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2024年8月の読書メーターまとめ

やすお
読んだ本
11
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3139ページ
感想・レビュー
11
ナイス
197ナイス

2024年8月に読んだ本
11

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

やすお
徳川九代将軍・家重は発話に難をかかえる障碍者だった。その家重を支えるのが大岡忠光である。忠光は家重の言葉が分かり、家重の口となった。忠光がいたからこそ将軍になれた家重。家重と忠光で幕府の運営ができたといってよい。忠光がすごいのは家重の“口”に徹すること。やろうと思えば忠光は自分の考えを家重の言として幕府を乗っ取ることもできる。それをしなかったのは武士の矜持だ。忠光の心の強さが分かる。主従を超えた家重と忠光との関係は清廉で、お互いをリスペクトしている二人が揃うことで困難に立ち向かえた姿に胸を打たれる。
が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
11

やすお
モンゴールのアムネリスがナリスとの政略結婚するかしないかのところ、態度が変わるアムネリスをかわいく思うものの、裏に大きな陰謀がある気がしてハラハラ。グイン一行もパロに戻るための旅をするが、まあなかなか先に進まない。今回はグインの異形があだとなって活躍する場面はほとんどないが、代わりにイシュトバーンが裏に表に活躍する。賢明なイシュトバーンの行動であり、好感度はよりアップした。そして、最後に海賊船で投宿していたロスの港町を脱出するが、海上でひともんちゃくある。今回はここまでで、続きが気になってしかたがない。
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やすお
南方熊楠の一生を描いた小説。熊楠は粘菌の研究で有名だが、実はその事実くらいしか知らない。熊楠は己を知るために研究に没頭した。己を知るために何が必要なのか、観察なのか知識なのか意欲なのか。熊楠を支える兄弟や妻や友人たち、熊楠は分かっていながらも周りを不幸にするかのように己の研究を続ける。特に子どもの熊弥には取り返しのつかない事態にもなった。最後に熊楠が達した境地はいかがなものだったのだろうか。熊楠の人間性を知りつつ生命の役割というか自分が存在する理由も伝わってくる。
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やすお
チケットなどの転売が合法化され、転売がプレミアとして評価される世界を描く。転売の功罪はあるので、この物語を否定するつもりはないし、同意することもない。あくまでも転売が受け入れられた世界を「if」で語ったのだと思う。著者がミュージシャンであるからこそ書ける小説だ。需要(欲しがる気持ち)と供給による価値については、一般人の気持ちからかけ離れているわけではなく、共感できるのがよかった。でも、無観客ライブの価値については個人的には理解できない。身近な問題を扱っているためか、読みやすいが、何かが足らない感じがした。
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やすお
ネタバレ宇宙の終わりまで時間を超えていった、いや、宇宙の次元を超えていった物語。超ひも理論や高次元数学の世界といった現実の物理・数学さえ伏線に使ったストーリー展開の壮大さに胸がいっぱいになった。程心や関一帆が経験することは地球の物理学の限界を超え、新しいアダムとイブになるかのように、新しい宇宙への導きとなる。そして圧巻なのが、クレジットカード大の2次元物体による太陽系への攻撃シーンが、絶望しか感じられないすばらしい描写だった。これらは雲天明が語った物語が伏線があるとはいえ、こんなスケールがきたかと驚いた。
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やすお
相手の顔が見えない戦いが続いているようで、なかなか人類は気を抜けない。というよりも、一時的には完敗っていいほどの状況に陥るわけで、ここからの展開が興味深い。でも、人類の運命を決めるボタンを押す立場って、普通の人は耐えられない。程心のような行動になってしまうことは十分理解できる。さて、高次元での行動なども出てきて、展開の軸がさらに増えた感じだ。上巻は少し中だるみというか、人類に対する仕打ちに耐えているというか、なかなか苦しい状況に共感した。下巻も読み始めているが、ここからどう決着をつけるのか楽しみだ。
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やすお
結合双生児として生まれた杏と瞬。その二人を通して、意識と体の関係や生死について考えさせられる。二匹のサンショウウオがクルクルと回っているかのような陰陽図は、二つの図形でひとつの意味をなしている。二人の父親は胎児内胎児として生まれた双子だ。伯父にあたる人が亡くなってしまうが、父親の体と意識は別なので、当然父親は生きている杏と瞬も二人の意識がいるが、体はひとつ。二人の体は同時に死ぬしかない運命であるが、果たして意識の死はどのように判定されるのか分からない。想像もつかない状況を想像させる作品だった。
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やすお
短篇作品の特集といっても掲載されている作品数が少ないのが不満だった。紹介されている作品は面白いし、作品自体は楽しめる。でも、特集の意図からしてみれば、他の連載やコラムを休載しても、「現代のミステリ短篇はこれだ!」というのをこれでもかと読者に突き付けてほしかった。単純に言えば、もっと短編作品を読みたかった。また、2025年売りの号から季刊になってしまう。これは仕方がないとは思うが、年間を通して追悼特集だけになったしまったというような事態は避けてほしい。
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やすお
新しい陰謀篇が始まった。アルド・ナリスがモンゴールに占領されたパロの奪還を計画したものの、なかなかうまくいかない。モンゴールのアムネリスはノスフェラスでの敗退後にパロに遣わされる。目的はナリスとの政略結婚だ。この巻は陰謀篇の最初として世界の説明というか状況説明のようで、大きな動きはない。ナリスとアムネリスの関係がどうなって、どう展開していくのかが楽しみだ。
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やすお
ファントムバイブレーションシンドロームから始まるので、登場人物の時子や朝日、そして時子の家族やサークルの仲間たちが本当に存在しているのか、あやふやな感じがしながらも、時子と朝日の関係はリアルな幻想のようである。時子が、高校生の時に死んだはずだった朝日と出会うのはリアルなのか疑わしく思える。そして、時子と朝日のお互いの存在をかける対立、親子の対立、夫婦での対立、友人同士の対立など、相手が消えてしまえばいいと思うと同時に、いなくなっては困るという感情も生じる。自分が存在するための葛藤みたいなものを読み取った。
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やすお
徳川九代将軍・家重は発話に難をかかえる障碍者だった。その家重を支えるのが大岡忠光である。忠光は家重の言葉が分かり、家重の口となった。忠光がいたからこそ将軍になれた家重。家重と忠光で幕府の運営ができたといってよい。忠光がすごいのは家重の“口”に徹すること。やろうと思えば忠光は自分の考えを家重の言として幕府を乗っ取ることもできる。それをしなかったのは武士の矜持だ。忠光の心の強さが分かる。主従を超えた家重と忠光との関係は清廉で、お互いをリスペクトしている二人が揃うことで困難に立ち向かえた姿に胸を打たれる。
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やすお
葉文潔から羅輯に宇宙社会学の2つの公理から異星人と出会ったときの恐るべき挙動が導かれた。宇宙社会学の伏線がここで回収されるのかとドキドキしながら読めた。宇宙レベルでの腹の探り合いというか、お互いの存在をかけた駆け引きというか、見えない交渉というかがキリキリして面白い。しかし、科学技術の進化を止められている地球人の方が不利であり、例えば、三体人が送り出した水滴型の調査船が示す技術力には背筋が凍った。次巻はいよいよ三体人の邂逅だろうか、わくわくしてきた。
ねこ
2024/08/18 06:40

おはようございます。ドキドキ、ワクワクですよね。私も三体、死神永世まで単行本で読みました。次は更にぶっ飛んだ内容ですよー。やすおさんの感想はとても知的で明快ですね。

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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/03/30(3622日経過)
記録初日
2015/03/30(3622日経過)
読んだ本
1128冊(1日平均0.31冊)
読んだページ
365627ページ(1日平均100ページ)
感想・レビュー
1128件(投稿率100.0%)
本棚
2棚
性別
職業
その他
現住所
神奈川県
外部サイト
URL/ブログ
http://netzakki.seesaa.net/
自己紹介

SFとミステリーが好きで、よく読んでいます。純文学の面白さが少し分かるようになってきたような気がしています。

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