ネタバレ正反対のことを思ったり言ったりする人間の心情の細かな表現が新鮮だった。と同時にその描写はリアルであり、自分も思い当たる節がある。言語化せずに、もっと言うと認識すらできていないような、日常の陰の部分がこれでもかと言うほど作品に散りばめられており、ざわざわしつつもカタルシスを感じるような不思議な読書体験。著者の他の本も読んでみたい。

ネタバレドリフターズ・リスト作成の提案により、失意の主人公の立ち直りを助ける叔母が、非の打ち所がない完璧な人物像でないところに、なんだか好感が持てた。ひょうひょうとしていて、いい意味で拘りのないというか。結局リストも、それを忠実に実行していくことが目的なのではなく、何か手を動かすことで道が開けるということだと思った。その中で、主人公は自分が大切にしたいことや違和感を感じることなど自分への理解を深めていく。この本で言う「豆」が指していることはよくわかる。自分の豆を理解している人は生き生きと魅力的だ。

ネタバレ読了し、暇と退屈について様々な領域から検討を加える思考の旅を終えた達成感を感じることができた。結論としては、色んな世界を広く、深く、多角的に知ることで没頭できるような楽しみを見出せるということかな。「本来性なき疎外」という概念はこの頃考えていたことに名前が与えられた気分。絶対的に追い求めるべき本来の姿などはないという割り切りのもと、それぞれをそれなりにやっていこう。

ネタバレ正反対のことを思ったり言ったりする人間の心情の細かな表現が新鮮だった。と同時にその描写はリアルであり、自分も思い当たる節がある。言語化せずに、もっと言うと認識すらできていないような、日常の陰の部分がこれでもかと言うほど作品に散りばめられており、ざわざわしつつもカタルシスを感じるような不思議な読書体験。著者の他の本も読んでみたい。