近年勢いのある作家にまったくついていけてないので直近５年くらい本屋大賞を追いかけよう月間（期間未定）の第一弾。読みやすくしっかりした地の文、時々きらっと光る鋭い心理描写。他人の善意なんて的外れで息苦しいという冷静な落胆と怒り、自分のことでいっぱいいっぱいだった更紗が初めて他人を救いたいと心から願う純粋さが光ってた。相手を救いたいと思う気持ちは必ずしも相手を救わない、でも心からその気持ちが沸き起こるという経験は自分自身の救いになる。自分の力で救える相手に出会えるのも幸福。

初読み作家。展開的にも思想的にも尖りが少なくさらっと読める。個人的にはもう少し地の文が詰まってる方が好みだけど、誰でも読めそうな間口の広い小説。本屋大賞ノミネート作を見てると「孤独」がテーマの本がこんなに多いんだなあと思ったけど、たぶんこれは重たくない方。

近年勢いのある作家にまったくついていけてないので直近５年くらい本屋大賞を追いかけよう月間（期間未定）の第一弾。読みやすくしっかりした地の文、時々きらっと光る鋭い心理描写。他人の善意なんて的外れで息苦しいという冷静な落胆と怒り、自分のことでいっぱいいっぱいだった更紗が初めて他人を救いたいと心から願う純粋さが光ってた。相手を救いたいと思う気持ちは必ずしも相手を救わない、でも心からその気持ちが沸き起こるという経験は自分自身の救いになる。自分の力で救える相手に出会えるのも幸福。

「この世に生を受けて、何かひとつ大それたことをしたかったのだ。」柏木が女三の宮に執着した背景が刺さる。光源氏の因果応報というだけでなく、平凡な男が光る君に一矢報いたドラマでもある描き方がよかった。