ネタバレこのミス受賞作は個人的に何となく相性が悪い気がして避けていたところがありましたが、この作品はなぜか手に取ってみました。序盤から重苦しい雰囲気ながら引き込まれていき、次に読もうとくわがきさんの他の作品もスタンバイしたものの、登場人物にまともな人がいなくて不安定な床の上に立たされているような落ち着かない感覚に途中から疲労感が。1人でもまともな人物がいないとこうも土台が揺らぐものかと思い知りました。この結末は美桜にとってハッピーエンドだったのだろうか。あ！影は薄かったけど思えば鹿沼さんはいい人だったんだな。

ネタバレ藤崎翔さんの短編集。『比例区は｢悪魔｣と書くのだ、人間ども』を読み始めたタイミングが折しも衆院選真っ只中だったので、橋爪(サタンになる前から)の主張に｢こんな骨太の政治家が現実にいてくれれば…｣と思わずにいられなかった。結末がちょっと雑に感じられてしまい残念でしたが。『心霊昨今』は勇の相方が成仏するシーンで毎回不覚にもうるっと来てしまいました。ちゃっかり自著の宣伝を織り込んでたのには苦笑。表題作はタイムトラベルもの好きには意表をつく展開でしたが、とても良かったです。あんな簡易的なタイムマシン、欲しいなぁ。

ネタバレ帯の｢‼︎!注意‼︎! その選択で本当に良いですか?｣の文言から昔流行っていたゲームブックみたいなのを想像してしまいましたが、全然違っていました。結末にどんでん返しが待っている短編5編。5話目は1話目の続編ですが、ちょっと蛇足感が。余計頭がこんがらがってモヤモヤ感も増して、すっきりしない読後感。2話目の｢二週間後の未来｣は誰が環に語りかけているんだろう？と思いながら読みましたが、ラスト3行でなるほど、そういう事だったのか！と。ゾッとする結末ながら一番楽しめました。板東、気持ち悪…。

ネタバレ長岡さんの短編集。｢空目虫｣は途中で脩平の置かれた状況に気づくが、物語の構成のうまさに｢おお！」となった。表題作｢夏の終わりの時間割」は優しくて切ない物語。祥のお母さんが素敵な人。祥の優しさはお母さんから受け継がれたものだろう。その優しさからの行動とは言え結果かなりの重罪を犯してしまった事になんとも言えず苦い思いが残った。それほど信の事が大切だったんだな。2人の友情が素晴らしい。表紙の英語のメッセージにもグッときた。

ネタバレ『ネコメンタリー』で紹介されていた長岡さんの仕事場、ぐるっと部屋を取り囲むホワイトボードに書きつけられた膨大な数のアイデアに目を瞠ったが、この作品もそんな中から生まれたのだろうと考えるとすごく納得。本当にアイデア勝負という感じ。｢択一的競合｣なんていうケースを初めて知ったし、「オンブタイ」の犯人の怖さ‼︎後味の悪い話が続く中、最終話｢黄色い風船｣で心救われたが、ぎりぎりで与田の冤罪が証明されたものの病気の事もあったし、もし梨本が(リンちゃんが)気づかずにいたらと考えるとゾッとした。救われて本当によかった。

ネタバレ読み始めてすぐに昔令祥みたいな子がいた事を思い出した。さすがにここまでは狂気じみていなかったけれど、当時の困惑、恐怖、不快感が蘇り、｢三鷹の気持ち、すっごくわかるよ｣と思っていたのに。同じくくわがきさんの｢レモンと殺人鬼｣を読んだ直後だったのでどの登場人物もヤバイ奴に違いないと心して読んではいたものの、三鷹よ、そこまでとは…。理央みたいな女にたったあれだけの理由であそこまで入れ上げる時点で相当クレイジー。涼吾は怪しいとは思っていたけれど、すっかり三鷹に心酔していたのか。花音には即刻逃げてほしい。

ネタバレこのミス受賞作は個人的に何となく相性が悪い気がして避けていたところがありましたが、この作品はなぜか手に取ってみました。序盤から重苦しい雰囲気ながら引き込まれていき、次に読もうとくわがきさんの他の作品もスタンバイしたものの、登場人物にまともな人がいなくて不安定な床の上に立たされているような落ち着かない感覚に途中から疲労感が。1人でもまともな人物がいないとこうも土台が揺らぐものかと思い知りました。この結末は美桜にとってハッピーエンドだったのだろうか。あ！影は薄かったけど思えば鹿沼さんはいい人だったんだな。