ついつい流してしまう日々の変わり映えのしないニュースたち。でも、その裏にあるそれぞれの事情までは想像できない。それを逆手にとって見事に短編小説に仕上げた辻堂さん、さすがです。どれも辛く苦しく切ない物語でしたが、ついついのめり込んで読んじゃいました。

表紙から受けるイメージと違ってとても真面目な内容でした。率直な感想としては『勉強になる』に尽きます。私くらいの年になると、過去を振り返ってしまい、今まで無知・無理解のためにどれだけの人を傷つけたのだろうか、と考えながら読みました。さすがは氷室冴子文学賞大賞受賞作だなぁと思いました。

しんどい、だけど、すごい小説。どう考えても私は友梨奈さん罵倒される側の人間だろうなと思いながら読んだ。視点人物が変わるたび自分の中の判断基準が目まぐるしく変わり、カタルシスも得られないままなのに、読み終えた後には静かなる感動があった。

読むのが辛すぎて辛すぎて・・・。でも先を読まずにはいられませんでした。昭和は良かったとか、家制度が社会の根幹にあるべきとか宣ってる方々もいらっしゃいますが、その過程で軽んじられ踏みにじられたものもあったということを思い出してほしいです。

お久しぶりの桐子さん、ちゃんと3歳歳を重ねられていましたね。今回は雪菜ちゃんと共に、団地改革というなかなか困難なミッションに挑戦してました。桐子さん、まだまだお元気でいらして下さいね。続編をもっともっと読みたいので。

井上荒野さんらしいザラっとした余韻を残す短編集。とても良かった。一つの出来事や関係性も、違う視点から眺めると全く別のものになる。愛も信頼も幸も不幸も、絶対的なものではないということ。

お久しぶりです！風間教官！相変わらず、ばっさり退校させてましたね。こうして今日もレベルの高い警察官が生まれていくわけですね。感服いたしました。次回作も期待しております。

韓国の10年ごとの現代史を食べ物を絡めて描き出した短編集。あまりよく知らなかった隣国の歴史を庶民の視点で知ることができて良かった。何度理不尽な目に遭って虐げられても、何度も立ち上がってきた彼らの強さの根底にはやっぱり「ごはんの力」があったんだなぁ。感動的だった。

親を看とる年になって、人生の終わり方についていろいろ考えます。本作に描かれている緩和ケア病棟についてもとても勉強になりました。それにしても大人のむずキュンの恋もいいもんですね。最後にタイトルの意味が回収されて素敵でした。

岩井圭也さんの引き出しの多さには、毎度毎度驚きです。今回は遺伝子操作ミステリといったところ。あまり興味のない分野の話なのに、近未来の中国を舞台にした物語に思わず惹きつけられました。

週刊文春の連載を中心にまとめたエッセイ集。相変わらずのみうらさんは相変わらず人生を楽しんでおられるようで安心、安心。どうか元気で長生きして下さいねー。（たいして年は変わりませんけど）

以前読んだ「未知生さん」が、とても好みの作品だった片島さんの新作。やっぱり、とても良かったです。ちょっとした思いの行き違いから、疎遠になってしまった友。心にギプスをしたまま過ぎた長い時間。それらが昇華されていくラストが素敵でした。

前作の登場人物もちょっと出てきたりして、面白かったです。青島先生にとってじっくり話を聞く今の総合内科がいかに意味のあるものなのかがよくわかる章などもあって、ますますこのシリーズのファンになりました。

さらば、ルッキズム！青春から遠く離れた今では、些細な事に思えても、当時はやっぱりがんじがらめに縛られてましたねー。そこから解放される登場人物達が眩しくもほろ苦く、素敵な物語でした。

毎回毎回面白いなぁ。今回はまた特に切なかった。ホーソーンが過去の相棒と取り組んだ事件に現在の相棒であるホロヴィッツが抱く想いは如何に。見えてる事と真実との落差が読者を惑わせる、複雑な物語でした。次回作も楽しみ！

なるほど、「七人の侍」と「大統領の陰謀」オマージュの作品らしく、たいへん面白かったです。フェイクニュースも言論統制もどっちも怖いですね。これからのジャーナリズムはどうなるのか、受け手である自分の責任も感じました。

相変わらずの土門さんにまた会えて嬉しい。土門さんはただの冷血漢ではない、やっぱり心には熱い使命感がたぎっているんですね。土門さんに心を許せる友人がいることがわかって良かったです。このシリーズは是非続けていただきたい。

伏尾美紀さんの警察小説、大好きです。今回の事件は昭和・平成・令和と警官たちが執念で繋げていった捜査のバトンが胸熱でした。（最近二十六年前の殺人事件が解決しそうだというニュースを見て、やはり未解決のままにはしないという警察や遺族の執念を感じました。）とにかく、題名にふさわしい力作です！

矢樹さんが個人出版していた頃の作品も含めた短編集。とても面白かった。いい意味で矢樹さんらしい、胸のザラつく作品ばかりで、おおいに楽しみました。

ついつい流してしまう日々の変わり映えのしないニュースたち。でも、その裏にあるそれぞれの事情までは想像できない。それを逆手にとって見事に短編小説に仕上げた辻堂さん、さすがです。どれも辛く苦しく切ない物語でしたが、ついついのめり込んで読んじゃいました。

目を覆いたくなるほとの蛮行の数々。これが人間の本質の一面でもある。戦時下という極度のストレスに覆われた状況で、その捌け口になるのは更なる弱者。隠蔽したり美化したりせず、こういう現実は記録として残しておくべきですね。

面白かった！冒頭に人物相関図が付いていたので、とても便利でした。こういうお偉いさんたちの癒着って実際ありそうですよね。なかなかクレバーな雛がいじらしかったです。

猫とラーメンとオアシスが大好きな私にはぴったりの作品でした。