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2024年4月の読書メーターまとめ

梅子
読んだ本
8
読んだページ
2277ページ
感想・レビュー
8
ナイス
30ナイス

2024年4月に読んだ本
8

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

梅子
日韓併合下の釜山で貧困を生きる女性ソンジャが、戦争に押し潰されるギリギリを掻い潜って生き延び、大阪の地で終戦を迎えるまでの、壮絶な半生を描いたとんでもない大著。1冊の本で3回も泣いたのは初めて。日韓併合・第二次世界大戦・大阪空襲・原爆投下・朝鮮戦争……この時期に生きた朝鮮人の苦しみが読書から離れてもずっと頭の隅に居座り続け、子供の頃父に連れられた朝鮮学校の文化祭や母に連れられたハギ・ハッキョを思い出して、自分が確かに大阪人だということを再確認したりして、じんと染み渡った。下巻は楽しみだけど、読むのが怖い。
が「ナイス!」と言っています。

2024年4月の感想・レビュー一覧
8

梅子
文学の効用の一つは現実に出会う人間を登場人物に照らして分類できるようになる事だが、この作品以上の精度でそれが出来るようになった試しがない。会社の人間全員を鳥瞰できるようになってしまった。丸裸にされるトマーシュ・テレザ・サビナ・フランツのパーソナリティどれもに一部分だけ共感させられ、4人全部混ぜ合わせると私自身になる気がして怖くなった。同時に、人生の進展を感じられない私にとってモルヒネみたいな救いになり、毎晩感じる悲しみに酩酊させられるようになった。自分がここまで変えられてしまったのが、ただただ恐ろしい。
が「ナイス!」と言っています。
梅子
日韓併合下の釜山で貧困を生きる女性ソンジャが、戦争に押し潰されるギリギリを掻い潜って生き延び、大阪の地で終戦を迎えるまでの、壮絶な半生を描いたとんでもない大著。1冊の本で3回も泣いたのは初めて。日韓併合・第二次世界大戦・大阪空襲・原爆投下・朝鮮戦争……この時期に生きた朝鮮人の苦しみが読書から離れてもずっと頭の隅に居座り続け、子供の頃父に連れられた朝鮮学校の文化祭や母に連れられたハギ・ハッキョを思い出して、自分が確かに大阪人だということを再確認したりして、じんと染み渡った。下巻は楽しみだけど、読むのが怖い。
が「ナイス!」と言っています。
梅子
背中に入れた女蜘蛛の刺青によって、その少女が魔性の女に開花する。唯美的・官能的な文体は読者の想像力にも影響を及ぼして、脳内で勝手に毳毳しくも緻密で鮮やかな刺青模様を想像してしまい、その自分の想像力に驚かされる……そんな読後感だった。谷崎はいいねえ。刺青を"古のメンフィスの民がエジプトの天地をピラミッドとスフィンクスで飾ったように"入れる、という比喩が美しすぎて感激した。
刺青
が「ナイス!」と言っています。
梅子
設定は面白いけど伝統的な構成で唯美主義的、100年くらい前の作品だと思い込んでいた。臭いという実態のないものを言葉で表現し続ける為どうしても説明がくどく感じたり、匂いを通して世界を認識する主人公の独特の内面や世界の見え方を演出するために、やはり説明過多になる感じがあって、プロットの遅滞と文字情報のアンバランスさにちょっと文字酔いしてしまった。文学としては結構面白いし、結末も予想外。ただ個人的に、きっとフランス革命と絡んでくるだろうと期待していただけにやや裏切られた感。中世パリの猥雑な描写が気に入った。
が「ナイス!」と言っています。
梅子
「和平解放」間もないチベットを旅した雑誌『人民中国』の記者の記録。まず気になるのは地名が今日一般的な表記と異なっていること。シガツェをジガセ、ヤルツァンポーをヤルザンポーと記し、山名に至っては一体どの山のことか全く分からず地理的にノジンカンサンかな?とか想像するしかない。チベットの「和平解放」前の農奴社会を強調したり、その文化を漢民族の文化と比較してみせたり、なんだか自民族を相対化できてない感じがすごくするが、紀行文としては面白く読める。親切で義理と人情に厚く、金に全く固執しないチベット人の誇り高さ。
が「ナイス!」と言っています。
梅子
実験的な作品も多いが、題材はどこか古典的で味わい深い短編集。どれも自分ごとに思えてちょっとしんどかった。表題作は流石の面白さなんだけど、それよりも『不滅』に魂を持っていかれた。先祖代々宦官を輩出してきた鎮の、辛亥革命以降の様子も興味深いが、そこに共産党の某独裁者とそっくりの顔で生まれ落ちた男の一生が、かつて宦官が背負わされてきた理不尽なソレとだんだんダブって見えてくるところで背筋がゾワリとなった。しかも視点人物は「鎮」そのもの。共同体の目が、まるで自分の手足の一部のように男を描写する。凄すぎる。
が「ナイス!」と言っています。
梅子
『ミスト』が面白いのは当然として他の作品も味わいある読後感のものばかり。流石のページターナー。特に『ノーナ』がいい。何者でもなかった主人公が瞬く間に悪に染められていく恐ろしさ、その手引きをした存在が実はもう…という空虚さ。同じ"悪魔"でも、『ザ・スタンド』のフラッグが男であり、ノーナが女というだけでこれ程感じ方が違う。ノーナは若い女性というだけで背負わされるリスクというものにもブチギレていて、何だか妙に共感させられる。『ジョウント』は面白いけどケレン味が強くていかにもパルプフィクション。それも含めて良い、
が「ナイス!」と言っています。
梅子
メルヴィルの『バートルビー』、アガンベンのバートルビー論、そのアガンベンの研究家による解説と、3拍子揃ったお得感に惹かれて購入。アガンベンってこんな感じやったな…という苦い記憶と共に大苦戦するが、高桑先生のあまりに分かりやすい解説に「終わりよければ」の満足感。原作はもちろん面白かったが、「そうしない方がいいのです」という潜勢力の象徴たる言葉の反復によって、むしろ主人公の側が自らの内を曝け出させられる精神分析の被験者となっているという指摘が気持ちいい。空白を意味で埋めようとして空回る理性のバグが哀愁を誘う。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/08/13(2820日経過)
記録初日
2016/08/16(2817日経過)
読んだ本
290冊(1日平均0.10冊)
読んだページ
95981ページ(1日平均34ページ)
感想・レビュー
270件(投稿率93.1%)
本棚
13棚
性別
年齢
32歳
血液型
AB型
職業
事務系
自己紹介

山岳小説にハマり記録のために読書メーターをつけ始めました。SF、登山もの、冒険もの中心に記録していきます。ノンフィクションが好き。お酒も好き。早く中国旅行を再開したい。

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