警察ものなのに日常の謎の気配がするのは葛警部の推理だけで事件を解決していくからかな。作者が描いてきた高校生が大人になったらこんな警察官になりそう。常人では思いつかない結末に毎回驚かされた。やるせない結末が多くて読後が悪くなりそうなところを最後の「本物か」に救われた。初出の順番通りではない話の配置も良かったと思う。ただ「本物か」で老人が注文したメニューが何だったかを読み取れる記述が見つけられなかったのが残念。

コロナの騒動が終わった今だから読むことができるけど、毎夕感染者数が発表されている時期だったら平静に読めなかっただろうなあ。そうそうオリンピックくらいで周りでも感染を聞くようになったんだよなあ。身近で重症化した人がいなかったから他人事な騒ぎだったけれど、医療現場は大変だっただろう。主人公に関係する飲食店もわたしのお気に入りの店もコロナ禍に負けないで営業が続いているのはとても幸せなことだと思う。

タイトルからして遊圭の空回りなんだろうなあと予想はしたけれどハラハラしながら楽しめた。最後は遊圭が先頭に立って弾劾するとか、かっこいい。外戚を失くすために皇后一族皆殺したら、独りぼっちになった皇后の後ろ盾が権力を握っただけでしたという馬鹿な法律はなくなるといいなあ。麗華公主の作ったまじないは開けられていないのか。表向きは宦官と女官だけど、実際には男同士でという何ともおいしいものに対する皆の反応を見たかったけれど。脱走からの、というこの終わり方もいい。

ようやく波乃のお腹が大きくなってきたけれどまだ産まれない。子供の名前は本当にそれでいいのか。自分はかっこよく筆名をつけておいて子供には言葉あそびとはねえ。作者さんは十二支の話がよほどお気に入りなんだ。信吾は相変わらず将棋で負けなしで文才もあって相談屋としても頼られて、さらには動物とも話せるとか、無双するなろう主人公みたいになってきた。

仲介業というのは不動産屋とはまた違うのかな。契約に失敗して特務室に異動になり、ゲームと動画配信に夢中な上司の横で延々とブッカク、電話で物件の確認をさせられるところで心が折れて読むのをやめようかと思った。だけどペットの誤解が解けた後、次々に問題が解決していく怒涛の流れが面白くて読むのが止まらなくなった。こういう体験ができるとお仕事楽しい！ってなるんだろうなあ。ただタイトルが同じレーベルの人気シリーズの経理を連想させるので違う方が良かったと思う。

中高生向けなのか少々むず痒い所がある。文字通りの学級会が始まったときにはなんだか照れくさくなった。でも自分ならどうするだろうと考えさせられた。嫌な大人は出てこないけれど、初めて受け入れた車いすユーザーの生徒に初めてクラスを受け持つ教師に担任させるのは、大人同士で押し付け合いがあったのだろうなと深読みしてしまう。伊澄の母親が破天荒な感じなのは六花との付き合いを反対しないタイプの親にしたかったのだろうなとか。

パティシエールの話が面白かったので過去作を探してみたらこちらも面白かった。遊圭は頭がいいけれど、お坊ちゃん育ちで世間知らずなのだと思い出させてくれるエピソードがうまいなあ。もうすでに一部の人に正体もバレていてこれからどうなるのかすごく楽しみ。皇后の親族は皆殺しという法をよく受け入れているなあ。でも皇帝の実母ではない皇太后が権力を持っていてあまり意味はなさそう。

警察ものなのに日常の謎の気配がするのは葛警部の推理だけで事件を解決していくからかな。作者が描いてきた高校生が大人になったらこんな警察官になりそう。常人では思いつかない結末に毎回驚かされた。やるせない結末が多くて読後が悪くなりそうなところを最後の「本物か」に救われた。初出の順番通りではない話の配置も良かったと思う。ただ「本物か」で老人が注文したメニューが何だったかを読み取れる記述が見つけられなかったのが残念。

突然出てきた謎の稲穂屋敷の話。今回の季蔵は麹にはまっています。酒吞童子と攫われた姫という設定はTLラノベに馴染んだ恋愛脳にとっては、いつまでも疑う季蔵にそうじゃないと何度思ったことか。ダメ男かと思われたお兄ちゃんもなかなか良いキャラだった。面の下の素顔は噂どおりだったのか？もっと恋愛面を重視した嵯峨さん視点で読んでみたい。材料だけしか伝わっていない未知の信玄餅を、想像だけで作り自信を持って献上する季蔵さんのメンタル強すぎ。まさかあんなのができるとは思わなかった。表紙でネタバレされてるけど。

出だしが結婚式の二日後で新婚生活を期待して読み始めたので、清霞がまだ学生の過去、しかも暗い話が始まってしまってなかなか切り替えができなかった。アニメ化を記念して新刊を！と急かされたのかなあ。土蜘蛛の話が今後の話につながるなら、このまま本編を始めて欲しかった。戦闘シーンが緊張感あって盛り上がっていたから余計にね。せっかく結婚したのだから甘イチャな話だけで良かった。

章ごとに話が完結しているかと思いきや、次々につながりが出てきて面白い。和歌おたく気味な貴公子と田舎育ちの少女の組み合わせは珍しい。いつもなら少年だったはず。桂木が暗夜奇譚のあおえみたい。名にしおはば～の歌の解釈ってそういうこと？黒幕はあの人だろうなあと予想していたらその通りで種明かしが早い。でもまだ動機は不明だからなあ。

1巻よりはオカルト要素が薄まって読みやすい。夫を亡くした妻が義母の世話をするのは当たり前のことなのに、立場が逆になるとこんなに負い目を感じなければならないのか。美空は正社員として働き始めて1年も経つのに、司会をするしないでこんなに悩むものなの？高卒入社なら分かるけど四大卒にしては幼いのが気になる。身内の葬儀は大往生ばかりで最後には笑顔で見送れたけれど、闘病の末の死も突然の事故死も辛い。亡くなった当人は達観しているようだけどこれもお坊さん談。恨み言も聞かされていたら里見さんもつらいだろうな。

子供はすぐに大きくなるなあ。小学生はキッズ携帯でスマホは中学生からでいいと思うけれどどうなのだろう。痴漢騒動はちょっと出来すぎな気もするけど特定班の活躍は前からあったのでまあいいか。占い師仲間の人はこれからどういう立ち位置なんだろう。友人になるのか敵対するのか。居酒屋の経営者として良きライバルでもいいけれど。

本を見て驚いたのが薄い！いつもの猫猫視点とは違うので番外編みたいなものかな。でも本編の続きでしっかり謎も散りばめられている。他の人から見た猫猫が新鮮で面白い。猫猫はこれでも壬氏に心が動いているんだよねえ。焼き印の壬氏といい勝負。やっぱり同僚のお嬢様たちは苦手。二人には羅半も羅半兄ももったいない気がするんだけどなあ。今回の話の中では女華の話が一番好き。

第一章では由利之丞ってこんなキャラだっけ？と違和感があったけれど第二章では元に戻ってた。第二章の勘違いの連鎖は相変わらず。まずい料理が田舎の貧しさのせいと思われて膨れっ面になる美鈴が可愛い。銀八の嫁？は前にも似たような話があったけれど違う娘だよね？続き物として読むと違和感が多いので、もう原作としてではなくドラマのノベライズとして読めばいいのかな。

ああ終わってしまった。どんどん出世してついに自分の房を持つまでになったマリー。充実しているはずなのになぜか物悲しい。杏花庵で永璘が絵を描き、マリーがお菓子を作っていた頃が一番楽しかった。マリーの告解から先は胸がつまる思いでした。永璘への思慕もありながら本物のパティシエールになりたいというマリーの気持ちもすとんときた。手に職のある働く女性の恋愛、身分差のある恋だとまあこうなるよねえ。小蓮は幸せな家庭を持つことができていたらいいなと思う。