呪いとか祟りとか、別に本書での風土病がそういう扱いを受けていたわけではないけれど、得体が知れないうちは人知を超越した漠然とした不気味な観念みたいなものなのに、病態が分かり、感染機序が分かり不気味さに精細な輪郭が加わるにつれてひどく矮小なあっけのない、一感染症になっていく様が、殆どミステリー小説のようで、おもしろかった、そして凄いな、ほとほと感心した、江戸から昭和を股にかけて何人もの人が骨を折って人生を賭してよく分らん病気の解明や何やらに心血を注いでる様が、そして当然だけれど感染症に戦争は関係ないんだもんな

相変わらずだった変わらず地の文は軽くて内容は重くて徐々にハマって気持ちをぐちゃぐちゃにしていく、題名の時点で題材は察するけれど大人に翻弄される子供と守ろうとする大人と生きようとする子供と、いつもだけれど大人というきれいな線引きがある訳じゃない、とてもグレーで、大人というのは社会的な役割であって演じているのは子供と変わらない、だからといって適当かましていいわけではないが、あさひかわいかったな喜連川さんも航もテルもいい奴だし、ユタの子にも幸あれだし、みんなに幸あれって読後思える本って素敵だな

おもしろかった随分と不穏だったのっけから不穏なところは多々あったのだけれど屹度主人公とペンギンのせいだろうな全てを静かで穏やかな空気に変えてくれるので不穏に形が伴って気が付けば両手ですっぽり搦めとられるまでそうだと気が付かなかった。不穏さは見過ごされるものじゃなきゃ駄目なんだ正面切って現れるとたちまち恐怖になってしまうから靄みたいにゆっくり周りを覆って気が付いた時には手遅れじゃなきゃいけない。ニーナやソーニャが再び他人のようになるのもよかったペンギンと彼だけが繋がっていてそれでいて独りだった素敵だった

呪いとか祟りとか、別に本書での風土病がそういう扱いを受けていたわけではないけれど、得体が知れないうちは人知を超越した漠然とした不気味な観念みたいなものなのに、病態が分かり、感染機序が分かり不気味さに精細な輪郭が加わるにつれてひどく矮小なあっけのない、一感染症になっていく様が、殆どミステリー小説のようで、おもしろかった、そして凄いな、ほとほと感心した、江戸から昭和を股にかけて何人もの人が骨を折って人生を賭してよく分らん病気の解明や何やらに心血を注いでる様が、そして当然だけれど感染症に戦争は関係ないんだもんな