ザハによる国立競技場が建設され、2020年にオリンピックが強行されたパラレルが舞台... が、まずツボ。で、女性建築家とハイブランド店員の危うげな関係を軸に物語が進められるのだけれど、一見、フューチャリスティックでスタイリッシュながら、実はグロテスク？いや、そのグロテスク、我々社会の反映なのだよね... 「正しさ」は声の大きさで決まる、極端な世相がパラレルに落とし込まれ、煮詰められて、風刺となり... しかし、いつものことながら芥川賞サイズがもどかしい！牧名と拓人に何があった？九段さん、もっと読みたい！

いやー、漠然と捉えていたものが、確かなものとして眼前に展開されてゆく心地良さ！ちょっと狐につままれたような感覚さえある分かり易さ... 巧みに現代に置き換え(百人一首とかで目にした歌人たちを"ポケモン"とか、もう、おもしろ過ぎる... )、丁寧かつ小気味よく解説されてゆく平安前期の興味深さたるや！何だろう、その過渡性というか、刻々と変容していく姿(特にジェンダー！)に、「平安時代」というひとつの言葉で語られてしまう粗忽さ、思い知る。にしても、平安時代って、400年もあったんだと、今さらながらに再確認。

ザハによる国立競技場が建設され、2020年にオリンピックが強行されたパラレルが舞台... が、まずツボ。で、女性建築家とハイブランド店員の危うげな関係を軸に物語が進められるのだけれど、一見、フューチャリスティックでスタイリッシュながら、実はグロテスク？いや、そのグロテスク、我々社会の反映なのだよね... 「正しさ」は声の大きさで決まる、極端な世相がパラレルに落とし込まれ、煮詰められて、風刺となり... しかし、いつものことながら芥川賞サイズがもどかしい！牧名と拓人に何があった？九段さん、もっと読みたい！

東家の稼業が占い師(父と次男)ということもあってか、ちょっと浮世離れした観もある東家の四兄弟... でもって、占いが登場するだけに、ぽつりぽつりとスピ的エッセンスもフっと効かせつつ、四兄弟の機微を飄々と追う物語。それぞれ面倒臭いような四兄弟だけれど、総じてライト、結局、仲良し... というあたり、21世紀の世知辛いリアルを生きている身からすると、何だか綺麗過ぎて、いろいろツッコミたくもなる。が、綺麗なればこそ生まれる心地良さがあって、何だか、ズルい。いや、東家が醸し出す空気感に癒されてしまった。