震災時の描写は重く、仄暗く、こちらに迫ってくるものがありました。そしてそこからの復興がオリンピックによって途絶えてしまっている、という虚しさも。ただ、物語の骨格が何となく弱いように感じてしまいました。前作の護られなかった者たちへの方が、やるせなさ・憤りなど、感情を揺さぶられるものがあったかなぁーと･･･でもやっぱりこの宮城県警シリーズは重いテーマなだけあり、読むのにエネルギーが必要とされます。

文がどうして更紗を家に連れて行ったのかがずっと分からずに読み進めていたけど、文のパートで納得。自分だけ周りから取り残されていく絶望感をずっと感じていたんですね。その絶望感から救ってくれたのが更紗だから、更紗には幸せになって欲しいと思っている。世間的には2人でいることが歪だけど、2人にとってはようやくあるべき姿に落ち着いたんでしょうね。実際の事件にも、当事者だけにしか分からない真実がたくさんあるんだろうな･･･

QPちゃんの反抗期とその理由に心を痛め、茜さんの娘さんへの手紙に号泣し、先代の恋文に切なくなり、心が大忙しでした。 家族がいつのまにかたくさん増えてて、それにもビックリ！ そしてバーバラ婦人の生まれてきた理由がとても素敵でした。私も遊園地で精一杯楽しんで、たくさん笑って過ごしたいなー

今までの殺し屋シリーズとは異なり、主人公は兜という1人の殺し屋に絞ったもの。殺し屋なのにちゃんと文具メーカーの営業としても働いており、妻と息子もいる。そして妻に必要以上に怯えて、妻の言動に常に細心の注意を払って妻を刺激しないようにしているという、何ともまぁ殺し屋らしくない人間味あふれる一面がある。 深夜のデパートで奈野村と格闘中に子供のマネキンを倒してしまい、それを2人で元に戻すシーンが印象的。キッズパーク開園のチラシが大切にとってあったことは最後まで読むと泣けてくる