ネタバレ優しくなければ生きていく資格がないなんて言葉もあるけれど、実際だと家庭でも社会でも優しいと押し付けられたり侮られたりする。ただまだ自分で逃げ出す手段のない子供たちは、親に一方的に荷物を押し付けられても優しくなる以外の選択肢が与えられていないように思った。暁海も櫂も最期には自分の人生を生きられたけれど、最期になんてあまりにも遅すぎるように感じた。『正しさなど誰にもわからないんです。だから、きみももう捨ててしまいなさい』（P306）

ネタバレ嫌いなものの話も盛り上がるけれど、好きなものの話はその人をかたちづくるものを知れた気がして、その人に近づけた気がして嬉しくなる。そしてお兄さんが三歩を誘うに至る理由を知り、推せるぅと思った私です。『やることがないっていうのは、大抵、（今の気分に合った楽しいことを今すぐしたいのに）やることがない、ってことだ。やるべきことなんてお呼びじゃない。おととい来やがれ。』（P372）

ネタバレニヤニヤと批判ばかりの沼田に嫌悪感を抱くも次第に付き合いがよく割り切っているようで心に鬱屈した思いを抱えている沼田の人生が順調に進むのを願ってしまう。でも最後は爽やかな笑みを顔に貼り付けたままこれと決めた人を献身的に支えること以外は何も決断できない男になってしまっていた。なりたい自分にはなりたいけれど、なりたい自分ってそもそもなんなのだろうな。『何を選んで何を残すか、私たちはみんな違う人間なのだ。それなのに、分かり合おうなんて、同じ方法で愛し合おうだなんて、おこがましいのだろう。』（P99）

ネタバレ優しくなければ生きていく資格がないなんて言葉もあるけれど、実際だと家庭でも社会でも優しいと押し付けられたり侮られたりする。ただまだ自分で逃げ出す手段のない子供たちは、親に一方的に荷物を押し付けられても優しくなる以外の選択肢が与えられていないように思った。暁海も櫂も最期には自分の人生を生きられたけれど、最期になんてあまりにも遅すぎるように感じた。『正しさなど誰にもわからないんです。だから、きみももう捨ててしまいなさい』（P306）

ネタバレ余命ものと聞くと確かに懸命に生きる主人公とそれに励まされる周囲の人々、美男美女うんぬんかんぬんを安易に想像してしまうかもしれない。それらのお約束はどんどんひっくり返るけれど、最後はちゃんと主人公っぽい。救いがあるのはほっとするのです。『もしお姉ちゃんが病気にならなかったら、もう少しだけ世界が綺麗に見えてたかもしれないって。自分のことも、もっとましな人間だと思えてたんじゃないかな。自分のなかの綺麗じゃない部分に、一生気づかないでいられたかもしれない。』（P194）