テーマが広い作品であるため、感想をまとめるのが困難。しかし、それは色んな角度から作品と向き合える良作とも取れる。核戦争に備え、地下採石城跡の巨大な洞窟に主人公モグラを含めた男女が共同生活を始める。私的には安部公房作品で描かれる「外」と「内」が今作品にも見え、やはり安部公房の作品だと感じました。それぞれが落伍者や社会不適合ありのものであり、彼らがシェルターで共同生活を始める様は群れであり、それも外からみれば閉鎖的であるのが大変興味深かったです。

不確実なことや情報が錯綜とする中で、いかに騙されずに生きていくのか。バイアス系の本を読んだ方はには既知の内容も含まれていますが、復習になります。私は３章のマンデラ効果に触れてある「思い込み」と７章の「有効性」が考えることができ、勉強になりました。ドラスティックな変化にはドラスティックな介入。この本の内容を血肉にするには工夫した実践が必要ですね。

全短編癖が強すぎる。表現や話のテンポがシュールすぎて、読みながらクスッとしてしまうことが何度もありました。解説にもあるように、他人に説明するのは難儀なことです。私が特に楽しく読めたのが「テノリネコ」と「アンラクギョ」です。情景や表現が短編集の中でシュールさが顕著であり、ニヤニヤが止まらなかったです。取っ組み合いのシーンは思い出しただけでも笑ってしまいます。とにかく読んでみてください。

なんともチャーミングで皮肉が効いた小説か。表紙につられて読んでしまったが、かなりシュールな内容。アザラシのヒョーから見ると世界の見え方が変わる。金に縛られて生きている人間、口からお金が出る人等、違った角度から人間を見ることができます。物語があっちにいったり、こっちにいたっりで混乱することがありますが、いい意味で脳を殴られます。最後のヒョーは切ない。

吉本ばななさんの小説は傷を抱えた人に焦点を当てた小説が多い。本作品もその一つ。過去に傷を抱えた医学部生の中島くんと主人公ちひろの物語。やはり人との関わりによって傷を修復していくのだと改めて感じる内容でした。傷の中身よりもちひろと中島くんが共に前を向いて歩いていく過程がある種当たり前の日常のようなものだけれでも、とても貴重なものだと感じさせてくれるところが好きです。

テーマが広い作品であるため、感想をまとめるのが困難。しかし、それは色んな角度から作品と向き合える良作とも取れる。核戦争に備え、地下採石城跡の巨大な洞窟に主人公モグラを含めた男女が共同生活を始める。私的には安部公房作品で描かれる「外」と「内」が今作品にも見え、やはり安部公房の作品だと感じました。それぞれが落伍者や社会不適合ありのものであり、彼らがシェルターで共同生活を始める様は群れであり、それも外からみれば閉鎖的であるのが大変興味深かったです。