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2024年10月の読書メーターまとめ

円盤人
読んだ本
5
読んだページ
2092ページ
感想・レビュー
5
ナイス
43ナイス

2024年10月に読んだ本
5

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

円盤人
女性記者サンドリーヌが祖母の遺産を受け取るために島へ渡る。そこは戦後子供たちが溺死した悲劇の場所だった……という、最初のあらすじからは考えられない方向に話が飛びに飛びまくる。伏線は(一応)きちんと散りばめられ、第二章の終わりなどは非常に上手い引きだったりするが、その気になればいくらでも強引に理屈をつけられるフォーマットなのがずるいと感じる。先が気になってページを繰る手は止まらなかったものの、真相自体は「そうなんですか」と白けて聞いてしまった。特にお勧めはしないが、一読忘れがたい作品であることは保証します。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
5

円盤人
乱歩が激賞し、翻案作『三角館の恐怖』を書いたことで有名な本作。改めて読むとだいぶぎこちない印象を受ける。最初からしばらく細やかな人物描写が続くが、事件の進行とともに変化していくさまは追わないので、書き割りみたいな薄っぺらいものになっている。ひとつの家屋を割って住む、という設定の掘り下げ、怪奇ムードの盛り上げも今ひとつだ(良くも悪くもカーっぽい、と言えなくはないが)。最後の捕物にしても「本当に怪しいのは家族」などとバラさない方が盛り上がるだろうに……。これを乱歩がどう直したのかは後日改めて検証したいと思う。
が「ナイス!」と言っています。
円盤人
「車椅子探偵」とあるが、主人公の青年はホーキング博士と類似の病である。自由に声を出すことすら難しいのだ。その彼が、女子学生誘拐の目撃者となってしまい……というサスペンス。本書は原題を「How Lucky」という。痰が絡んだだけで亡くなり得る毎日を送りながら、彼は周囲の人々や、ささやかな運に感謝を捧げて生きている。饒舌なユーモアで彩られた一人称の文体は、現代アメリカ文学でよく見かけるそれだ。つまり「いつものやつ」だが、テンポは心地良く、単純な事件ながら山場では手に汗を握った。エドガー賞最終候補も頷ける良作。
円盤人
2024/10/18 10:41

解釈次第では、21世紀版『裏窓』とも言えるかもしれない(その意図はないだろうけど)。

が「ナイス!」と言っています。
円盤人
日本三大探偵のひとり、神津恭介シリーズの第2作。作者については、乱歩や正史ほどには独自の世界を構築し切れなかった、という個人評なのだが、時代の要請に応じて法律&ピカレスク、歴史推理までものにしてサバイブし続けた。本作は何かが微妙に足りないような気がするものの、単に「器用」で片付けられないほど、真っ向から「探偵小説」を描き切ったのは見事である(読者への挑戦まであるのだ!)。そうした点にばかり目が行きがちだが、教派神道カルトという題材や、最終章の犯人の熱弁などは、先輩ふたりにない作者ならではの持ち味だと思う。
円盤人
2024/10/18 10:33

「土岐子」と「お時」の名前がかぶっているのは意図的か、と思っていたら特に何もなかった。水、火、土を連想させる3人娘のネーミングだが、女中に「時間」を持って来る意味も特に見当たらないし。

が「ナイス!」と言っています。
円盤人
女性記者サンドリーヌが祖母の遺産を受け取るために島へ渡る。そこは戦後子供たちが溺死した悲劇の場所だった……という、最初のあらすじからは考えられない方向に話が飛びに飛びまくる。伏線は(一応)きちんと散りばめられ、第二章の終わりなどは非常に上手い引きだったりするが、その気になればいくらでも強引に理屈をつけられるフォーマットなのがずるいと感じる。先が気になってページを繰る手は止まらなかったものの、真相自体は「そうなんですか」と白けて聞いてしまった。特にお勧めはしないが、一読忘れがたい作品であることは保証します。
が「ナイス!」と言っています。
円盤人
金田一耕助、由利麟太郎に並ぶシリーズ探偵、人形佐七の傑作短編集である。ガチガチの本格かと思いきや、人情噺的な側面も大きく、謎解きの要素が強めの時代小説という体に仕上がっている。捜査も科学的というよりは、犯人の何気ない言質を拾うような、率直な解決のものが多い。意外にも耽美趣味やエログロはなりをひそめ、文章は軽快、佐七と子分ふたりのやり取りは軽妙でユーモラスでさえある。人形にも見紛う美男とはいえ、真珠郎などとは正反対と言っていい。作者もおおいに楽しみながらこれらを書いたのではないか、そう思わせる17篇だった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/06/27(3071日経過)
記録初日
2017/08/09(2663日経過)
読んだ本
268冊(1日平均0.10冊)
読んだページ
95844ページ(1日平均35ページ)
感想・レビュー
268件(投稿率100.0%)
本棚
0棚
外部サイト
自己紹介

円盤人です。主に海外ミステリ、SF、ファンタジー、児童書、日本のものでは歴史小説をカバーしていますが、最新の情報を追いかけたり追いかけなかったりしてます(笑)。好きな作家はジョナサン・キャロル、ジェレマイア・ヒーリイ。人生で最良の小説はヴァルター・メアス『キャプテン・ブルーベアの13と1/2の人生』(河出書房新社)。読書の他の趣味エリアは、怪談語り、アビスパ福岡、カラオケ、海外ドラマ、ゲームブック(もちろん)等。現代日本で生活感のある作品にあまりコミットしてないのは、「ここじゃないどこか」が好きだからなんだ、と思います。マル

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