
が続いているという状況。そんな年金だが、まず巷間言われるように所得代替率のモデル世帯(夫が正規雇用、配偶者が3号被保険者)が非正規労働者が4割になっているという実態に則していないという問題。また基礎年金部分がマクロ経済スライドによる調整により給付水準を低下させ続けており、今後氷河期世代等の基礎年金部分しかもらえない人々が受給者となった時に年金は最低生活保障できなくなる問題。昨年はこの問題で政治が大荒れであった。これについては北欧にあるような最低保障年金を制度化すべきという議論がある。また、適用拡大するに
ないかと指摘する。海老原嗣生『静かな退職という生き方』でもWLB重視、言われたことしかやらない、飲み会等に行かないことを「静かな退職」と呼んでいるが、「マミートラック」も含め、これらは本来あるべき労働の姿を侮蔑的に表現しており問題であると筆者は述べる。具体的な政策を提案している訳ではないが、そもそもの発想を転換しよう、という論考。◆田中洋子「短時間正社員 労働力不足時代の働き方アップデート」で紹介されていたドイツの事例が面白い。ドイツでは非正規パートは存在せず、正社員が柔軟に働き方を選択できるようになって
おり、パートであってもフルと全く同じ待遇である(無期雇用、社会保険加入等)。一つの管理職ポストをパートタイマーが2人でこなすというのは驚いた。一人は月曜から木曜まで、もう一人は火曜から金曜までのような。日本でも短時間正社員制度はあるが、まだメジャーとは言い難い。◆
そうして第一次地方分権改革が始まる。首長経験者である細川首相と武村正義官房長官主導のもと、機関委任事務の廃止、国の関与のあり方の法定化、国地方係争処理制度の創設等の改革が行われた。◆時代は飛んで第二次安倍政権時代の地方分権について。興味深いのがここで引用されている金井利之の分析とそれへの筆者の所感。金井は小泉政権で行われた構造改革特区について国による財政移転を伴った均衡的発展政策ではなく規制緩和により自治体による経済政策を促進し、国による雇用政策不在の肩代わりをさせていると批判したというが、国家戦略特区も
同様の批判が当てはまるのではないかということ。素人考えながら、これは他分野の政策についても言えそうな話かと思った。国が積極的にお金をかけて政策を打ち出すのではなく、規制緩和をして自治体にやってもらおう(上手くいけば対象範囲を拡大)ということ。◆近年の地方創生政策(ふるさと納税含む)の問題点も議論されている。地方創生は国が絵図を作りそれに沿って自治体を動かし(総合戦略を立てさせ)、交付金を国が配分する。これにより、自治体間競争が生じるし、何より国が主導している時点で地方分権の理念とは大きくかけ離れている。
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