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2024年10月の読書メーターまとめ

ブラックジャケット
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感想・レビュー
17
ナイス
423ナイス

2024年10月に読んだ本
17

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

ブラックジャケット
ネタバレあまりのズバリの題名から本格推理ものに挑戦する著者の茶目気を感じる。限られた状況の中で発生する連続殺人なのだが、登場人物の7人は劇団員。主宰者の指示で山荘での舞台稽古を指示される。部屋に分かれた団員の一人が絞殺される。そこには殺人事件を示唆するメモ書きだけで、死体はない。他の団員は、新たな殺人事件の新作劇の舞台稽古の一部と思う。しかし第二の殺人事件となり、本物の連続殺人事件ではないか、という疑惑に陥る。ここには殺人を仕掛けた8人目の劇団員がいた。それを架空のものにする仕掛けもある。三重構造の難事件。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
17

ブラックジャケット
ネタバレ流行作家として量産体制に入った頃(1961年)のミステリ作品。税務署員の汚職がベースとなった連続殺人事件で、供応に慣れた官に大胆なメスが入った。まずは武蔵境の郊外の畑で死後二ヶ月の腐乱死体が発見される。被害者は元税務署職員沼田嘉太郎。新聞記者の田原典太が取材に当たる。沼田は以前に税務署内の汚職の責任を負わされて退職。彼は復讐の機会を狙っていた。そして第二、第三の殺人事件。自らの権力に麻痺するノンキャリ、キャリアが手を汚す実態を解明する。腐敗した組織、自浄作用もなく崩れるばかり。 社会派面目躍如の力作。
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ブラックジャケット
ネタバレ作詞家として一世を風靡した著者だが、西条八十が発掘した丸山の芸者が歌う「長崎ぶらぶら節」をレコード会社で聴いたのだろうか、確かな取材の元に情感あるれる小説として発表し、直木賞を受賞した。幼く丸山の遊郭に売られた愛八は歌と三味線の上手さで売れっ子芸妓になった。地元の老舗の古賀十二郎は派手な遊びで丸山に鳴り響いていたが、本心は史学者。店を潰してからは、愛八と長崎に埋もれる歌謡を採譜する仕事に没頭した。二人は心を通わせながら、消える歌を発掘。歌い継がれる伝統の曲と添い遂げられなかった銃愛物語が見事に結実。
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ブラックジャケット
ネタバレソール・ベローやフィリップ・ロスと並び称される20世紀のユダヤ系アメリカ人作家の1952年の処女作「ザ・ナチュラル」。なんと野球小説。戦前のメジャーリーグを目指した天才青年ロイ・ホッブスが、銃撃事件に遭いチャンスを失う。35歳になって、ニューヨーク・ナイツに入団する。奇跡のルーキーの由縁。自作のバットで奇跡的な活躍をする。名物監督や個性の強いチームメイト、さらには物語を彩る女性たち。エンターテイメントと言っていい判りやすい小説。 ロスにも「素晴らしいアメリカ野球」があるが、ユダヤ色のない好一対の良作。
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ブラックジャケット
ネタバレ著者の近代経済成長の四条件を揃えた勝ち組にオランダ、イギリスを上げる。法の支配、確立した私有財産権が投資を産み、経済成長を促した。反面、収奪的な富が放漫財政を招いたスペインの失敗は、南米諸国にも悪影響を与えた。イギリス植民地の香港、シンガポールの経済成長はイギリス法の整備に秘訣があったという。他にもキャッチアップに成功した例として日本を上げる。黒船ショックから封建制度を脱ぎすて、四条件を揃える経済体制を作り上げた。またイスラム諸国の停滞も豊富な資料・数値で検討される。壮大なスケールの文明史に感嘆する。
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ブラックジャケット
ネタバレ人類の歴史は経済成長のない時代が続いた。農業で食べられるようになっても、領主のさじ加減一つで運命がもてあそばれる。経済成長があってこそ、人は自由と権利を得ることが出来る。近代の経済成長は1820年に始まる。そのメカニズムを膨大な資料から明らかにする。「私有財産権」「科学的合理主義」「資本市場」「輸送・通信手段」の四条件が揃ったところが偉大な経済成長をものにする。一人あたりのGDPこそが豊かさの証明。持続的な経済成長が文明を発達させる。現実の世界史ではイギリスの歴史、法律、科学が豊富な資料から解説される。
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ブラックジャケット
ネタバレ小山軍議では福島正則、黒田長政らが主戦論をぶちあげ、去就定まらぬ諸侯の尻を叩く。一豊も献策する。自己の掛川城を城もろとも家康に差し出し、西軍との決戦に供す策。これが当たり、東海道の諸城は労せず家康の手に入る。関ヶ原の槍働きよりも、家康は決戦前の功名を高く買った。ついに一豊は土佐二四万石の国持ち大名となった。しかし土佐は長宗我部の旧臣が割拠している地、ただではすまない。一豊も生涯の仕上げに舞い上がる。千代は長宗我部の旧臣を仕官させることを説いたが、一豊は強硬策でいく。新鮮な千代視点を得た著者の歴史快作。
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ブラックジャケット
ネタバレ小説としての面白さも抜群。一豊が掛川へ入ると、伏見の城下では秀吉が千代を狙う。天下第一の好色の魔手に千代の危機脱出の妙策はいかなものか。スリリングで色気たっぷりのエピソード。しかしその秀吉もついに逝去。天下騒乱の暗雲。秀頼を守る石田三成らと実力者徳川家康。掛川六万石を 守るのは家康。千代と一豊は早くから家康党を選択し迷いはない。人質を取ろうとする三成は、回状を千代のところに回す。ところが千代は封を開けずにそのまま家康に渡すとこを勧める。もちろん家康は喜ぶ。蜂起の準備をする上杉討伐が決まり、小山軍議へ。
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ブラックジャケット
ネタバレ信長が主宰した馬揃えで、千代の嫁入りのヘソクリが活用される。城下で駿馬を買い求め、一豊は名声を博した。馬は死ぬが、噂は生きる。その信長が死んだ。一豊は秀吉の中国攻めの軍勢にいた。怒濤の反転攻勢の中、秀吉麾下の武将として認められ、ついに城持ちの大名となる。千代は勝ち馬に乗せるのが上手い。秀吉天下となると掛川六万石の大名に出世した。千代は北政所とのパイプを強くする。秀吉が東海道に置いた大名は、関東の徳川の抑えだった。秀吉の天下だが、東の家康が日本を二分しているとも言える。華やかな世だったが、影も深くなる。
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ブラックジャケット
ネタバレ著者が人気歴史小説家として地歩を固めた時期の新聞連載の小説。めずらしく戦国武将の山内一豊の妻の千代の視点が採用され、新機軸を展開した。女性の社会進出、出版界の期待等、時代的要請に応えたものかもしれない。出版は1965年で、当時の高度成長時代を反映した内容で、戦国武将の出世を肯定的、千代との愛情豊かな夫婦をユーモア交えて描き出した。大衆小説の味わいで血なまぐさい合戦の描写も活劇調で、毒はない。千代の遠隔操作が巧みで、一豊は織田家、羽柴家と急成長する英雄たちに仕官し、自身も功名を上げつつ出世街道を邁進する。
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ブラックジャケット
ネタバレヤクザと警官は裏表。塀の上を歩いて、外側に落ちれば警官、内側に落ちればヤクザとなる。イケイケのヤクザ桑原は単独でシノギ。そのお先棒を担がされるのが二宮。それでも分け前はしっかり取る。東西急便を食い物にした輩を追い、 二人は沖縄まで飛ぶ。裏金が転々とするが、倒産整理が本業の桑原が狙った獲物は逃さない。大阪に戻り最終決戦。しかし今回は二蝶会の若頭嶋田の力を借りることとなる。シリーズは反権力が通奏低音として響いている。ヤクザ、警察の区別なく、力を背景に阿漕なことをする連中に鉄拳の落とし前が落ちる。それが快感。
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ブラックジャケット
ネタバレヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮が組む疫病神シリーズの第3作。野心作の「国境」の次に当たる位置で、油の乗り切った大阪弁のやりとりが絶妙。二宮は桑原から接待麻雀の代打ちを務める。東西急便が奈良県警交通部の幹部に現ナマを喰らわす。急成長し全国組織となった東西急便はヤクザと警察官僚の両方から利権の草刈場と化していた。 奈良東西急便の放火事件、奈良県警幹部の贈収賄事件で、ついに奈良支店は閉鎖に至る。しかし裏金は残る。その凄まじい争奪戦が幕開け。二宮は放火犯に擬せられる危機を乗り越え裏金に迫る。下巻へ。
が「ナイス!」と言っています。
ブラックジャケット
ネタバレあまりのズバリの題名から本格推理ものに挑戦する著者の茶目気を感じる。限られた状況の中で発生する連続殺人なのだが、登場人物の7人は劇団員。主宰者の指示で山荘での舞台稽古を指示される。部屋に分かれた団員の一人が絞殺される。そこには殺人事件を示唆するメモ書きだけで、死体はない。他の団員は、新たな殺人事件の新作劇の舞台稽古の一部と思う。しかし第二の殺人事件となり、本物の連続殺人事件ではないか、という疑惑に陥る。ここには殺人を仕掛けた8人目の劇団員がいた。それを架空のものにする仕掛けもある。三重構造の難事件。
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ブラックジャケット
ネタバレプルートゥとの戦いでアトムは天馬博士に10万馬力から百万馬力に改良された。子供心にもちょっと大げさに感じた。浦沢アトムの復活は「憎しみ」がキーワードとなる。プルートゥには、ゴジ博士、アブラーと憎しみの系譜が続く。アトムの復活はいかに。地球には反陽子爆弾がトラキア合衆国の地下マグマで爆発する危機が迫る。新生アトムにはゲジヒトの記憶が蘇る。憎悪からは何も生まれない。アトムとプルートゥは共同でマグマの中の反陽子爆弾の除去に取り組む。 浦沢直樹の手によって手塚治虫の鉄腕アトムが現代に蘇る奇跡の作品。素晴らしい。
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ブラックジャケット
ネタバレ大詰めを向いつつある本作。史上最大のロボット6体を倒したプルートゥも初めてその素顔を現わす。浦沢直樹の画は現代にアップデートされたものが多いが、プルートゥはオリジナルに近い。反面、光子エネルギーのエプシロンは長髪の美丈夫、両性具備のようで浦沢タッチが生きている。アトム、ウランもしっかり本質を捕らえて現代風に。物語は謎を残したまま進む。プルートゥは何の象徴なのか。憎しみか、戦いの本能か。美しいエプシロンとまがまがしいプルートゥとの戦いは二度に及び、ついに力尽きたエプシロン。アトムは再び目覚めるのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。
ブラックジャケット
ネタバレかなり怖い本かと思ったが多様な印象を受けた。エンタメ小説を書くマッツ夢井の元に封書が届く。文化文芸倫理向上委員会からの召喚状。そのまま海岸の療養所に収容されてしまう。所長の多田から、読者からクレームが入っているので、もっと社会に適応した小説を書くようにと指導を受けるが、 実質強制収容所暮らし。番号で呼ばれ自由を奪われる。他の作家も収容されているようだ。反抗すれば収容が延長され、薬づけにされる。自殺か転向か。恐ろしい内容なのだが、ファッショ時代の恐怖は脱色され、現代の巧妙な仕組みのディストピアが描かれる。
が「ナイス!」と言っています。
ブラックジャケット
ネタバレスターリン時代の恐怖政治を描いたディストピア小説で、現在でもその先進性は錆びることなく輝いている。世界初の社会主義革命はスターリンの粛清で様相を変えてしまった。本著ではナンバーワンという名で額縁に納まる実力者。ルバチョフは革命政府の要職にあったが、ナンバーワンに忌避されて収容所へ送られる。彼は反革命の烙印を押され消される運命。最初に彼を取り調べたのは旧友のイワノフ。その彼もいつの間にか抹殺される。後任のグレトキンは革命後の新世代。冷酷な取調でルバチョフを自白に追い込む。正しく真昼の暗黒。恐怖の名著。
が「ナイス!」と言っています。
ブラックジャケット
ネタバレソ連が崩壊して一瞬楽観の世界を夢見たが、やはり歴史の道のりは厳しい。不朽の名作を読み直すと、人間を監視する社会は権力の本能のように思える。ウィンストンの住む一九八四年の住居にはテレスクリーンが配備されていて、国の支配者ビッグ・ブラザーの思想が繰り返し放送される。このシステムは双方向で家庭での言動が監視される。ウィンストンの仕事は歴史の改ざん。常に支配者の都合で歴史が書き換えられる。常に情報の上書きが行われ、人が真実に達することは不可能になる。現代のAIがどこに向うのか、ディストピア小説の大傑作に問う。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/02/02(2856日経過)
記録初日
2012/06/30(4534日経過)
読んだ本
1322冊(1日平均0.29冊)
読んだページ
529227ページ(1日平均116ページ)
感想・レビュー
1316件(投稿率99.5%)
本棚
31棚
性別
年齢
71歳
血液型
O型
職業
自営業
現住所
神奈川県
自己紹介

KINENOTEで映画レビューを投稿しております。
原作と脚本の違いなどが気になり、
映画の原作本を良く読んでおります。
また、小説、歴史書などは若い時から読んでおります。
もっと若いガキの頃はマンガばっかりでしてが…。
とまずは新参者でありますので、なにとぞよろしくお引き立てをお願い申し上げます。

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