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2024年2月の読書メーターまとめ

マッピー
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感想・レビュー
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644ナイス

2024年2月に読んだ本
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2024年2月のお気に入り登録
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  • KAKO

2024年2月のお気に入られ登録
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  • げん
  • KAKO

2024年2月にナイスが最も多かった感想・レビュー

マッピー
画家の意図を汲む能力を主人公の霜介は持っている。技術は練習すれば身につく部分が大きいだろう。だが、霜介の持つその能力・センスは持って生まれたものであり、後天的に身につけることは難しい。水墨画の魅力、そして一つの芸術に向かい合っていく覚悟。宗助の目に、若い頃の自分と同じ虚無を見た篠田湖山はただものではないが、篠田湖山に見出されてから、作品の本質をつかむセンスを努力で磨いたのは霜介自身だ。霜介の、内向きすぎる思考を、あっけらかんと外に引きずり出してくれる大学の友達・古前くんがいい味出している。
が「ナイス!」と言っています。

2024年2月の感想・レビュー一覧
21

マッピー
もう、本筋と関係ないところからして、怖いんです。人への好意で目玉をえぐり出すカラスとか。それでなくてもカラスに襲われてから、カラス苦手なのに。だけどさすが乙一。怖いんだけど、グロいんだけど、切ないところもちゃんとある。初の長編小説らしいけど、やっぱり巧い。ネタバレになるから詳しくは書けないけれど、犯人である人物の、痛みに対する無感覚が恐ろしい。痛くないから何もない、わけではない、のに。これだけ怖い話なのに、悪意で行動した人がいないのに驚き。
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マッピー
子どもの頃の切手収集をきっかけに、自ら切手を描き続けた画家がいた。ドナルド・エヴァンズ。切手の図柄とするために、架空の国を創った。国を創るにあたって、言語や歴史、風物も創造した。彼は不慮の事故により、既にこの世にはいないのだが、作者はドナルド・エヴァンズに日記のように葉書を書き続ける。1ページを葉書1枚分として、ドナルド・エヴァンズの生涯を追いながら、彼の周囲にいた人たちとの交流を報告し、旅を続ける。で、どうしてこんなに行間から詩情が立ち上ってくるのだろう。葉書に描かれているのは詩ではない。なのに、なぜ。
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マッピー
それほど谷崎潤一郎作品を読んできたわけではないけれど、明らかにこれは今まで読んできた谷崎とは全然違う。『美食倶楽部』を読みたくてこの本を借りたはずなんだけど、一番無理だったのが『美食倶楽部』でした。全然おいしそうじゃないし、何なら気持ち悪い。海原雄山に「こんなものが美食といえるか!この馬鹿者が!」と怒鳴りつけてほしい。おどろおどろしい作品もあるのだけれど、からりと乾いた文体がどうも日本っぽくない。どちらかというとポーとかスティーヴンソン。『友田と松永の話』は、絶対スティーヴンソンだわ。
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マッピー
頼朝と義仲は親世代の確執もあり、仲が良いはずはありませんが、義仲は頼朝と戦うよりも早く天下の大将軍になりたかったので、息子を頼朝に預けます。義仲は一味は余りにも政治を知らな過ぎたし、京の都人について知らなかったのだと思います。悪い人ではなかったのかもしれませんが。頼朝や義経と違って、本当にのびのびと苦労知らずに育った義仲は、それが上京してからの仇になったのかもしれませんが、もしかすると結構面白い人生だったと思っていたかもしれません。そういうあっけらかんとしたものを、彼からは感じることができると思いました。
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マッピー
これは、出版社の戦略だと思うのだけど、いろんなレビューのどれもが最初の謎を提示しているものだから、私もそちらメインで読み始めてしまった。だから途中から「あれ?」ってなってしまったのだ。これは家族の再生の物語だ。主人公の建築士も、その上司の岡嶋も、施主の吉野も、それぞれに家族に対して問題を抱えている。愛情があるゆえの悔い。だから切ない。最初の謎からどんどんそれていくように思えたけれども、最後はきちんとその謎が解けるようになっている。ブルーノ・タウトという人物にも興味が持てました。
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マッピー
モゴール族。アフガニスタンのモンゴル族のことを、現地の呼び方に従ってモゴール族とよんでいるそうだ。アフガニスタンではモゴール族は少数なので、彼らの住んでいる地域を探すのも難しかったが、モゴール語(アフガンなまりのモンゴル語)を話す人が、既にほとんどいなくなっていて、言葉の収集が本当に大変そうだった。言葉は生きているとよく言うけれど、話す人がいなくなってしまえば、言葉は簡単に失われてしまうのだ。かろうじて単語の意味は分かるけれど、文章は話せない人すら、ようやくに探し当てたのだった。言葉、大切にしないとな。
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マッピー
主人公マチルドは婚約者であるマネクの最期を知る人に呼ばれてその日起こった出来事を聞かされます。が、マチルドは納得できません。関係者は戦死していて軍が秘密にしようとしていることを、民間人の少女が暴くことは相当に難しいことです。しかもマチルドは3歳の事故で、車いすの生活を送っているのです。物語のテンポは決して速くないのですが、詳細な描写や緻密な構成に、ついつい夜を徹して読んでしまいました。戦争の悲惨さ・愚かさを見事に描きながら、しっかりとミステリで、キャラクター造形の妙を味わえる、とても素晴らしい作品でした。
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マッピー
全然知らない作家、知らない作品でしたが、とても面白くて、すごく得した気分です。日本人作家の作品ですが、読んでいるとスーッとイギリスの街並みに入っていきます。引っ越してきたばかりの街で、不思議なことに出合うバートラムが主人公。古着屋や古道具屋のあるゆびぬき小路の奥にある、偏屈な仕立屋のおばあさんと知りあったことから謎が始まります。仕立屋はなぜ、ひとつだけ違うボタンをつけるのか。ボタンはバートラムに何をさせたいのか。正直言って、結末は地味です。でも、すごく大切なメッセージが込められた作品でした。
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マッピー
私は頼朝があまり好きではない。まず第一に器が小さい。疑心暗鬼に陥ったあげく、血の繋がった弟であろうが容赦なく殺す。源氏の棟梁でさえなかったら、どうしてついていこうと思うものか。これは絵本なので、そういうドロドロした部分は今回描かず、頼朝が人の心の優しさによって命拾いをした部分をメインに、征夷大将軍になって鎌倉に幕府を開いたところまでとなっている。運が頼朝に味方したしたというのもあるだろうけど、やっぱ、器じゃないと思うのだよなあ。
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マッピー
一巻からそれほどストーリーは動いていないので、一年ぶりの創竜伝とはいえそれほど問題はない。それよりも、35年前に書かれた作品なので、テクノロジーが古い!とっ捕まえた捕虜から得た情報を、メモ帳に書くなんてことは、今じゃもう考えられない。29インチ画面のテレビ電話なんて、逆に不便そう。とにかく権力を恣に事物かする権力者と同じくらい、思考停止で無責任な民衆を嫌いな作者の手にかかれば、竜堂四兄弟以外はすべてアホなんだもんなあ。よく読者が起こらなかったと思うわ。
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マッピー
二作目だけど、デビュー作より格段に読みやすく、上手くなっていた。デビュー作もそうだったけど、エンジンのかかりがめっちゃ遅い。警察の人事なんて、もうどうでもいいよ。 自殺した元恋人の件も、引きずりすぎ。それプラス公安と刑事部の対立も詳しく書いていたら、そりゃあ事件も進まないわ。事件へのかかわり方で人物に厚みを持たせるようにすればいいのに。そして、デビュー作に続いてまた上司が病に倒れ、突如浮上した容疑者はメンタルが不安定。ちょっと構造が似すぎじゃないかとも思った。次作は、読まないかも。
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マッピー
博物館や美術館は好きだ。でも、観光に行った先でそこに行くことはほとんどないので、実はあまり行けてはいない。この本に出てくる博物館で行ったのは、国立科学博物館だけだ。だからこんな本を読んでしまうと、知的好奇心がうずうずしてしまう。特に『雲仙岳災害記念館』は、噴火直後に家族が立ち入り禁止区域内で仕事をしていたりするので、お互い元気なうちに一度行ってみたいと思った。そして当時のことをあれこれ聞きたいと。それから『石ノ森萬画館』も行きたいよねー。「サイボーグ009」が好きです。
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マッピー
高級高齢者施設に暮らす4人の男女が、自身の持つ知識や行動力で、未解決の事件を勝手に推理する「木曜殺人クラブ」。今回はリーダー格のエリザベスの元夫がそこに入居してきたことから事件が始まった。一度読み始めたら止まらないくらい面白いのだけど、ひとつだけ気になることが。イブラヒムを襲った犯人のライアンに、木曜殺人クラブのメンバーは報復をするのだけど、自分たちが違法に買ったコカインと、イブラヒムの財布から持ち出したカードをライアンの家のトイレタンクに隠して警察に通報する。それは、犯罪では?
洋書好きな読書モンガー
2024/05/23 09:48

中国では良く聞く話ですね。アヘン戦争以来中華系の国々(シンガポールとかも)では麻薬犯罪は死刑を含む厳罰で、中国共産党政府を批判していた県会議員(何で批判してる中国視察に行くんだ?)が荷物から麻薬が出て来たと逮捕された事件がありましたね。中国行く時は荷物に気をつけて知らない人から預からないで。スーツケースから麻薬が出て来たら死刑になるかも知れない。

マッピー
2024/05/23 23:05

洋書好きな読書モンガーさん、コメントありがとうございます。もちろん違法薬物を持っている時点で犯罪ですが、この作品の場合は、自分たちの仲間を襲った犯人に復讐するために違法にコカインを入手することと、その罪を犯人に擦り付けて警察に通報するという行為そのものが犯罪では?と感じたのでした。最近イギリスのミステリでは、自分の正義を守るために私刑やむなしの作品が多いような気がしたので、ちょっと気になったのです。

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マッピー
初めて読みましたが、多分シリーズの途中作です。キャラクターがすでに出来上がっている。でも、今一つ彼らを好きになれないのは、なんでだろう。語り手は売れない作家の美袋三条。行く先々で事件に巻き込まれるが、自らそれを解決する能力はなく、渋々学生時代からの腐れ縁であるところの探偵・メルカトル鮎を頼ることになる。ミステリとしては、非常に基本に忠実でわかりやすいのに、なんでこんなに登場人物が拗らせちゃっているのだろう。もったいない。
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マッピー
画家の意図を汲む能力を主人公の霜介は持っている。技術は練習すれば身につく部分が大きいだろう。だが、霜介の持つその能力・センスは持って生まれたものであり、後天的に身につけることは難しい。水墨画の魅力、そして一つの芸術に向かい合っていく覚悟。宗助の目に、若い頃の自分と同じ虚無を見た篠田湖山はただものではないが、篠田湖山に見出されてから、作品の本質をつかむセンスを努力で磨いたのは霜介自身だ。霜介の、内向きすぎる思考を、あっけらかんと外に引きずり出してくれる大学の友達・古前くんがいい味出している。
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マッピー
30年以上前のこととはいえ、がんに対する医療行為の無惨に、読んでいて苦しくなってしまう。癌を切除する手術によって、体力が低下し、免疫力が低下し、傷口から入った細菌により感染症になったり、傷口が壊死したり。実は手術なんてしないほうが生存率が高くなる、と。現在はまた医療技術の向上や、有効な抗がん剤などで、必ずしも開腹手術に頼らない治療になっているけれど、もしかすると私が知らないだけで、今でも不当な治療で苦しんでいる人がいるかもしれないと思ったら、ちょっと耐えられない。癌は切除すれば終わりというわけではない。
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マッピー
ロラン・バルトの箴言の何かを読んで「なるほど!」と思ったんだよねー。だからって、まるまる一冊の彼の文章を理解できると思っていたのか、私は!いやもう、全然歯が立ちません。そもそも難しいことを理解できる頭ではないこと、そして恋愛にそれほど興味がないこと。いやもう、全然歯が立ちません。その人の死を心から悲しむのは母親だけだ、とか、電話は偽りのコミュニケーションであるなど、「なるほど…」と思う文章がないわけではないけれど、引用される文章もロラン・バルトの思索もまあ難しい。
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マッピー
これがデビュー作。初めて読むアンソニー・ドーアの短篇。長編と同じく静謐な生の営み。そして荒々しく訪れる破壊と死。愛し合っているのに分かり合えない夫婦のもどかしさと哀しみ。かと思うと、生まれも育ちもまったく違うのに、言葉すら介在しないのにわかり合えた男と少女。詩情の持ち合わせがなく恋愛小説も苦手な私が、『ムコンド』を読んで、涙がこぼれた。それは哀しい涙でも感動の涙でもなく、男の思いの強さだったり情景の美しさだったりに触れて、ただ、流れてきた涙だった。こういう経験はほとんどなく、本人が一番驚いたのだった。
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マッピー
静謐であるがゆえに主人公の生活の中に垣間見える”死”の圧倒的確かさと、生きることの困難さ。作品の最初から”ぼく”の父親は病床にある。暮らしを支えているのは父親の年金と、ぼくが老人ホームのお年寄りの散歩につき添うお駄賃の半分のみ。さすがにそれでは生活は苦しかろう。鳥籠の中のトビとぼくが重なるとともに、動物たちの死が父の病状にある予感を運んでくる。息をするのもためらわれるほど密やかな空気をまとった作品だが、ぼくの心の中はいつも血の通ったあたたかいものが流れていた。たとえそれが動物を殺さなくてはならない時でも。
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マッピー
この内容はちょっと意外でした。どこまでが事実なのかはわかりませんが…というよりも、多分ほとんどが他の伝説が混じったりフィクションだったりして、事実ではないと思いますが、それでも彼は実在の人物なんですよね。この本では弁慶が生まれたところから義経と五条の橋で出会うまでが描かれています。つまり、明らかにされている事実が始まる前に終わってしまう。でも、弁慶が欲していたのは千本の刀ではなく、自分を偏見なく評価してくれる人だったのかもしれませんなんて思ったりして。(だからフィクションだってば)
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マッピー
絵画に興味はあるけれど全然詳しくないので、一度行、初心者にわかりやすく、全体を網羅した本を読みたかったのです。そうしたら、思いのほかこの本面白くて、じっくり読もうと思っていたのに、あっという間に読み終わってしまいました。まず、年代順なのでわかりやすい。さらにQ&A方式で端的に説明してしてくれるのでわかりやすい。そしてこれがめちゃくちゃ面白いのだ。残念なのは、ダリやエッシャーやマグリットの紹介がなかったこと。この本を手元に置きながら、次はもう少し詳しい本を読んでみたいものです。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/06/22(3716日経過)
記録初日
2014/05/01(3768日経過)
読んだ本
3196冊(1日平均0.85冊)
読んだページ
915301ページ(1日平均242ページ)
感想・レビュー
3118件(投稿率97.6%)
本棚
2棚
性別
URL/ブログ
http://ameblo.jp/1adpadtask/
自己紹介

本を読むのがとにかく大好き。
読む時間がなくても、眺めているだけで幸せ。
本の話をするだけで楽しい。

そんなわけで、読書メーターをはじめました。
ジャンルを問わずなんでも読みます。


文章を書き始めると長くなる傾向があるので、ブログに感想を書いてからこちらでコンパクトにまとめています。

よろしかったらブログものぞいてみてください。

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