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2024年3月の読書メーターまとめ

AppleSugar
読んだ本
4
読んだページ
1524ページ
感想・レビュー
4
ナイス
63ナイス

2024年3月に読んだ本
4

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

AppleSugar
読みながら、恩田陸さんの集大成だと思った。 「茶と黒の幻想」を思わせる、失踪した女性とその謎を、旅をともにする複数の人が語る「藪の中オン・ザ・ロード」スタイル。 「三月は深き紅の淵を」を思わせる本中本の存在。 明確な謎解きがされるわけではなく、洒脱な会話や物語論を楽しむ、そのつもりで本作品の世界観を十分に堪能した。 それにしても、青年のフィッツジェラルドが、中年女性の悲哀に満ちた心理描写をものにしていたように、恩田陸は老人の心理描写が上手い。魅力的な老人小説、としての側面もある本だった。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
4

AppleSugar
山のミステリー、未解決事件、共産主義時代のソビエト、男性多めの男女グループなど、自分の好きな要素がたくさん詰まった幕の内弁当的ドキュメンタリーだった。 峠の名前にもなったディミトロフ一行の足取り、ディミトロフ一行を捜索する当時の警察やボランティア、そしてその謎を追う著者の3つの時系列を交互に並べて、9人が死んだ謎を追っていく。 真相自体は、仮説に過ぎないが、なるほどと納得させられた。 そして詳細は伏せるが「山」自体が死を招いた、という話の幕切れが恐ろしくもあり、ドキュメントとして興味を惹かれた。
が「ナイス!」と言っています。
AppleSugar
大変興味深い本で、日本にも通じる様々な問題点を前衛化させる。 例えば、本来は人権尊重のテーマで共闘できるはずの多様性主義者と普遍主義的左翼の対立が、右翼に利用されている指摘。例えば、行き過ぎた文化盗用への指摘にうんざりした一般人には、表現の自由を標榜する右翼側の主張が好ましく見えるという指摘。 トランスジェンダーを取り巻く問題を含めて、トランプ元大統領が未だに人気を維持するアメリカの状況は、こういった行き過ぎた多様性への揺り戻しが根底にあることを再認識した一冊だった。
が「ナイス!」と言っています。
AppleSugar
狂乱の大正時代が終わって、2.26事件前夜の不穏な空気が日本を覆う昭和初期を、遊郭に匿われている子どもの視点から捉えた恩田陸さんの中編小説。 著者が得意とする、事実は実はこうであったかも、という種明かしがあり、魅力的な登場人物が多数出てくる。 だが、この本が伝説的な映画の原作としては、逆にリーダビリティが高すぎて物足りない。「鈍色幻視行」で本書が取り上げられた時は、ゼルダ・フィッツジェラルドや、草間彌生の小説作品のようなゴツゴツした作品とかを想像してしいた。比べて本書は話運びや文体がきれい過ぎる、と思う。
が「ナイス!」と言っています。
AppleSugar
読みながら、恩田陸さんの集大成だと思った。 「茶と黒の幻想」を思わせる、失踪した女性とその謎を、旅をともにする複数の人が語る「藪の中オン・ザ・ロード」スタイル。 「三月は深き紅の淵を」を思わせる本中本の存在。 明確な謎解きがされるわけではなく、洒脱な会話や物語論を楽しむ、そのつもりで本作品の世界観を十分に堪能した。 それにしても、青年のフィッツジェラルドが、中年女性の悲哀に満ちた心理描写をものにしていたように、恩田陸は老人の心理描写が上手い。魅力的な老人小説、としての側面もある本だった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2017/10/22(2378日経過)
記録初日
2007/01/02(6324日経過)
読んだ本
885冊(1日平均0.14冊)
読んだページ
299397ページ(1日平均47ページ)
感想・レビュー
730件(投稿率82.5%)
本棚
1棚
性別
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