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2025年12月の読書メーターまとめ

木麻黄
読んだ本
6
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1966ページ
感想・レビュー
6
ナイス
59ナイス
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2025年12月に読んだ本
6

2025年12月にナイスが最も多かった感想・レビュー

木麻黄
史上名高い作品なだけに、理解できない読み手が悪いと言われそうだが、率直に言って深みも面白みも鮮烈さも感じられなかった。太陽のせいという有名な科白も、汗で視界を奪われた状況を考えれば、自衛の発砲としてむしろ自然だ。シーシュポスで見せた鋭利な思索は、ここでは中途半端な創作に沈み、友達も恋人もいるムルソーを異邦人と呼ぶなら、孤独死が日常化した令和の若者は宇宙人である。結局のところ、世界の無規律さを淡々と受け入れるムルソーより、意味づけを強制する判事や司祭こそ、世界から乖離した異邦人と言いたかったのではないか。
木麻黄
2025/12/05 06:50

不条理とは,世界に意味を求めても,世界は沈黙でしか答えないということに尽きるわけだが,ムルソーは,常識,友愛,道徳,法律,宗教にも意味を見出しておらず,そこに不条理はない。不条理に生きない人物を,異邦人のように際立たせることで,意味づけが無力であることを示し,不条理は外から訪れる現象ではなく,意味づけする者の前に現れることを示した。よく読めば,ムルソーの発砲は正当防衛(過剰防衛)であり,意味の繋がりを捨象して「太陽のせい」(実は,間違いではない。)と言わしめただけなのだが,我々はそこにアポフェニアを見る。

が「ナイス!」と言っています。

2025年12月の感想・レビュー一覧
6

木麻黄
別作を読んで全く意味が分からなかったため用心して読み始めたが、本作もやはり「通常」の読みでは理解不能だった。おそらく主題は物語の意味そのものではなく、意味が生成されていく過程にあり、そのため小説世界を丹念に把握しようとしても、決定的な手がかりは意図的に削ぎ落とされている。妄想や病理として回収したくもなるが、主人公以外の人物たちが同様の語り方で世界を解釈するため、その逃げ道も塞がれる。
木麻黄
2025/12/30 09:41

結果として示されるのは、現実とは客観的に与えられるものではなく、同じ前提を共有する者同士が仮に成立させる構築物にすぎないという事実であり、他者と共に生きる限り、意味の不確かさから逃れられないという感触である。

木麻黄
2025/12/30 11:04

世界の認識とは、そもそも他者とのあいだに仮に成立する、きわめてあやふやなものにすぎない。象徴的なのは、主人公が身近な人物の承認によって確証を得ようとするにもかかわらず、その相手が次々と不在になっていく点であり、これはその危うさを端的に示している。一方で、明確に狂気に陥った者や薬物の妄想に溺れる人物と比べれば、主人公にはなお世界を共有できる相手が存在し、相対的には安定しているとも言える。我々から見れば主人公も支離滅裂に映るが、視点を上層へ移せば、我々自身もまた無知蒙昧な存在に見えるのかもしれない。

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木麻黄
読みやすいけれど,思索に誘う一つ一つのトピックが意外に深く,振り返ろうとしたときに殊の外苦労したので,著者の手引きが非常に優れていたことに気がつかされる。白黒をつけるのが哲学の在り様ではなく,問いを洗練させることで世界の解像度を上げるのが本領だとすれば,とても優秀な哲学ガイドだと思う。スマホが水や電気に迫る勢いで,私達のインフラになりつつあることを認めることから始めるならば,人生を無用に侵食されないように覚悟する必要がある,というと言い過ぎだろうか。孤立,孤独,寂しさを行き来しながら,今日も生きていく。
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木麻黄
小説に負けず劣らず,示唆に富む生涯だったと思う。生涯孤独に脅かされたことが,不条理と反抗を可視化する感性を育て,止まない表現を哲学の領域まで高めることを可能にした。数多の女性と浮名を流し,男としても選ばれし男であることを示したが,輝きの内側には斑な暗さが常に寄り添っているようでもあった。自身の書いた,異邦人を地で行く生き方に,言行一致というべきか,私小説をなぞっただけというべきか,生き方が創作に及ぼした影響の大きさを見ることができる。いずれにしろカミュ作品を確かに深く理解するには絶好の副読本であると思う。
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木麻黄
ネタバレ壮麗な舞台装置に展開されるシナリオがあまりにも凡庸過ぎて,そのバランスの悪さに,私の方で読み違いをしているのではないかとしばし考えた。アーサー王の伝説を忍ばせつつ,物語は連れ合いの不貞とそれに対する復讐が秘めた核心となり,忘却が救いになることはわかるにしても,終盤までの重厚さに比べると貧弱な締め括りだった。老婆に対して,ことあるごとにお姫様と呼ばしめ,それを当たり前のように受け取るやりとりが,わけもなく鬱陶しく,せめて何かの啓示であったらよかったものを,そこに特段の伏線はなく,雰囲気お化けの凡作だった。
が「ナイス!」と言っています。
木麻黄
最初の数十ページがあまりに不穏で、読み続けるのをためらったものの、結局は頁を繰る手が止まらず一気読みした。ちょうど『異邦人』を読み終えたばかりで、不条理を弄ぶインテリの戯言にも嫌気がさしていたこともあり、ここで繰り広げられる生き地獄には息を飲むしかなかった。「さすがに創作だろう」と疑ったが、刊行当時すでに同じ疑いが向けられ、後に実体験の記録と証明されていたことを知り、自分の浅学非才を深く恥じた。日常では希釈される家族愛と友愛は、極限状態では文字通り命綱となり、その尊さには何度も涙が滲み、胸を刺された。
が「ナイス!」と言っています。
木麻黄
史上名高い作品なだけに、理解できない読み手が悪いと言われそうだが、率直に言って深みも面白みも鮮烈さも感じられなかった。太陽のせいという有名な科白も、汗で視界を奪われた状況を考えれば、自衛の発砲としてむしろ自然だ。シーシュポスで見せた鋭利な思索は、ここでは中途半端な創作に沈み、友達も恋人もいるムルソーを異邦人と呼ぶなら、孤独死が日常化した令和の若者は宇宙人である。結局のところ、世界の無規律さを淡々と受け入れるムルソーより、意味づけを強制する判事や司祭こそ、世界から乖離した異邦人と言いたかったのではないか。
木麻黄
2025/12/05 06:50

不条理とは,世界に意味を求めても,世界は沈黙でしか答えないということに尽きるわけだが,ムルソーは,常識,友愛,道徳,法律,宗教にも意味を見出しておらず,そこに不条理はない。不条理に生きない人物を,異邦人のように際立たせることで,意味づけが無力であることを示し,不条理は外から訪れる現象ではなく,意味づけする者の前に現れることを示した。よく読めば,ムルソーの発砲は正当防衛(過剰防衛)であり,意味の繋がりを捨象して「太陽のせい」(実は,間違いではない。)と言わしめただけなのだが,我々はそこにアポフェニアを見る。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/09/24(2661日経過)
記録初日
2018/09/30(2655日経過)
読んだ本
224冊(1日平均0.08冊)
読んだページ
66129ページ(1日平均24ページ)
感想・レビュー
223件(投稿率99.6%)
本棚
0棚
性別
年齢
55歳
血液型
A型
外部サイト
自己紹介

世界の名著(中央公論社)挑戦中。あまりつぶやき機能は使わないのですが、本書の場合、一冊の分量が長いので、篇や章立ての区切りごとに、備忘録的なつぶやきをちょいちょい入れていきます。Amazonでは、千紫万紅のハンドルで、映画などもレビューしてます。
 追記 もう一つの生きがい。空手の方が比重を増していて,読書ペース激落ち中です。世界の名著は,超スローペースですが続けてます。

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