「この世はな、知らんことには、自分が知らんという理由だけで興味を持たれへん、それを開き直るような間抜けで埋め尽くされとんねん。せやから、自分の知っとる過去しか知らずに死んでいきよる。八十でくたばるときに考えるんは八十年間のこと、つまり頭からケツまで己のことや。己のことを考えるから苦しむっちゅうことに気づかず、今に通用する身の振り方だけを考えて、それを賢いと合点して生きとんねん。情けない話やのー。」
―乗代雄介『皆のあらばしり』
「人は読みながら推量し、捏造する。すべては最初の間違いからはじまる。……我々が頑なに、そしてそれに劣らず誠実に……真実だと信じていることの大半は……当初の間違いに端を発しているのである。」
―マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
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