2018年に読み始め完結。6年間楽しめた。今まではっきりしていなかった事を詳しくフォローする話が数点。まずは桔梗屋、五十鈴屋に吸収された老舗をこのまま消滅させない。一方菊栄の実家は破綻、江戸の菊栄は惣次の心理的な支援により繁栄の模様。落ちぶれた音羽屋と結は田舎の旅籠屋を経営、丸くなった音羽屋が結を助ける。ようやく姉の気持ちを理解するに至る。賢輔といっしょになった幸は大坂で人生の総決算。商売も創業100年の節目を迎え五十鈴川までの熟年旅行。記念事業とした家訓でなく世傳、取ってつけた話にちょっと引いた。

桜木さんらしい作品で役者は皆救いようのない人達だ。普通に家や家庭を持って月給をあてにするサラリーマンが通勤時間に読めば大きなギャップを感じる。決して面白い作品ではない。興味深くもない。ワクワクもしない。しらけた空気と虚脱感だけが残り、エロチックな表現にはさすがに桜木さんと唸らせられる。いつもなら道東の侘しさからの必然性を感じるが、今回は沖縄なので東南アジアに似た人間独特のニオイと汗臭さが読み取れる。改善せずに泥沼にずっと沈殿する気持ち、別行動して竜宮城に戻ってもその状況は最後まで変わらなかった。

人は得意な分野を伸ばして行くのが良いとの典型的な事例。晋作が強いリーダーシップを発揮するのは生まれた境遇が後押しする。上士に生まれ身分はそれなり、毛利家への恭順姿勢、松陰の思想に恵まれ、理屈っぽくなくてやたらと明るく、豪放磊落な性格を備えている。これだけで十分に小説足りうるのだが、周りの人達にも支えられて、最終的には立身出世と相成る。幕末の長州藩の浮き沈みが信じられないほど激しいにも関わらず、果たして新政府以降は重要なポジションに人を送り込んでいるがそのからくりまでは触れられないがじわっと面白かった。

2018年に読み始め完結。6年間楽しめた。今まではっきりしていなかった事を詳しくフォローする話が数点。まずは桔梗屋、五十鈴屋に吸収された老舗をこのまま消滅させない。一方菊栄の実家は破綻、江戸の菊栄は惣次の心理的な支援により繁栄の模様。落ちぶれた音羽屋と結は田舎の旅籠屋を経営、丸くなった音羽屋が結を助ける。ようやく姉の気持ちを理解するに至る。賢輔といっしょになった幸は大坂で人生の総決算。商売も創業100年の節目を迎え五十鈴川までの熟年旅行。記念事業とした家訓でなく世傳、取ってつけた話にちょっと引いた。