ネタバレ※高校生の安珠、幼馴染の奏斗の悩みをわかっていたつもりなのに、傷つけてしまい落ち込む。町でよく見かける気になるおじいさん（葛城平）は、祖母（悦子）の知り合いだったことが判明、小さな交流が始まる。平と悦子、平が罪をかぶるきっかけになった香恵が残した日記。奏斗の悩みを聞く安珠の親友・翠の祖父の妻は元平の恋人。平が最期に住んでいたアパートに残された大量のノートと大家さんとの交流。実は幼なじみだった平と悦子の不幸な出来事とすれ違い。

ネタバレ※ALS患者の母親が死亡した事件が、以前のドクターデス事件に似ていることを危惧する犬養刑事と高千穂刑事。再び安楽死問題議論が盛んに。次に元女優が残した遺書からJKギルドを名乗る人物の犯行、ドクターデスを崇拝していることが分かり、目下刑務所にいるドクターデスこと雛森めぐみの意見を参考に犯人を絞り込んでゆく。3件目の小説家死亡の後、犯行前逮捕を狙う犬養とそこに現れた厚労省の医政局の国分、行方不明になった救急車、楽器ケースでの国外逃亡阻止。

ネタバレ※高校生の安珠、幼馴染の奏斗の悩みをわかっていたつもりなのに、傷つけてしまい落ち込む。町でよく見かける気になるおじいさん（葛城平）は、祖母（悦子）の知り合いだったことが判明、小さな交流が始まる。平と悦子、平が罪をかぶるきっかけになった香恵が残した日記。奏斗の悩みを聞く安珠の親友・翠の祖父の妻は元平の恋人。平が最期に住んでいたアパートに残された大量のノートと大家さんとの交流。実は幼なじみだった平と悦子の不幸な出来事とすれ違い。

ネタバレ※幼い頃、父の転勤で治安の悪い暑い国に住んでいた時、防犯の為の番犬として買っていた犬「虎」との思い出。最初は弱弱しかったが、かわいがると同時に厳しいしつけも。しかし成長するにつれて隠しきれない野生を感じ、実際不審者が侵入したときには、相手に食いつく凶暴さに恐怖を感じさえもした。帰国が決まり、親しんだ虎も日本へ連れて帰りたかったが、虎の野生を知った後では、日本では世話できないことを痛感。大人になった今でも、虎の責任を持つことができなかったことがずっと心に残り、恋人が寄り添っても、理解を得たいとは思わない。

ネタバレ※鎌倉の小道の奥のちょっとした森のような場所にある「カフェどんぐり」は、予算内でおまかせの朝食を出してくれるお店。友人との関係に悩む女子高生、ブラック企業で働く社会人男性、夢を諦めきれず仕事を辞めて役者になるため養成所に入った女性、一人で朝食を食べることになった小学生男子、退職した夫が常に家にいるので、自分も外出を控える女性などが、カフェどんぐりでの朝食で一日の始まりを元気に迎えることができるようになる。小学生の為に包丁を使わないレシピを紹介する店主あさひの心遣いが良い。ゆるく登場人物がつながる連作短編。

ネタバレ※社会人２年目の渚、完璧主義で料理上手な母親と意見が合わないことが多く、一人暮らしを始めるが、今まで料理をしていなかったのでゆで卵でさえ作ることができない。職場の先輩も料理下手で「できない」を共感しあう。前職場の知り合い春山君に誘われて参加したハイレベルBBQで料理に対する固定観念を覆され、簡単料理を楽しめるようになるが、母親からダメ出しされて落ち込むがものの、母親が苦手な黒豆をおいしく作って名誉挽回。職場のジェンダー問題にもすぐに結果は出なくても真摯に取り組む。地道にコツコツ努力する渚に好感。

ネタバレ※江戸から尾張への帰りに嵐に遭った颯天丸は、一月以上漂流した末に、バタン島へ到着。現地民から奴隷として扱われるが、長く接しているうちに心通うようになる。年配者や友の死を乗り越え、元船大工の乗組員が主となり道具・材料不足のなか、工夫を凝らして船を作り、やっとのことで日本へ帰るが、中には地元女性と結婚し島に残ったものも。帰国した鎖国中の日本では、長崎で厳しい詮議を受ける。遂に地元へ帰り、奉行の温かいもてなしと肉親らとの再会。実際にあった海難事故で、バタン島はフィリピン・ルソン島北部のバタン諸島の主要三島の一つ

ネタバレ※祖先の素行不良による呪われた魔犬伝説を持つバスカヴィル家の子孫は不可解な最期を遂げたものが多く、前主人も突然死亡、傍には大きな犬の足跡が。新主人が家を引き継ぐために戻ってきたが、彼の靴がなくなったり、帰ってくるなの怪文書が届いたり。まずワトスンが新主人と共にバスカヴィル館へ赴き情報を集め、ロンドンに残ったホームズへ手紙を送る。館の使用人夫婦や近隣住民も魔犬伝説に怯える。さらに、監獄から凶悪犯が脱獄、潜伏しているという。荒涼な土地と底なし沼。最期に前主人と会っていた人物の語る真実で真相に近づく。

ネタバレ※国立自然史博物館でDNAバーコーディングの為のソフト開発をしている池之端環と研究棟「赤煉瓦」に住み込み状態なファントムこと箕作類が謎を解く。展示鉱物の紛失と曾祖父が残した箱「呪いのルビーと鉱物少年」。元婚約者の花嫁の為に作る復讐の花束「ベラドンナの沈黙」。オオカミとヤマイヌ疑惑「送りオオカミと剥製師」。化石で地域おこしするマラケシュでは偽化石売買も多い「マラケシュから来た化石売り」。アマチュアコレクターが残した甲虫コレクション「死神に愛された甲虫」。箕作の祖父が中国で見つけた人骨「異人類たちの子守歌」。

ネタバレ※島流しになった元夫が「帰ってきた」。元親友同士、一人が父親を亡くしてから関係性が変わる「向こうがわ」。借金を残して失踪した父親が帰ってきた「死んでくれ」。夫と死別した女が、寝言で元夫の名を呼ぶのを聞いて嫉妬「さざなみ」。長屋で暮らす元武士、隣の娘に親切にされて心動く「錆び刀」。裏長屋出身ながら手代にまで出世した男、奉公先で昔の隣人に再会「幼なじみ」。昔の友人が死にその子供の世話をすることに「半分」。妾の子だが本宅へ引き取られ縁談相手に妾の子かと言われショックを受けるが実は彼も「妾の子」。やるせない短編集

ネタバレ※珊瑚と美希喜で経営を始めた鷹島古書店。店内を少しリフォームして小さなテーブルを置き、隣のカフェの美波さんから手ほどきを受けてコーヒーの提供（+選書）を始める。珊瑚の遠距離恋愛相手の東山さんがケガして入院したことを数日後に知り、急遽里帰り、曖昧な関係を友人に指摘されるが、一歩踏み出せず。突然一人で店を切り盛りしなくてはならなくなった美希喜は余裕がなくなり、周囲のサポートも受けるが、珊瑚にはっきり問いただす勇気がなかったが、ちゃんと話せてよかった。また新しい鷹島古書店に生まれ変わりそう。

ネタバレ※食堂で働き始めた今川さん、接客業なのに、いらっしゃいませが言えないのに常に庇ってくれる大将とぼっちゃん。メモ読み接客からの新人バイトの大阪弁とおかみさん「とんこつQ&A」。クラスのいじめの結末、噓つきはそのうち消える「嘘の道」。おなかをすかせた不愛想ないじめられっ子に食べ物を分け与える由加里のひとりよがりから「良夫婦」。バイト先で知り合った中年女性に近所の激安スーパーを教えたら、時々うちに寄って食事を作ってくれるようになった「冷たい大根の煮物」。そこはかとなく感じる恐怖。

ネタバレ※夫婦仲が悪かった頃、夜の公園で菓子パンを食べていた子供にご飯を食べさせてやりたかったという話を聞いた数日後に夫が事故で亡くなる。数年後、この言葉を胸に近所の元カフェ店舗を借りて、こども食堂を始めた波子とそこでボランティアとして働くスタッフ、利用者らそれぞれの悩み。カフェオーナーと子供の頃カフェのガラスを割ってしまって逃走した波子の息子航大の和解がよかった。波子さんの行動力に脱帽。食べられない子供がいなくなる政治を望む。

ネタバレ※ホームズの第二短編集。「最後の事件」では、ホームズの最大の敵、モリアーティ教授が登場するが、彼の凄さがあまり伝わってこず。ホームズ対モリアーティ教授の決着がまさかの結末でびっくりした。ホームズの兄マイクロフトは、ホームズ以上に観察眼と推理力があるのに、裏付けを取る行動が億劫なため、探偵業をしていないが、弟の捜査の相談には乗っている。「黄色い顔」、「株式仲買店員」、「背中の曲がった男」、「海軍条約文書」がおもしろかった。

ネタバレ※津村さんのエッセイがおもしろかったので、さっそく第二弾を読む。2010～14年頃。前作の後に、会社員のほうはやめられたよう。あきらめた事実は永遠に残る、なんでもいいあえるっていい？、「友達がいなさそう」が罵倒の文句になる理由、一人でごはんは不幸すか？などが特に印象的。そして、フリーになられても、二度寝の機会はないんだそうだ（笑）

ネタバレ※江戸の三大敵討ちとして歌舞伎や講談の題材にもなった史実を元に。岡山藩藩主の小姓に言い寄られて拒否するうちに切り殺した河合又五郎は脱藩して江戸へ。昔父が朋輩を殺して脱藩した高崎安藤家へ保護を頼みに行く途中、旗本の喧嘩屋兼松又四郎に保護される。又五郎の身柄を求める岡山藩と面目を保ちたい旗本の諍いで世が乱れるのを防ぐため、又五郎に一万両の懸賞金をかけて第三勢力（浪人衆）をぶつける幕府方。常に義の為に動く濃州浪人の剣客市岡誠一郎は、妻の友人の息子の無念の死の仇を取るために動く途中、父の敵討ちに向かう少年に出会う