尊皇攘夷を成し遂げる為だけに全てを擲って、人斬りを続けた彦斎。彼のあまりにも真っ直ぐすぎる人生はとても凄惨です。ここまで、人斬りをせずとも何か方策があったかもしれないのに、という想いに強く囚われました。

何が人の幸いかはわかりません。もしかしたら、本人にもわからないのかも…。チャーリイの過去の記憶が痛々しくて読むのが辛かった…。チャーリイのお母さんの気持ちも痛いほどわかる。苦しい読書でした。

幕末の小説はほとんど読んで来なかったので、とても新鮮でした。幕末のこの時期に活躍した人々はまるで、天の配剤のようで不思議です。労咳に冒された高杉晋作も『案じないでいい。わたしの命は天にある。なすべきことを果たすまで、天はわたしを生かしてくれるはずだ』という台詞からも、本当に春の疾風の如き人だったのですね。