神社のクスノキを護る玲斗。そこに自作の詩集を持ってきた女子高生・佑紀奈と記憶障害の少年・元哉が知り合いになり共に絵本を作る。玲斗の叔母の千舟も認知症で記憶が曖昧になっていくが、悲愴感はなく、心にしみる終わり方だった。さすがの東野さん。

オックスブリッジへの進学目前の高校生6人が度胸試しの悪ふざけで母子3人を死なせてしまう。その責任を1人で背負って刑務所に入ったメーガンが20年後に出所し、今や地位を築き上げたかつての仲間たちに再会する。自己保身にはしる人間の心理と行動に腹を立てつつ一気読み。

幼い頃に父の赴任先の海外で共に過ごしたガードドッグの「虎」との思い出。千早さんの実体験も入っているのかなぁ。初めて知ったローデシアン・リッジバックという犬種を検索したら想像以上に強そうで美しい犬だった。

誰かに突き落とされて意識不明で、幽霊となって動き回る黒羽と彼に両親を殺されたと思い込んでいる少女がバディを組んで謎を追う。解決したかと思いきや次々とひっくり返されノンストップ。これまでの方丈さんの小説より読みやすかった。

母親を自殺で亡くして以来、人付き合いが苦手になった村瀬と傷害致死事件を起こして仮釈放の身の従兄弟の亮介。親はなぜ自殺したのか、なぜ失踪したのか、なぜ亮介は事件を起こしたのか…。知ることがよかったのかはわからないけれど、ふたりの未来は少し明るい方に向かう気がする。

一卵性双生児の摩訶不思議な精神的つながり、親から子への負の連鎖、そして繰り返される猟奇的殺人事件。櫛木さんだけに殺し方がエグい。以下黒塗り…の箇所が何度も出てくるが、それで充分だった。

あきらかなパワハラとか意地悪はわかりやすいが、ここに書かれているずるい攻撃(ため息アピール、わざとミスをする、弱さを武器にする、被害者ポジションなどなど)はわかりにくく、攻撃されていると気付きにくい。笑ってやり過ごしていると攻撃する人にとっての「心のゴミ箱」にされてしまうので、なんでも受け止めずちょっと気をつけようと思う。

老若男女の語る帝国ホテルでの出来事や思い出。始まったと思ったらもう終わりみたいなショートストーリー。旅行や記念日の食事、結婚など人それぞれのホテルでの思い出。そのちょっといい話で、私自身の帝国ホテルでの苦い思い出をよい感じに上書きしてもらった読後感。

平山さんと岩井さん以外まったく存じ上げない著者たち。ホラーのような、実話怪談のような、都市伝説、幽霊のような話の詰め合わせ。怖いんだか気色悪いんだか、あやふやな読み心地。

第1話で高校生の安珠が「絵描きジジイ」とよばれる赤の他人の平さんになぜそこまで興味をもてるのか、ちょっと理解できなかった。けれども時を遡りながら平さんと関わった人たちの話を読むにつれて、彼の人柄と人生が浮き彫りになってきて、私自身ももっと知りたくなった。平さんと悦子おばあちゃん、再会させてあげたかったなぁ。

神社のクスノキを護る玲斗。そこに自作の詩集を持ってきた女子高生・佑紀奈と記憶障害の少年・元哉が知り合いになり共に絵本を作る。玲斗の叔母の千舟も認知症で記憶が曖昧になっていくが、悲愴感はなく、心にしみる終わり方だった。さすがの東野さん。