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2024年10月の読書メーターまとめ

九曜紋
読んだ本
10
読んだページ
3886ページ
感想・レビュー
10
ナイス
135ナイス

2024年10月に読んだ本
10

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

九曜紋
これまで私は応報刑論、抑止刑論の見地から死刑存置論者だった。光市母子殺害事件を扱った門田隆将著「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3000日」を読んでも、殺人事件の被害者の応報感情の激しさが窺える。しかし、死刑廃止論者の論拠のひとつに、もし冤罪だった場合、取り返しがつかない、というものがある。本作のテーマがまさにそれだ。神ならぬ人が人を裁く、あまつさえ刑罰として生命を奪うことができるのか、司法の根源に関わる重要な問いだ。人間の営為に「絶対」ということはない。今までの自分の価値観を揺るがす読書体験だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
10

九曜紋
11月5日、米国大統領選挙が行われる。報道ではトランプ、ハリス両候補の支持率が拮抗しているとのこと。しかしながら、著者も言う通りメディアの報道は全くあてにならない。支持率などいくらでも捏造できるからだ。バイデン政権下で進められたリベラルな政策に米国民はウンザリしている、いや怒っているのが本当のところだろう。自国民が困窮しているのに、移民が手厚い保護を受ける。大金持ちだけが優遇され、益々拡がる経済格差。なので本当のところはトランプ優位なのだ。しかし結果は逆になるだろうというのが著者の見立て。さてどうなる?
が「ナイス!」と言っています。
九曜紋
これまで私は応報刑論、抑止刑論の見地から死刑存置論者だった。光市母子殺害事件を扱った門田隆将著「なぜ君は絶望と闘えたのか 本村洋の3000日」を読んでも、殺人事件の被害者の応報感情の激しさが窺える。しかし、死刑廃止論者の論拠のひとつに、もし冤罪だった場合、取り返しがつかない、というものがある。本作のテーマがまさにそれだ。神ならぬ人が人を裁く、あまつさえ刑罰として生命を奪うことができるのか、司法の根源に関わる重要な問いだ。人間の営為に「絶対」ということはない。今までの自分の価値観を揺るがす読書体験だった。
が「ナイス!」と言っています。
九曜紋
6篇の短篇を収録。うち2篇は北森鴻の手によるもの。表題作「天鬼越」は北森亡き後、北森の残したプロットを元に、公私共にパートナーであった浅野里沙子が完成させたもの。あとの3篇は浅野のオリジナル。少なくとも私には北森作品と浅野作品に内容の優劣は感じ取ることはできない。まるで北森の魂魄が乗り移ったかのような浅野の筆力には感嘆するしかない。蓮丈那智とその周りを固める内藤三國ら登場人物に感情移入してしまったがゆえに、「これが最終作」という事実を受け入れなければならないのが正直辛い。
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九曜紋
大天使ミカエル。ガブリエル、ラファエルとともに三大天使として崇められ、ヨハネの黙示録では天使軍を率いて闘う天使長。本作の中心はそのミカエルの名前を冠した手術支援システム。舞台は大病院の心臓外科。実は私が27歳のとき母が心房中隔欠損症のため開胸手術をした。その際医師から聞いた説明や手術当日の記憶が蘇った。手術は成功したものの、母は16年後に心不全で亡くなった。なので心の痛みを伴いながらの読書となった。テクノロジー崇拝の危険性等、今日的課題に警鐘を鳴らしつつ、医療の倫理とは何かを正面から扱った傑作と評したい。
が「ナイス!」と言っています。
九曜紋
著者の日本の人口減少問題に対する認識は「未来の年表」シリーズで既知ではあったが、本書でダメ出しをされた感がある。暗澹たる未来の到来は恐らく不可避なのだろう。ジャーナリストとしての事実の提示は確かに大切だが、子供を産み育てたい、と若者達に思わせるような機運の醸成も大切な役割なのでは?これではあまりに救いが無さ過ぎる。危機が本格化するころには私は既にこの世にいないだろう。しかし、この日本という国の美しい国土、豊かな歴史と文化、国民の美徳等々、後世に末永く残ってほしいと祈ることしかできないのがなんとも歯がゆい。
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九曜紋
琉球創世の神アマミキヨが降臨した久高島の蝉の声しか聞こえない静謐さ、斎場御嶽の神秘性、そして亜熱帯の照りつける灼熱の太陽と突然叩きつけるようなスコール。この作品は琉球のそうした自然的特性と著者の感性抜きには有り得なかった物語だ。時に感情過多になることはあるが、とかくヤマトの地からは低く見られがちな小国・琉球の矜恃を主張してやまない。主人公の一生が一回限りではなく、悠久の歴史を刻んでいくかのようなエンディングも印象的。作者は琉球の神に憑依されたある種特異な作家なので、他のテーマの作品の出来が気になるところ。
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九曜紋
「テンペスト」以来の池上永一の琉球サーガ。舞踊の道を究めて栄達を得るべく競い合う了泉と雲胡。卑しき身分の出の了泉と、由緒ある身分の雲胡。動と静、陽と陰、俗と聖、正反対の二人のどちらが琉球一の舞踊家になるのか。作者は漢文を含め歴史にも造詣が深く、優れたストーリーテラーではある。しかし「テンペスト」でもそうだったが、グロテスクなまでの変態性欲者の描写には辟易する。それが作者の持ち味なのかもしれないが、必ずしも作品上の必然性は無いように思う。このあたり好き嫌いが分かれそう。ともかく物語は盛り上がりを見せ下巻へ。
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九曜紋
私にとって、「バファローズ」といえば、オリックス・バファローズではなく、近鉄バファローズである。昭和の古き良きパ・リーグを代表する球団。鉄拳制裁も辞さない「昭和の頑固オヤジ」、悲運の名将・西本幸雄。300勝投手・鈴木啓示。一癖も二癖もある個性溢れる野手陣。対広島の日本シリーズでの江夏の21球。10.19川崎球場での対ロッテダブルヘッダー。ドラマチックな敗戦が付き纏い、それがまた何故か似合ってしまう。阪神タイガースのファンをあえてミーハーと呼ぶならば、近鉄ファンは玄人好み。それにしても昭和は遠くなりにけり。
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九曜紋
ミステリーそのものを読まないので、「倒叙」というスタイル、あるいはジャンルにはそもそも馴染みがなかった。前作で主人公・城塚翡翠のキャラクターを把握できていたこともあり、作品世界にすんなり入り込むことはできた。相沢沙呼という作家、一見、軽い作風に見えて、実はなかなかの書き手だなあ、という印象を強くした。
が「ナイス!」と言っています。
九曜紋
高田崇史や北森鴻など、歴史学や民俗学がらみでないかぎり、ジャンルとしてのミステリーは読まないのだけど、帯の「ミステリランキング5冠」と「霊媒探偵」というキャッチに惹かれて読了。主人公・城塚翡翠のキャラクターそのものは、なんだかライトノベル臭がして好きにはなれなかったのだが、プロットには唸るべきものがある。そう来たか、という意外性、どんでん返しの上手さはなかなかの出来映え。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/04/12(3516日経過)
記録初日
2015/04/01(3527日経過)
読んだ本
1198冊(1日平均0.34冊)
読んだページ
323405ページ(1日平均91ページ)
感想・レビュー
1194件(投稿率99.7%)
本棚
1棚
性別
現住所
兵庫県
外部サイト
URL/ブログ
https://www.facebook.com/Yoichi.Yoshikawa
自己紹介

20代から30代までは完全に活字中毒でした。20代で経験した「ニュー・アカデミズム」のブームが読書嗜好の原点にあります。
基本的に「読書メーター」導入後の読書記録のみ登録しています。
普段は自己啓発書、社会科系統の本を読むことが多く、小説はあまり読みません。
小説も嫌いではないのですが、そこまで読書範囲を拡げる余裕がありません。
と、いったんは書いたのですが、最近、小説の面白さに目覚めました。できる限り読んでみようと思います。

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