をもっと先まで差し出そう。・・・そうすればある晴れた朝に__だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。
肥料の3要素、窒素・リン酸・カリ。商品に3つの数字が入っているのはその割合。RNA干渉を利用した防除法「RNA農薬」。有機農業25%を目指すのは、日本の人口減少で失われるマーケットを輸出で補うため。新規就農は最低800万円の資金が必要、設備投資を念頭に置いた1000万円の新規就農者育成総合対策(旧青年就農給付金は年間150万円を最大5年間給付)。バイオエタノールについて。
カルトや陰謀論に染まった人へは、まずこちらの心配や思いやりを示すことが大切で、これを論理的な争いにしてしまうと、対立の深まりから事態を悪化させてしまう恐れがある。
書くことは、事象を書かれたことと書かれなかったこととに二分するにすぎない。それなのにわたしたちはややもすると、書かれたものが事象のすべてであるかのように誤解しそうになる。言葉にされなかったものは存在しないかのように、やすやすと「書けた」と思いそうになる。言うまでもなくわたしだってそうで、だから生きている夫がわたしの書く「夫」を超えていくことが、その慢心を思い知らせてくれるようでうれしいのだ。それはつまるところ、夫が生きているというそのことがうれしい、という地点へ、かぎりなく近づく。(事象がわたしを)
その夜、再びあなたと安宿におちつこう。そして静かに狂おしく、あなたの突起物から流れ出るどろどろの粘液を、私のあらゆる部分になすりつけよう。血とくその混沌の中を裸足で歩いていくように、あなたの黒い粘液を私になすりつけよう。そして次の朝、静かに言葉をかわすこともなく別れよう。それから私は、原始の森にある湖をさがしに出かけよう。そこに小舟をうかべて静かに眠るため。
原始林を暗やみが包みこむ頃になったら/湖に小舟をうかべよう 衣服を脱ぎすて/すべらかな肌をやみにつつみ/左手に笛をもって/湖の水面を暗やみの中に漂いながら/笛をふこう 小舟の幽かなるうつろいのさざめきの中/中天より涼風を肌に流させながら/静かに眠ろう/そしてただ笛を深い湖底に沈ませよう (6月22日ノートに記された最後の詩の最終3連)
なるべくジャンルに偏りがないように、
1日1冊程度読んでいます。
最近は絵本の「深さ」にはまっています。
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