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2024年3月の読書メーターまとめ

Hiro
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感想・レビュー
18
ナイス
78ナイス

2024年3月に読んだ本
18

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Hiro
評価の定まった名作で劇やドラマにもなっているとも知らず途中までは並の学園小説かとあまり気を入れずに読んでいたが、バレーボール大会の辺りから本当に面白くなって最後は夢中で読み終えた。誰にも身に覚えのある十代の学校生活を描いてやや理想化し過ぎとも思う。が、そんな難癖を一蹴するような瑞々しい輝きが本書にはある。それは少女が突然四十のおばさんになるという仕掛けによって一層強められ、取り返しのつかない時間と体験のいとおしさを募らせる。そしてそのまま今を未来を生きようという潔い決意に繋がり老いた私の励ましにもなった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
18

Hiro
何のためにどこを読んで何を得るのかという目的を予め明確にして本を読み始めるのが効率的読書のコツだと言う。本屋で本を選ぶ時からそうしたことにあたりをつけて買う、そうすれば速く読める。だから勿論、本によっては冒頭から順に最後まで読む必要はない。要は目的が問題。それから抜書きを手書きですることが理解度を増すと言う。取材の重要性から書き方論への話も興味深い。結局アウトプットを意識して情報収集の段階からどう書くか何が書けるかを予想しながら本を読みネットを使いメモを取ると言う。受け身で情報を集め過ぎてはいけないと。
Hiro
2024/03/31 21:48

正岡子規の、理想と写生を対比し現実の多様性を直視した写生の方が頭の中の既存イメージに縛られた理想よりも優れているという話や、意中の作家の文章を筆写して論理構造や表現を調べ文章上達に役立てるという教えも参考になる。要所でメモや筆写ノートの写真も添えてある。改行が多く冗長な箇所もあるが傾聴に値する本。

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Hiro
作家生活30年の記念の本。読書や身辺雑記の短いエッセイをたくさん集めて、それに高校生の頃の若書きのショートショート数編。巻末の全著作リストはこれからさらに読みたい私にはとても参考になる。著者の朗読CDも付いている。何かこれという傑作佳作があるわけではなく、力の抜けた寛いだ著者の姿が垣間見える一冊。でも次はどんな本の話になるのかと一気読みしてしまった。
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Hiro
作家、文人、政治家、実業家、軍人など著者の印象に残る明治以降の歴史上の人物、有名人の生き死にを思いつくままに語ったエッセイ。きちんとした論理構成があるのではなく、とりとめなくある人から次の人へと話が移行していくので、ひょっとすると、実際に原稿を書いたのではなく編集者が著者の話を聞いてまとめたのかと疑ってしまう。死という厳粛な主題で一応語り口は重々しいけれど、何か安直な感じがする。要は著者の気を引いた人物をめぐる昔話。死について著者自身も強い信念を持ってはいないと始めからちゃんと断ってもいる。
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Hiro
発行当時物議を醸したであろう前著の反響を受けた釈明の書。現役百名の作家皆をそれぞれたかだか数十行のコメントで処理しその五百以上の作品を百点満点で採点し数行の感想を付け格付けした、という前著は、週刊誌の映画評か昔のレコード名盤案内のようで面白くはあったが、酒席での文学談義ならともかく、一書をなすにはあまりに乱暴だったろう。本書も前著も丁寧な議論の積み重ねが略されているので結局は個人の趣味の披瀝と見なすほかない。本来なら非常に大掛かりな取り組みなのになぜ言葉を尽くさずこんな簡便な本で済ませたのか理解に苦しむ。
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Hiro
読書を中心に日々の暮らしの中で見つけた、何気ない発見や喜びや感動を柔らかく、静かな身振りで綴る短文集。ひとつの言葉、表現、表情から次々に連想が広がり、記憶の扉が開き、また年来の疑問が解けてゆく。老後で何という用事もなくただ自分の心がけだけで生活していてささやかな自分の過去を振り返ることの多い私にはまさにぴったりの文章だ。新しい本や映画なども教えられた。
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Hiro
異色の読書案内として読み、実際、未知の、あるいは知ってはいても関心のなかった多くの作家に少なからぬ興味を抱くことになった。また、著者がワインの格付け本を模したと言う通り、百人の各作家に2頁程度をあて五百以上の作品を百点満点で採点しリスト化し数十行のコメントを付したスタイルは網羅的でカタログみたいで品はないが読みやすかった。ただ根拠の示されない刺激的でかなり無礼な論述はどうか。評点は私の評価とはかなり異なる小説もあった。一読者は面白がって済むけれど。あとは著者の正当性を実物に当たって確かめるのみか。
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Hiro
シリーズ三作目。これで3冊九つの連作短編を読んだことになるが私は本書の三編が特に面白く感じた。読書や観劇や音楽や、あるいは社交を通じて得られる連想や感興や意味ありげな暗合を織り込みながら物語を作り、謎を仕掛け、解かれた答えのあとに、ありきたりの分別を超えた、人の有り様をそこはかとなく暗示する、というのが著者の作品に通底するものかと思うが、本書は設定が戦前で私たちがその後の人々の運命を知っているだけに余計、すべてのものが健気でいとしく悲劇的に見えてしまう。夕日に輝く風景を見るように。
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Hiro
著者が読書や日常の生活の中で見つけた、本や作家についての雑多な、細々したエピソード、思い出を綴った掌編集。ひとつの文章が3ページくらいなので、すき間時間にひとつ二つ読んでは別のことをして、といった感じで読んだ。面白かったのは伝聞推定の「なり」の話。そうか古文文法も平安と江戸では違うんだ、伝聞推定って後から考えたんだ、とすっかり感心してしまった。軽く何気なく書かれているが言及された本や映像などで深掘りを始めたら結構大変なことになりそう。著者の博識と研究心に謹んで敬意を表すだけにしとかないと。
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Hiro
シリーズ2冊目。本書も前と同じで一番面白いのは三作のうち最後の表題作。解説にもある通り段々とベッキーさんの正体が明かされていくのが興味深い。楽しく読めてしかも読後に伏線や様々な仕掛けに気付かされて納得したり感心したりできるのがいい。それにしても著者の主人公はなぜほとんど女性なのでしょうか?今後の読書課題としてぼちぼち検討していきたい。
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Hiro
著者初期の短編集。主人公ないし語り手はどれも作者を思わせる日本人だが、登場人物はほとんど白人で、舞台もヨーロッパ。海外旅行や在外生活が自然になった今ならともかく発表当時はさぞやキザっぽく思われただろう。印象的なのは「ある告別」の、主人公がアテネでパルテノン神殿を初めて見た時の感興を綴ったくだり。とてもいい文章。全7篇のうち始めの三つは志賀直哉か梶井基次郎を連想する、あまり話のない印象記だが後半の諸篇はどれも筋があって一応読ませる。癒し難い苦しみや避けられない死、永遠と一瞬の生の輝き、ということがテーマか。
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Hiro
著者のことは全く知らずたまたま手に取って読書案内のつもりで読み出した。確かに読書の楽しみを語っているのだが、その語り方がちょっと勿体ぶっていてよく言えば洒落ていて高級、悪く言えば凝り過ぎて鼻につく感じ。人に勧めるより自分が読んだ本の思い出に自ら酔ってもうかなり泥酔気味。しかしそれだけ濃密な読書体験というのは作家だから当然かもしれなくてもやはり羨ましい。印象深いのはヘミングウェイのパリ、ゲーテのイタリア、伊勢物語の成り立ち、ウォーを、それぞれ取り上げた文章だろうか。もっと他の著作を読み進めたい。
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Hiro
国際交流や異文化体験の本は好みなので本書も外国で学び教える研究者の、伝記的で体験的な比較文化のエッセイと思って読み出した。出だしからしばらくして様々な男性遍歴が語られる辺りからだんだん怪しくなる。冷静に客観的に彼我の違いを取り上げて文化的な考察を加えるような、そんな取り澄ましたものではなくなり、父親の死のくだりに至って、私は著者にはもっと語るべき大きなことが他にもあるのではないか、伏せられたそれを話して欲しいと思うようになった。最後に出て来る東北地震も相まって何か不穏な落ち着かない気持ちで読み終えた。
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Hiro
文化政策の日米比較をしていた著者が米国議会図書館のバーンスタインに関する膨大なアーカイヴの中に、様々な有名人に混じって、日本人2人からの異様に多数の手紙類があることを発見するところから話は始まる。魅力的で推理小説のような導入。本書はその2人の日本人の、マエストロに宛てた熱烈で愛情に溢れた私信をふんだんに引用しながら、バーンスタインの来日公演を中心に彼の足跡を辿り、また2人の日本人の人生模様にも迫ったノンフィクションだ。特に被爆40年の広島公演と札幌の音楽祭誕生の記述は印象的。巨匠を支える2人の献身も。
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Hiro
NHK100分de名著のプロデューサーが語る読書法。1日5分の読書から始まって書き込みをして本を汚すとか、問いを立てながら読むとか、分からなさを異物として取り込みながら読むとか、様々な攻略法で名著、大著、難解本の読み方を伝える。特に目新しいことを言っているのではないけれど、著者の公私での人生体験、悩みの克服に即して具体的に多くの本を紹介し読書に助けられた実例を挙げているので説得力がある。読んでいて素直に著者の言葉に敬服し見習おうという気になる。誠実で真実味のある読書論。
が「ナイス!」と言っています。
Hiro
評価の定まった名作で劇やドラマにもなっているとも知らず途中までは並の学園小説かとあまり気を入れずに読んでいたが、バレーボール大会の辺りから本当に面白くなって最後は夢中で読み終えた。誰にも身に覚えのある十代の学校生活を描いてやや理想化し過ぎとも思う。が、そんな難癖を一蹴するような瑞々しい輝きが本書にはある。それは少女が突然四十のおばさんになるという仕掛けによって一層強められ、取り返しのつかない時間と体験のいとおしさを募らせる。そしてそのまま今を未来を生きようという潔い決意に繋がり老いた私の励ましにもなった。
が「ナイス!」と言っています。
Hiro
前に読んだ「敦煌」と同じく、歴史上の偉大な出来事を、かかわった個々のはかない人間の気高くもあり脆くもある生き方を通して抑制的に描き出している。「あすなろ物語」にはさほど惹かれなかったが、やはり著者は凄い作家と思う。特に多言を要さずに本質に迫り人生の虚無的で詩的な面を浮かび上がらせる手際の見事さ。併録されている「補陀落渡海記」も残酷な奇習に翻弄される僧侶を描いて秀逸。今は出回っていない旺文社文庫巻末の、著者の代表作案内を読みながらあれもこれもともっと読みたくなった。
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Hiro
詩人で国文学者の著者が源氏物語、落窪物語などを例に古典文学の読み方を述べたものだが、古文の勉強として読むのではなく今ここで読む文学として、当然に社会の仕組み風俗の違い、そして何より言葉の使い方の違いはあるにせよ、同じ人間の共感を持って古典を読むことの意味合いを熱く語っている。注釈書、辞書は必須であり、言及されないこと、タブーが重要で、文法では特に「き」と「けり」の区別や助詞、また敬語表現や主語の省略に注意せよと言う。一番面白かったのは物語を扱った章で、竹取、源氏、落窪、雨月を俎上に物語文学論が展開する。
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Hiro
予定外に読み出してあんまり面白いのでついつい読了してしまった。円紫さんと私シリーズ(だったか)や中野のお父さんシリーズはだいぶ読んだけどこのシリーズは初めて。戦前の日本を舞台にすると大抵庶民の生活を描いたものがお馴染みだが本書は本当に上流の貴族の日常が語られる。物珍しいが最初はちょっと好感持てないし、くノ一みたいな運転手もカッコ良すぎる。いつものしなやかな語りと謎解きに釣られて読み進むが最後の表題作が素晴らしい。十分に説得力のある血の通った人物が出て来て味わい深い結末が待っている。もっと読みたくなった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/07/26(2833日経過)
記録初日
2016/07/23(2836日経過)
読んだ本
983冊(1日平均0.35冊)
読んだページ
292267ページ(1日平均103ページ)
感想・レビュー
957件(投稿率97.4%)
本棚
15棚
性別
年齢
66歳
血液型
A型
職業
無職
現住所
福岡県
自己紹介

最近リタイアし無職になった61歳。30有余年のサラリーマン生活では、生来の怠け心とともに、やはり仕事や付き合いへの執着もあって、読書に十分な時間を割くことができなかった。ここ数年自分の仕事上の帰趨が見えてきて俄かに、読めずにいる、また何年かかっても到底読めそうにないたくさんの本への愛着が湧いてきた。今読むだけの生活に実際浸れるようになって家族はじめ周囲の人たちへ感謝の毎日です。

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