ネタバレ読み飛ばし厳禁。序盤は登場人物（というより、その場に登場していない人物）の多さに手こずるが、すべては謎を作り上げるためのステップに過ぎない。一番の仕掛けにはすぐに察しがつくものの、物語を味わい尽くすには助走がいる。彼と彼女の初デート？を経て物語は加速し、全体像が浮かび上がっていく……。どうしようもないクズどもの物語である一方、戦いの犠牲になっていく人々を丁寧に描いているところが胸を打つ。そこが、最近のジェットコースターなフィクションとは一線を画す。真犯人？が名乗り出た以降の展開には苦笑を禁じ得ないが……。

ネタバレ読み飛ばし厳禁。序盤は登場人物（というより、その場に登場していない人物）の多さに手こずるが、すべては謎を作り上げるためのステップに過ぎない。一番の仕掛けにはすぐに察しがつくものの、物語を味わい尽くすには助走がいる。彼と彼女の初デート？を経て物語は加速し、全体像が浮かび上がっていく……。どうしようもないクズどもの物語である一方、戦いの犠牲になっていく人々を丁寧に描いているところが胸を打つ。そこが、最近のジェットコースターなフィクションとは一線を画す。真犯人？が名乗り出た以降の展開には苦笑を禁じ得ないが……。

ネタバレ図書館本。心躍る道具立てだし、犯人の狙いも面白いのだが、なんだかとてももったいない。紙幅を割いている割には描写が物足りず、魔女のエピソードの落ち着いた先には呆然とした。結局、どういう意志が惨劇をもたらしたのか？と考えると、最後の独白は拍子抜けで飲み込めない……。『犬神家の一族』に曽孫の世代まで！という野心は微笑ましかった。ただ、その割には間引き過ぎで、一人ひとりの印象も薄いから「実はこういう人間でした！」にピンと来ない。とはいえ、そのおかげで終盤手前の暴挙に面食らったのも確か。若い頃に読みたかったな……。