SF作品としての世界観の設定、物語の展開、未来の姿の形など、非常に興味深く読み終えた。あらすじだけでもとても興味深かったが、期待を裏切らない作品の出来栄え。黒幕、真犯人が分からない中で、大規模テロの犯人とされる主人公の園晴壱。何度も絶体絶命なピンチに陥りつつも周囲の人々に助けながら逃亡する場面の数々にハラハラドキドキしながら楽しめた。ラスボスの人物のキャラクターがもっと尖っていれば、より物語が引き立ったのかなとも感じた。けれど、このような未来があり得るかもしれないと感じさせてくれるほどリアリティも感じた。

【人類の存在価値】「ホモ・サピエンスは消滅する」(P301)可能性があるとすら言うハラリ。人間のみが価値や生きる意味を見出し、経験をする。だから人間には、至上の価値があるとする考え方が人間至上主義だ。現代の我々はこの人間至上主義に基づく自由主義を土台として生きている。しかし、この人間至上主義が、データやアルゴリズムによって崩されるというのが彼の主張だ。非常に刺激的で今後無視出来ない議論の数々に圧倒された。民主主義の機能不全は、政治がテクノロジーの進展のスピードについていけていないからという主張に納得した。

【我々はこれから何を信じて生きていくのか】ハラリは本書で、人類は何を目的に生きていくのかを問う。現実的に人類が目指していることは、不死、幸福、そして神になることだとハラリは述べる。なるほど、と思う。人間の歴史には様々な虚構が存在した。偶像崇拝、古くからの宗教、アニミズムetc．我々はそれら宗教から解放され、今や国家や企業という虚構の下に今の所生きている。それらの虚構から仮に解放された人類が未来に現れるとすれば、そんな世界で我々の生きるための規準とは何が残るのか。そんなことを本書を読みながら思った。

SF作品としての世界観の設定、物語の展開、未来の姿の形など、非常に興味深く読み終えた。あらすじだけでもとても興味深かったが、期待を裏切らない作品の出来栄え。黒幕、真犯人が分からない中で、大規模テロの犯人とされる主人公の園晴壱。何度も絶体絶命なピンチに陥りつつも周囲の人々に助けながら逃亡する場面の数々にハラハラドキドキしながら楽しめた。ラスボスの人物のキャラクターがもっと尖っていれば、より物語が引き立ったのかなとも感じた。けれど、このような未来があり得るかもしれないと感じさせてくれるほどリアリティも感じた。

駄犬さん最新作ということで購入し読了。物悲しくもあり、読者に生きることとは何か、ということを投げかけてくるような作品だと感じた。かつて強力な魔法により世界を支配していたというアスラの民の血を引く者として生まれたルナ。彼女の人生は、人買いに買われ、そして売られるというところから始まる。そんな彼女は、そもそも人間とは、人生とは、人間の価値はどこにあるのかという根源的な問いを持ちながら時を過ごす。師匠カーンの孤独への想いや、ラトの愛情の深さなど、人はいかに生きてそして死ぬかをこの物語を読みながら考えさせられた。