副業殺し屋シリーズ第３弾。経営コンサルタントを営む傍らで殺しの依頼を受ける男と前作から登場した在宅ワーカー兼殺し屋の女による短編集。殺し屋たちがビジネスライクに徹しているあたりは相変わらずだが、彼らを取り巻く仲間や親しい間柄でも殺人という方法を選ぶ依頼人たちもどこか倫理観が欠如しているように思えるのがこのシリーズの特徴で、同時に読み手側の好き嫌いを大きく分けるポイントだと思う。交わりそうで交わらない２人の殺し屋がお互い存在を微かに感じ讃えるあたり、続編への期待が高まる。

かつて特撮ヒーロー物で名を馳せたが今はすっかり落ち目の俳優が、大麻使用の後に起こしたひき逃げ事件をストーカーまがいのファンに録画されてしまい、それをネタに結婚を要求してくるといった内容。序盤から主従関係による不本意な結婚生活が淡々と綴られるが芸能人の人気の浮き沈みというのがいかにして変動するのかといった事も細かく書かれているなといった印象。終盤で畳み掛けるように裏切りの攻防戦が出てくるがいつもの藤崎作品にしては伏線少なめかな。