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2024年10月の読書メーターまとめ

OjohmbonX
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感想・レビュー
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ナイス
76ナイス

2024年10月に読んだ本
16

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

OjohmbonX
「英国の暮らし」「海外での文系の博士課程」「日本美術史の専門家の仕事」のどれもが縁遠い世界で、それ単品でも面白いのに、ここに「皇族の生活」というほぼ他の人が加えられない要素まで絡んでくるので、突き抜けて面白くなってしまう。常に護衛(側衛)がつくことに窮屈を感じないのかという疑問に、子供の頃からいたのでいない方が違和感があるという話や、側衛の人間らしいエピソード、欧州で2週間以上の滞在では側衛がつかなくてOKのルールなども意外で面白い。
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2024年10月の感想・レビュー一覧
16

OjohmbonX
冤罪事件の無罪判決を勝ち取り続ける今村核弁護士のルポだが、爽快感より切なさを感じるのは、マイナスがゼロになる、本来は不要だったはずの身柄拘束や経済的な負担、名誉の毀損を強いられていたのが解消されただけだと感じられてしまうためかもしれない。裁判官、検察官、警察官の個人ではなく構造的な問題で、回避できたはずの冤罪が生じてしまう。構造的な問題を、個人の努力や素質で防ごうとすると、その個人に過大な負担がかかってしまう。本書も今村弁護士本人の葛藤や苦しみが描かれるが、一方でこの人のキャラクターがあまりにも面白い。
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写実的なネフェルティティの胸像に対し、同時代のツタンカーメンのマスクが人間離れしているのは、王を神と同一視する宗教の採用に由来する。透視図法が発達した西洋絵画に比べ、同時代の日本の絵画がそうではないのは、壁などにかけて鑑賞せず、手元で巻き物などスライドして鑑賞するスタイルの違いに由来する。美術史は、美を判断するのではなく、何故その作品がそう存在するのか、単に技術の巧拙ではなく、時代背景や社会的な要請、経済構造などと照合していく営みになっている。その具体的な作業の一端を見せてくれる。
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台北の故宮博物院に行った時に買った、陶磁器の代表作を日本語で解説してくれる本。年代順に並べると、中国での陶磁器の発達の流れだけでなく、当時の政治的な背景もリンクしていて面白い。かなり早い段階から、器に書を刻したり書いたりしている。清の雍正帝の時代の琺瑯彩は、詩・書・画・印が一つの器の中に同居していてゴージャス。雍正帝が宮廷内の文物の様式の基準を出し、その基準に合致した作品としてそうなっているのだという。どの時代の器も、今見ても溜息が漏れるような精緻さ。
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写真甲子園という高校写真部の全国大会があるのは知っていたけれど、かなりハードな大会なのね。本戦は北海道東川町で代表選手3人が3日間かけて撮影、膨大な写真から8枚を選ぶ。顧問の指導は制限されるため、選手の自律的な動きや、選手間の連携や信頼感が試されるという。作品の価値判断から、持続的な組織づくりまで、書名通り「写真部活躍のポイント」がコンパクトにまとまった本。
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元検事の弁護士の中でも、検事総長や高検検事長など幹部経験者の大物ヤメ検の関わった事件に関するルポ。石橋産業事件で服役したヤメ検弁護士・田中森一がインタビューで、元特捜検事などの看板で長く活躍できるわけではなく、刑事事件の筋読みの正確さが必要だという。一方でそれは、必ずしも被疑者・被告人の利益の最大化より、「このケースではここで手を打つよりしょうがない」とある種の固定観念や常識として働き得るのかもしれない。
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旅番組のような雰囲気で、北欧の陶磁器そのもの(歴史や特色)を紹介したり分析したりするというより、その土地の人との出会いなどをきれいな写真と共に軽く語る。エッセイというよりも、雑誌の無署名のちょっとした記事を集めたような感じ。
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KADOKAWA会長だった著者は、東京五輪汚職事件の容疑で逮捕される。逮捕・勾留されると、十分な医療へのアクセスが制約されてしまうのは、特に持病がある人や高齢者にとっては厳しい。経済事件の場合は物的証拠が少なく、関係者の供述の比重が上がるため、特に「人質司法」化しやすい。身柄の拘束自体が必要だとしても、QOLを下げたり、社会復帰を困難にさせることで、検察側で想定するストーリーに合致する供述をさせようとするのは真実の追求とは程遠い。著者は人質司法の違法性を訴えるために国家賠償請求の訴訟を提起している。
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タイトル『検察の正義』はダブルミーニングのようだ。一方が日本では実体的な真実を明らかにして個人を処罰することが「検察の正義」とされることで、人質司法的な長時間の拘束や自白主義、ストーリーありきでの冤罪に繋がる負の側面の話。他方が被疑者や関係者、捜査機関に社会的な意義を納得して協力してもらいながら、腐敗構造を明らかにしていくような検察組織の運営も目指せるし、できた実例という正の側面の話。両者が描かれてとてもおもしろい本だった。特に特捜検察が政治事件から経済事件にシフトした経緯や背景の話も面白い。
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知的障害のある犯罪者は刑務所ではなく支援施設などへ送られる、という現実にはなっていない。責任能力が云々されるのは殺人や放火など「重大な罪」だけで、圧倒的多数のその他の犯罪では適用されない。刑を減免されるには反省や釈明を見せなければならないが、知的障害者には難しく、わずか計300円の賽銭泥棒で2年6ヶ月の懲役刑になってしまう。受刑者の5人に1人が知的障害者だという。著者は民主党代議士時代に秘書給与詐取事件で実刑判決を受け、受刑者として障害者の世話係をした経験から、出所後もサポート活動を続けているという。
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時代劇・時代小説を好きな人はとても楽しめる本。江戸城本丸、大名屋敷、町奉行所、表店、裏長屋等、間取りを通して当時の身分制の仕組みや生活が浮かび上がる。3Dで中を好きに探検できたら楽しそう。旗本・御家人は拝領した土地屋敷の一部を町人等に貸出して収入を得て、人口が急増した江戸の土地の利活用や経済活動の一端も面白い。漱石「吾輩は猫である」で、銭湯の湯船が真っ黒で芋洗い状態という描写を昔に読んだけど、本書の湯屋の項で、水が豊富に使えず浴槽は最初に体を温めるだけでど汚かったと紹介されていて疑問が解消された。
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現代でもスーツの形や学生の私服も10年経てば雰囲気が変わる。同時代を生きている我々から見るとその差で時代感を感じ取れるが、例えば外国や数世代先の未来から見たら分からないだろう。江戸時代と一括りに言っても260年も続いたのだから、ずっと同じ格好をしているはずがないが、時代劇などではどの年代でもビジュアルが変わらないし分からない。本書は、江戸時代や明治~昭和の服飾に関して主に文学を題材に、当時の人々の価値観や感覚を浮かび上がらせる。男女間でのディテールの侵襲、洋服の定着、特定の色へのまじない的感覚など。
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物語を支える要素を6つに大別し、人が物語に快楽を感じるために必要な工夫を要素ごとに解説する。エンタメを全うするなら、本書の解説は非常に参考になる。一方で工学であって芸術ではない、と本書で明言されるように、物語は小説の一要素であり、(一般にそう思われているのとは異なり)小説というジャンルにとって主要素ではないので、より小説に対して誠実さを突き詰めようとする場合は、恐らく本書で語る工学的な正しさはかなぐり捨てたり、バランスを無視して一部の要素のみが肥大したり、まるで知らずに書かれたりすることになる。
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小中学生の時に読むと楽しそうな、ただ大人でも案外知らないことの多い、身の回りの色々なしくみの本。読んでいると「もう一歩踏み込んで説明してほしい」という気持ちについついなってしまうが、本書の幅広く紹介するスタンスが破綻してしまうのでしょうがない。子供の頃に、子供向けの図鑑や百科事典を熱心に見てた時の感じを思い出して懐かしさを感じた。
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OjohmbonX
「英国の暮らし」「海外での文系の博士課程」「日本美術史の専門家の仕事」のどれもが縁遠い世界で、それ単品でも面白いのに、ここに「皇族の生活」というほぼ他の人が加えられない要素まで絡んでくるので、突き抜けて面白くなってしまう。常に護衛(側衛)がつくことに窮屈を感じないのかという疑問に、子供の頃からいたのでいない方が違和感があるという話や、側衛の人間らしいエピソード、欧州で2週間以上の滞在では側衛がつかなくてOKのルールなども意外で面白い。
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OjohmbonX
男女の特質を脳・遺伝子・本能等と結びつけ、あたかも科学的に自明であるように(かつエビデンスを一切明示せず)断言する姿勢が私には全く受け入れられなかった。仮定や比喩として使うならそう明言すべきだ。(男女や夫婦以前に)「相手をより正確に理解し互いに不愉快を減らす」技術や努力に関する、本書で提示される極めて常識的なノウハウは、確かに人間関係を良好に保つのに有用なものだから、この不誠実かつ不正確な装飾によって受け入れやすくなる人が多いのならば、世の中にとって有益なのだろう。
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OjohmbonX
相撲という競技の基礎的な技術が非常にわかりやすく説明されている。例えば腰を落とし、膝を開き、背を丸める相撲特有の基本姿勢が、相撲の「手を着いたり倒れたりすれば負け」のルールの中で、最も倒れにくい姿勢だから必要とされているとか、四つやおっつけ、はず、巻き替えなどの勘所とかもよく理解できて、実際の競技を見る目の解像力が上がってより楽しめて嬉しい。同じ著者の相撲に関する新書を以前に読んで面白かったので本書を買ってみたけど、とても良い本だった。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2010/01/07(5434日経過)
記録初日
2005/01/31(7236日経過)
読んだ本
1162冊(1日平均0.16冊)
読んだページ
318567ページ(1日平均44ページ)
感想・レビュー
796件(投稿率68.5%)
本棚
22棚
性別
年齢
38歳
職業
技術系
現住所
神奈川県
外部サイト
URL/ブログ
https://yashio.hatenablog.com/
自己紹介

「面白くなかった」とは言わないようにしたい。簡単だから。否定は自分の持ってる貧しい体系たちから外れていることを示せばいいだけだから、簡単なんだ。

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