それにしても、ミステリというジャンルは、先人へのリスペクトを含んだ「ジャンルへの自己言及」が多いよなぁ、と感じる。本作の出版当時の想定読者は、ある程度ミステリをたしなんだ人たちだと思うけど、それが今や読書好きの間に広く膾炙しているのを見ると、ミステリファンの端くれとして感慨深い。ミステリというジャンルにとっても、読書好きの方々にとっても良いことだと思う。
それと、那織が『ホワイト・ジャズ』を買うシーンで、エルロイの暴力は戯画化されていることが多いからジム・トンプスンやジャン=パトリック・マンシェット、ダシール・ハメットあたりがぴったりだったのでは? とどうでもいいことを感じた。
補足:ただ、この巻だけを読んでちょっと心配になったのは、著者は「自分の言葉」だけで物語ることはできるのかな? ということ。引用やオマージュをするにしても、読者がそれと気づかずに、あるいは気づかなくても面白がれるように小説を楽しませる技術があるのかまだわからないので、今後どう展開するかは期待している。
まっつー(たまさか)です。元KSD(某大学ミステリ研)/SF研。
海外ミステリと海外文学が好き。色々なジャンルを読みたいという気持ちはありつつ、ミステリを主に読んでいます。
様々なジャンル・カテゴリをバランスよく読んでいくのが今後の目標です。
私のオールタイムベスト5(ご参考までに)(短篇については単一の作品名です)
(ミステリ)(長篇)
1:ジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』
2:横溝正史『獄門島』
3:ジャン=パトリック・マンシェット『殺戮の天使』
4:デニス・レヘイン『愛しき者はすべて去りゆく』
5:麻耶雄嵩『夏と冬の奏鳴曲』
(ミステリ)(短篇)
1:ローレンス・ブロック「バッグ・レディの死」
2:ジョー・R・ランズデール「ババ・ホ・テップ」
3:竹本健治「閉じ箱」
4:S・J・ローザン「ペテン師ディランシー」
5:倉知淳「幻獣遁走曲」
(文芸)(長篇)
1:ジョン・ファンテ『犬と負け犬』
2:コーマック・マッカーシー『ブラッド・メリディアン』
3:庄野潤三『夕べの雲』
4:澁澤龍彦『高丘親王航海記』
5:リチャード・パワーズ『幸福の遺伝子』
(文芸)(短篇)
1:ウィリアム・トレヴァー「パラダイスラウンジ」
2:アーネスト・ヘミングウェイ「二つの心臓の大きな川」part1, part2
3:ウィリアム・トレヴァー「版画家」
4:ホルヘ・ルイス・ボルヘス「死とコンパス」
5:リチャード・ブローティガン「クリーヴランド建造物取壊し会社」
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それにしても、ミステリというジャンルは、先人へのリスペクトを含んだ「ジャンルへの自己言及」が多いよなぁ、と感じる。本作の出版当時の想定読者は、ある程度ミステリをたしなんだ人たちだと思うけど、それが今や読書好きの間に広く膾炙しているのを見ると、ミステリファンの端くれとして感慨深い。ミステリというジャンルにとっても、読書好きの方々にとっても良いことだと思う。