これは変わった本。大した本の紹介にはなってないのですが、面白いっちゃあ面白い。とにかく、積むスペースがある人は羨ましいかぎり。

三島由紀夫、朝堂院大覚、真樹日佐夫と登場人物は濃い。後二者はインタビューまでしているので、もう一歩踏み込めたらなあ、という気もします。

「一年ののち」の続編。ベアトリスに魅力を感じないのは、私がフランス的センスを理解していないのか、サガンの表現力の衰えか？ いずれにしても、この人は、やっぱり短め、中編くらいが一番キレがありそう。本作は少し長すぎでした。

もう、デタラメに面白い。ちょっと中南米の作品っぽい雰囲気もあり、話が転がっていく。掘り出し物でした。

初西村賢太。 ひでぇ。そして清々しい。感情移入は無理でも、1割くらいは自分を投影してしまう、絶妙なクズっぷりでした。

松本人志の話が中心かと思ったらそうでもなくて、ミスリードのタイトルかと。芸人のあり方論も、ちょっと偏ってる感じもしました。

全然知りませんでした、多和田葉子。不勉強の極みです。 こんなヘンテコで、しかし引っかかる本があったとは。30年以上前の芥川賞作品。他の作品もこれから追いたいと思います。

初期の歴史モノではありますが、不条理に人生が狂っていく清張節は既に完成系。「酒井の刃傷」「面貌」などが好編。

長かった… 沖縄なので、「東京の生活史」とは若干テイストが違い、政治的な面がやや多め。戦争の話もリアルなのですが、かなりの人が触れていたのが「方言札」で、これは結構ショックでした。 とはいえ、普通の生活者の足取り、という点は同じで、リアルさがあります。

「愛の渇き」の猥雑さ、さすが初期三島由紀夫。「青の時代」は、金閣寺の助走？この2作は楽しめました。 「夏子の冒険」はほとんどコメディなのですが、夏子に全く感情移入出来ず、個人的にはしっくり来ませんでした。

初めて読んだ作者ですが、なかなかに特徴的。客観描写が多いのですが、ものすごく情緒に溢れていて、ドライではない。訳者の個性もあるのかもしれません。表題作と、ラストの新月が美しかったです。

初期作品ですが、完成してますね。ムズムズする心情や居心地の悪さ、薄めの老害感、娘たちのダーティーさ、など、素晴らしいです。後書きによると、かなり原文からはズレてるのかもしれませんが、翻訳もかなりのものなのでは、と思います。

多分初読。 筆者の解体作業が極まってきて、「言葉と〈ずれ〉」あたりまでは楽しいが、「春」あたりは本当に斜め読み。句読点の大事さが分かります。あとは、案の定教授の話が飛んでってしまう表題作が良かったです。