52ヘルツという通常より高い周波数で鳴くクジラ。あまりに高音だから他のクジラたちには聴こえない。群れの中に入ることができず、広い海で独りぼっちに。そんな孤独のクジラと同じように、声にならない声を叫び続ける主人公・貴瑚と、彼女を取り巻く人々の辛くて温かなストーリー。救いのない現実の連続だったけれど、だからこそ救いのある結末で心の底から安堵しました。絶望の淵にいても、もう希望なんて持てなくなっても、「助けて」と声を上げられる自分でいたい。人の持つ温もりが、どうしようもなく愛おしくなった1冊でした。

52ヘルツという通常より高い周波数で鳴くクジラ。あまりに高音だから他のクジラたちには聴こえない。群れの中に入ることができず、広い海で独りぼっちに。そんな孤独のクジラと同じように、声にならない声を叫び続ける主人公・貴瑚と、彼女を取り巻く人々の辛くて温かなストーリー。救いのない現実の連続だったけれど、だからこそ救いのある結末で心の底から安堵しました。絶望の淵にいても、もう希望なんて持てなくなっても、「助けて」と声を上げられる自分でいたい。人の持つ温もりが、どうしようもなく愛おしくなった1冊でした。

１ヶ月後に小惑星が衝突して地球が滅びる世界線を生きる人々の連作短編。設定がなかなか突飛で物語に入り込むまでに少し時間がかかったものの、登場人物たちのつながりが見えてきた辺りからぐんと加速。いじめられっ子の友樹、ヤクザかぶれの信士、シンママの静香、孤独な歌手の路子。それぞれが苦しい日々を生きてきだけれど、死を目前にして手を取り合っていく姿に救われました。私も世界が終わる日は、大切な人のそばにいれたらいいな。