恩田さんのどこか不穏で不気味な話が好きです。今回はそういう系統の短編が多めで嬉しい。インパクトが強いのはやはり「ありふれた事件」かな。

恩田さんのどこか不穏で不気味な話が好きです。今回はそういう系統の短編が多めで嬉しい。インパクトが強いのはやはり「ありふれた事件」かな。

何よりもまず編者の熱量に感服。まだ三十代なのに、第一世代から現代までのSF作家とその作品を（埋もれたものまで）熟知している凄まじさよ。ここに編まれた作品はオーソドックスなものは少ないが、逆に言えばSFに寄りすぎてないので入口としては最適かもしれない。お気に入りは、中田永一「地球に磔にされた男」、中原涼「笑う宇宙」、森岡浩之「A Boy Meets A Girl」、石黒達昌「雪女」。特に「笑う宇宙」は古い作品なのに文章が現代的でとても好み。津原泰水は表題作より『綺譚集』か『11』を読んだほうがいいです。