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2024年8月の読書メーターまとめ

toriaez
読んだ本
11
読んだページ
3730ページ
感想・レビュー
11
ナイス
60ナイス

2024年8月に読んだ本
11

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

toriaez
ネタバレいかにして毒を盛るか? 密室に次ぐミステリの花形……は過言かも知れないが、会食場面での投毒って中々の不可能性を帯びている。①自分や無関係なひとを除いて、②タイミングを見計らって、③疑われずに、毒を盛る。この条件があるから「対象選択」「アリバイ」「心象」の三点を満たす論理が必要。今作は正直無個性な「おじ」「おば」が多く、アリバイ確認で眠くなったが、解答に衝撃。「盛ったのではなく無毒なものを後から持ち込んだ」のも盲点だったが、座敷童子を「子持ちのはずの犯人が子供達を丸ごと狙えた理由」="why"に絡めるとは。
が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
11

toriaez
ネタバレホラー小説ながら、最後に触れられていたように「私たちの怪異の解釈がこれまでのフィクションに寄って立ちがち」というホラーファンの自己批判みたいな性格を持っている。ゆえに新鮮。「そういえば、そもそも……」という素朴な疑問を深掘り・再検討している。まあ結局ほぼ怪異路線ではあるが、なぜ明るいと安全か、なぜ怪異の跡は濡れているかなど、「あるある」を再び「ふむふむ」と楽しむことができた。文体が簡素で露骨に怖がらせてこないのも、安易に超常を自明のものとしない世界観とシナジー。最近ホラーに食傷気味の人、口直しに良いかも。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレ戦争、チベット、皇統まで絡めるとは……! スケールも思い切りも常人離れしている。歴史に疎く最終盤がぼやけた理解になったのは悔しいが、それでも天才の知識量と飛躍的な発想力に終始圧倒され続ける幸福な読書だった。北森氏はもちろん、引き継いだ浅野氏の解読力や執念も凄まじい。探偵役を実際にやり遂げたようなものじゃないか……。/ミステリとして筋が通っているのも良いが、やはり「想像の学問」民俗学の柔軟さや説得力が面白すぎる。材木、製鉄、水害・土砂災害、米、酒、宗教、民、国、権威、陰謀……こんなに何もかもが繋がるなんて!
toriaez
ネタバレ資本主義社会だから、稼ぐしかない。知能で。しかし差別に繋がるので大っぴらに認めるわけにはいかないが、ひとの能力は伸びない(イデオロギーが科学的正しさを隠している)。子どもは同年代に放り込むと自分の好き(比較優位)を引き出すから、成功するとは限らないが、せめてそれで生きていくしかない。ただ、社会も情報化したから、ニッチ(自分だけの地位)を見つけられる可能性も増した。収入はともかくとして評価を得れば、社会的な生態を持つ私たちは、多少はマシに生きられる。主には進化心理学と経済学で、スパッと世界を示してくれた本。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレ最初は読みにくい文体に感じたが、中盤以降は気にならず。著者が執筆中に熟達していったのかこちらが慣れてしまったのか。/子どものころの幼稚な願いが望まぬ形で叶ってしまい、対価を求める呪いの化身が今さらになって牙を剥く。その呪いの真相に迫りつつ、各人物のコンプレックスを巡る物語も描かれており、連作短編集のような側面も。その各人物の小さなうまくいかなさに切実さがあった。事件も人物も書こうとするのは挑戦的で良いと思う。呪いの出所が防空壕に住み着いていた浮浪者、というのも不気味。ただ、呪いの輪郭があやふやだったかな。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレ首にネギを巻くみたいな民間療法とかお呪い、山伏など半俗の呪術医について書かれた本かと思ったのだが。多くが「伝承に込められた災害」。サブタイトルのほうがタイトルとして相応しかったのでは。あと、何かと「今一度省みるべき」という主張に帰結しがちで、ど素人からすると強引に思えてしまった。学問だからって、無理に役立つ教訓話にしなくても。やろか水や予言獣などは、災害自体を後世に伝える面よりも「災禍の後は『そういえば前兆があった』などデマが流れ、事実よりも不気味さ・恐怖ばかり残ってしまう」みたいな厄介な面が強そうだが。
toriaez
ネタバレ一度は解決したかと思わせ、仕掛けられた叙述トリックが推理を覆す、そして……。「ホラーと思わせてミステリ」はたまにあるが「ミステリと思わせてホラー」な小説。私は著者のホラーが好きなので書き続けてくれて嬉しいが。いかにも多重解決ものっぽい構成だったから、最後に黒幕が「怪異の仕業」と語り出した時、それすらも論破する展開があるのかと思ってしまった。だが、このミステリ色濃厚な流れでまさかの「怪異が犯人」。衝撃を受けるか拍子抜けするか、賛否ありそう。いや、変にミステリ慣れしてしまっている読者への悪戯心もあったりして。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレええ? 終わり? まあ元が映像作品群だし味わいが損なわれている面は大いにあるだろうが……。だが、そういった視聴覚経由の刺激が削がれているから物足りない、というだけでなく、各話の示し方があまりに無造作というか……。情報がひとつの真相に収束していくのかと思いきや、さほどの関連も見せないまま、ぷつっと終わってしまう。全力で考察したら何かしらの筋はこじつけられるだろうけど。まあラストの魚拓から考えると「考察しているやつを笑う」意地の悪さもあるのかな? エピソード単体や小道具を見る分には不穏で面白い。自由研究とか。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレ過去に発表したものの影響でこの著者にはかなり抵抗があったが、意外な表紙だったので買ってしまった。こういう面もあるのか。詳しくはないが、オブジェクト「夏号 平成二十八年」&「⬛︎⬛︎高校『基地』周辺」とでも言えるSCPテイストに、ボーイミーツガール(正確にはガールロストボーイ)を絡めた作品。お得意の「企画」「しかけ」ではなく「物語」「人物」が濃かったね。所謂フォリアドゥ的関係の中で、自殺既遂の瞬間の思いにも迫った上で、彼を否定したくない。最後まで恐怖し、生きて存在していた。それを示すために手向けられた噂話。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレいかにして毒を盛るか? 密室に次ぐミステリの花形……は過言かも知れないが、会食場面での投毒って中々の不可能性を帯びている。①自分や無関係なひとを除いて、②タイミングを見計らって、③疑われずに、毒を盛る。この条件があるから「対象選択」「アリバイ」「心象」の三点を満たす論理が必要。今作は正直無個性な「おじ」「おば」が多く、アリバイ確認で眠くなったが、解答に衝撃。「盛ったのではなく無毒なものを後から持ち込んだ」のも盲点だったが、座敷童子を「子持ちのはずの犯人が子供達を丸ごと狙えた理由」="why"に絡めるとは。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレ白魔、災園あたりを読んで三津田さんは自分に合わないのかな、と思っていたが、これはかなり良かった。さすが。ミステリとホラーの融合、絶妙な構成・配分。最後まで読めばミステリだが、逆に言えば最後まで表裏一体の面白さがある。中盤で物語の骨子が『連続殺人』と分かってきた後も、垂麻の合祀した『達磨』の謎めきがホラー色を失わせない。さらに、読み終えても余韻がある。最初の生命の電話での童謡はやはり霊のようだし、結局『達磨』とは何だったのか……。そういったあえて残す謎もありつつ、細かな伏線まで丹念に回収。お見それしました。
が「ナイス!」と言っています。
toriaez
ネタバレロ・テストの継起分析に似た、「生きた読み」とでも呼べるような捉え方で、自分としてはしっくり来た。静的な完成図より、動的な構成過程を見る。特に領域の生まれ方と、要素が寄り添っているのかカウンター的に位置付けられるのか、辺りが要点か。そこを手がかりに主体の確かさや柔軟さ、世界観(遠い・呑まれがちなど)が見えてくる。ただ「田ショック」は興味深いが慎重に考えたい。形も位置も不定に描ける川・山に比べて田は「平地の方形」が典型、ここで初めて適切なサイズや角度=「空間」の構成が要求されるのだから、戸惑うのも当然な気が。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/08/14(4065日経過)
記録初日
2014/03/02(3865日経過)
読んだ本
565冊(1日平均0.15冊)
読んだページ
163180ページ(1日平均42ページ)
感想・レビュー
526件(投稿率93.1%)
本棚
6棚
性別
年齢
36歳
血液型
AB型
職業
サービス業
現住所
三重県
自己紹介

ジャンル関係なく、のんびり本を読んでます。

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