真世は元教師の父親が殺され、実家に帰る。そこに、音信不通だった叔父の武史も戻ってくる。肝は探偵役の叔父が元マジシャンというところ。マジックの腕と警察との交渉術を駆使し、そして姪の真世をもしたたかに利用して犯人を突き止める。といっても狡猾な人物という訳けではなく、強力な個性だけれど憎めない人物。姪との遣り取りも面白く、楽しく一気読み。続編も出ているようなので、そちらも楽しみ。

絶命的不利な状況、岬洋介はいつ登場するのかと読む手が止まらなかった。事件解決はあっさりしていたけれど、次回の活躍も心待にしたい。

音松とお鈴夫婦が営む古道具屋「鳳来堂」を舞台に繰り広げられる悲喜交々。季節の移ろいと、お鈴の店の前での七厘での料理で始まる。奉公に出ている一人息子の長五郎、音松の幼馴染みの三人も個性豊か。ほっこりする市井物の短編集が手元に無いと落ち着かない。これもそう言った一冊。切ない話もあるけれど、どれも素直な温かいお話でした。

一話目の地中美術館、直島「私を見つめ直す旅」アートと自然の融合が素敵だ。青い海と緑豊かな島、そこに自然光を採り入れて…そんな中に丸ごと体全体で浸りたくなった。今迄、余り興味を持てないでいた現代美術や彫刻に興味が沸いてきた。鑑賞のヒントも貰えた。取り敢えず自分なりの解釈でいいのかと気軽に楽しめそうな気がしてきた。直島へ行ってみたい。

今作の読み所は何と言っても 無量と父親の藤枝教授が接近したこと。お互いの不器用さからか完全に仲直りとは行かなかったけれど、文献を主なフィールドとする藤枝と発掘師の無量は、良いコンビかもしれない。父親が悪い人ではなさそうで一安心。萌絵と無量の遣り取りは少な目で移籍話も余り進展は無し、けれど忍のことも少し分かってきて、これからが楽しみだ。

裕二の辛い生い立ちが描かれ、彼と千遥の繋がりも良く分からない重苦しい前半から中盤。突然現れる八木沢も不穏な空気を醸し出す。自分の過去を探り始めた裕二。その謎が解かれた後、一転彼等皆に幸せが訪れる温かなラストが待っていた。面白く、一気読み。

ちょっと不思議でハートウォーミングな五編。一話目、ちょっとしんみり。海の側の古い家、どこか懐かしさを感じる。「ファイト」幾つに成っても何かに夢中になりたい。「コロナと潜水服」面白かった。康彦の怯え方大袈裟と思ったけれど、思い返すと当時、私もあの程度には恐れていた。「パンダに乗って」短いロードノベルのよう。心に沁みる素敵な話で、これが一番かな。

真世は元教師の父親が殺され、実家に帰る。そこに、音信不通だった叔父の武史も戻ってくる。肝は探偵役の叔父が元マジシャンというところ。マジックの腕と警察との交渉術を駆使し、そして姪の真世をもしたたかに利用して犯人を突き止める。といっても狡猾な人物という訳けではなく、強力な個性だけれど憎めない人物。姪との遣り取りも面白く、楽しく一気読み。続編も出ているようなので、そちらも楽しみ。