気になる人に思いを馳せる時、この病はやってくる。 大声で泣きながら、怒りながら、自分に向かってくる彼の怒りが収まるまで横にいる時、その永遠にも感じられそうな時間が過ぎ去り、試合後のボクサー同士のように、両腕から力が抜け、体育座りになる時、気がつけば泣いている。それは別に彼を救いはしない。彼にとっては、僕が泣いていることなど関係のないことだろう。 僕が救いたいのは、僕自身だ。 僕は僕のために泣き、彼は彼のために泣く。 同じように泣いているから、気が合うように見えるが、実は重なり合っているだけ。 ばらばら。

気になる人に思いを馳せる時、この病はやってくる。 大声で泣きながら、怒りながら、自分に向かってくる彼の怒りが収まるまで横にいる時、その永遠にも感じられそうな時間が過ぎ去り、試合後のボクサー同士のように、両腕から力が抜け、体育座りになる時、気がつけば泣いている。それは別に彼を救いはしない。彼にとっては、僕が泣いていることなど関係のないことだろう。 僕が救いたいのは、僕自身だ。 僕は僕のために泣き、彼は彼のために泣く。 同じように泣いているから、気が合うように見えるが、実は重なり合っているだけ。 ばらばら。

冤罪が裁判の原罪である以上、冤罪を完全に避ける方法はない。その場合、犯罪を裁く主体は誰か、正義を判断する権利は誰にあるのか。これが裁判の根本問題となる。 誰に最も正しい判決ができるのかと問うのではない。誰の判断を正しいと決めるかと問うべきだ。 裁判は、真理を発見する科学ではない。〈真実〉を定める政治行為だ。