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2024年4月の読書メーターまとめ

カノープス
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感想・レビュー
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2024年4月に読んだ本
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2024年4月のお気に入られ登録
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  • おかき

2024年4月にナイスが最も多かった感想・レビュー

カノープス
初読み作家。ダラダラと続く一夜の苦行。それを読者は追体験する。そしてカタルシスなき結末へ。構造的に2人が和解するのはわかっているのだ。ならば、その肝心の場面でどんな言葉が溢れて、どれだけ感情を揺さぶってくれるか。そこが重要なのだが、全くの期待外れである。そこに至るまでの高校生の描写が疑問だらけでのめり込めなかった事も一因だろう。ここに青春を感じるものは無い。そもそも本屋大賞受賞作で面白いと思えたものが皆無という先入観もあるのかもしれない。大真面目に語られる時代錯誤の少女漫画。それ以上でも以下でもない。
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2024年4月にナイスが最も多かったつぶやき

カノープス

2024年3月の読書まとめ 読んだ本:18冊 読んだページ:5852ページ ナイス:143ナイス #読書メーター https://bookmeter.com/users/957397/summary/monthly/2024/3

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2024年4月の感想・レビュー一覧
19

カノープス
痛快さ、爽快さ、健全さ。これこそが池井戸の作品における最も重要な属性であり、ファンが期待するものなのだろう。読者からの期待に真正面から向き合い、出し惜しみや停滞することなく展開する持ち味を本作でも十分に堪能できる。最後の試合が、タイトルから想像する通りになるのは当然だろう。そこに裏切りはない。むしろ、この約束されたハッピーエンドにしっかり応える事こそ自身のアイデンティティとしている節がある。一面的なキャラクター、全体の構成のパターン化は気になるものの、それは些細な事。型を持つ者の強さを感じる読後感である。
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カノープス
昭和・平成プロ野球の、その年の一番最後に指名された【ドラフト最下位】の選手の人生を追ったなんともニッチな読み物。だが、そのテーマは今の私にど真ん中どストライクな興味深いものである。困難なセカンドキャリアにおいて、所属した球団の選手はもちろん関係者が様々な形で手を差し伸べる様子はジーンとしてしまう。特にきめ細かなフォローをしているヤクルトは素晴らしいと思った。ドラフト最下位の多くが、驚くほど高いプロの壁に愕然としているのが印象的。選ばれし神々の世界…その崇高さをあらためて感じた。
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カノープス
初読み作家。なんだかよくわからない。パン屋を始めるきっかけにしても、ちょっとスピリチュアル系で自分の肌には合わないなあ、と感じた。それがあるからだろう。読んでいる間ずっと、著者の主張に懐疑的だった。マルクスの何がそんなにピンときているのか…。この理論武装にはちょっとムリがある気がするのだが。文庫化に際しての追記として、あれだけ絶賛していた勝山から移転している事に開いた口が塞がらない。カフェとビールが経営の柱になり喜んでいるが…本を通じて主張してる事と矛盾はないのだろうか。自分には納得出来なかった。
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カノープス
不自由な時代からあの頃を照射すれば、眩しいほど光り輝く。『元気が出るテレビ』も『ねるとん』『浅ヤン』もリアルタイムで観たが、自分がうっすらと記憶している程度に「面白かった」と思っているのが一番良いのだろうか。今の時代に観返してもガッカリするだけのような気がするのだ。読み終えて、その事をテリー伊藤自身が良くわかっているのだろうな、と感じた。貴重な証言がいくつもあるが、最大の読みどころは伊藤が思考を重ねて導き出す分析の数々である。発想の仕方、感性と理詰めの思考のバランス。やはり只者ではないな、と感じた。
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カノープス
17歳…その後、何度もリプレイされるいつもの北町貫多。つまりは、人生に光明が差しかけたと思った所で小石に躓いて転んでしまう男の話である。一本の大長編を細切れに章立てて読者に供されたものが、北町貫多ものなのだとあらためて感じた。私にとって西村賢太とは、自分の知らない作家を教えてくれる人であった。藤澤清造・田中英光はもちろん、源氏鶏太などは西村きっかけで知ったのだ。本書においても、河野典生や大坪砂男という作家を知り興味を持ったところだ。そうした意味でも西村は自分にとって貴重な作家だった。
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カノープス
昭和の家族小説の頂点。中野玲子によるドラマ脚本のノベライズであるため、もっと向田邦子が読みたいという飢えをどれほどしのげるか、という心配は杞憂に終わった。向田作品を支える重要な「会話の魅力」を存分に味わえる。冒頭の長女の差し歯が折れる場面、四姉妹の話がどんどん逸れていく様、亡き母の形見分けで春画が見つかった時の空気感、娘婿が同居を提案した際の義父の一言などに見るキレとリズムとユーモア。修羅の女達を描いて最後に帰結するのは「父性」である点など、これぞ向田と言いたくなるエッセンスに彩られ楽しませる。
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カノープス
初読み作家。骨が成長し巨大化する原因不明の奇病。食事の世話と糞尿の処理に追われる様子が執拗に描かれ、その執拗さに辟易としながらも読者を引き摺って離さない不思議な力がある。途中で読む事を止められないのだ。「家」という魔境についての話であり、異形のものに変化していく妻の様子や周囲の反応などから暗示的な内容を読み取ることが出来る。そして悪臭にまみれたこの作品は、無菌室で何も意味の無い言葉を交わす恋愛物に強烈な‪✕‬を突きつける。現実をひたすらトレースして書くだけの作家の追随を許さない想像力。その豊かさに唸った。
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カノープス
金と性と酒。ほとんどの作品に共通する著者を構成する要素が、この作品でもふんだんに盛り込まれている。神の視点から「です・ます調」により語られる。これにより主人公の思慮の足りない行動と馬鹿馬鹿しさに冷静なツッコミを入れる事で独特の間合いを獲得。このツッコミが読者の想いを代弁する的確さ。タイトルから連想するような悲壮感は無い。それは心中の場面の描写が無い事が大きいと思うが、だとしても2人が死に向かう実感が感じられなかった事がその理由ではないか。
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カノープス
あらざらむ この世の外の 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな…【ワンダフル・ライフ】の胸を締め付けるような激情の発露を読んで連想したのが和泉式部の歌だった。『ワン・モア』というのは言い得て妙なタイトル。各章に通底する「もう一度」という想い。桜木のキレとリズムのある文章は、その想いを抱えた人々の姿をくっきりと浮かび上がらせ、スムーズに読者の脳内に世界を作り上げる。登場人物に対して「この人には幸せになってほしい」と切実に思わせる。それだけ真に迫っている証拠であり、これこそが小説家の力量である。
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カノープス
木内昇、津村記久子、そして河﨑秋子。個人的に今、最もその才能に注目している3人。作家に男も女もない。書いたものだけで評価されるべきだが、現代においてズシリとした手応えあるものを読ませるのが女性作家に多いのは何故なのか…これは興味深い現象である。本作の河﨑も最高である。古き良きNHKの連続テレビ小説を思わす女の一代記風の第一部前半~中盤は、特に素晴らしい。小山田の息子がサイコパスすぎた事だけがマイナスの印象。時代背景、置かれた立場を考えればミサエの行動は理解できる。木内昇の解説が嬉しく、かつ素晴らしかった。
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カノープス
初読み作家。別の生き物になりたい…それだけを願いながら、逆に女性らしさの飾りに取り込まれていく主人公のトレーニング・モンタージュ。石田は筋トレといえば根性の集積であり、苦しみを乗り越えたものという見方に別の光を与える。あくまでも、筋トレ=幸せなのだ。主人公の女性トレーニーが感じる苦しみは別のところにある。この葛藤や自身を縛りつけた枷を力強く振り払う最終盤の展開は感動的だ。自分が知らない世界を知りたい。その欲を満たし、余りある読み応え。タイトルの意味と主人公の居場所が呼応するラストは忘がたい余韻を残した。
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カノープス
コロナ、そしてオリンピック。流される日々の中で忘れていってしまった事を読みながら思い出す。林の持つ真っ当な正義感は、そのすべてに賛同しないまでも納得できる言い分なのは確かだ。それが随所に表れている。
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カノープス
イントロダクションから主人公が舞台となる牧場との縁を持ち、赴くまでは非常に良かったのだが。次々と怪事件が起こり始めてからバランスを崩してしまった。感じるのは場面毎の書き込みの不足。なんだか消化不良のまま次へ次へと進んでしまい読者は置いてけぼりを食らう。結局、何がどう問題でどのように解決されたのか未整理のまま終わったと感じた。
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カノープス
昭和の流行作家、サラリーマンものと言えば源氏鶏太である。昭和三十年代を舞台にしながら、今読んでもさほどおかしさを感じさせないところがすごい。全く違和感がないわけはないが、肝心要の働く者たちの心情や人間模様に些かの不自然さがない事に驚くのだ。スマホやパソコンなど社会を取り巻く道具立てに変化はあっても、人間のやることには基本的に変わりはない事を本書は教えてくれる。有吉佐和子が売れているらしいが、この際源氏鶏太もいくらか話題になってもいいのではないかと思うのだが。
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カノープス
驚くべき馬力。700ページ超の厚さを物ともせず、疾走する物語の力強さ。池井戸が指摘されがちな問題(文学性、人物描写)については課題のまま。善人は善人すぎて悪人はあまりに悪人すぎる点など気にならないわけではない。が、そんな事がどうでもよくなるくらい本作は面白い。それは認めざるを得ないのだ。平瀬ラストランなど、胸が熱くなる場面が満載。銀行物の側面から見ても、著者が手掛けた作品中でひとつの到達点となるのではないか。素材は地味だが派手なストーリー。そして、この爽快さは友情・努力・勝利の頃の少年ジャンプ的である。
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カノープス
初読み作家。ダラダラと続く一夜の苦行。それを読者は追体験する。そしてカタルシスなき結末へ。構造的に2人が和解するのはわかっているのだ。ならば、その肝心の場面でどんな言葉が溢れて、どれだけ感情を揺さぶってくれるか。そこが重要なのだが、全くの期待外れである。そこに至るまでの高校生の描写が疑問だらけでのめり込めなかった事も一因だろう。ここに青春を感じるものは無い。そもそも本屋大賞受賞作で面白いと思えたものが皆無という先入観もあるのかもしれない。大真面目に語られる時代錯誤の少女漫画。それ以上でも以下でもない。
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カノープス
現実と幻想が織り成すイリュージョン。兵馬俑、カード破産、美容整形をモチーフに映し出す現世の魔。なるほど現代こそ魔境と呼ぶに相応しい禍々しきものに溢れていると言えるだろう。本書における芯は【童翁】での、「一番、恐ろしいのは寿命が来ても死なないこと。魔境では生きる気力も体力も失い、人生のやるべき事を終えたのに死ぬことのできない童翁が彷徨っていた」というセリフだろう。これにより、死は忌まわしさや穢れから離れて崇高さを獲得する。思えば坂東眞砂子は生を全うする事に拘り続けた作家だったのかもしれない。
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カノープス
初読み作家。安楽椅子探偵ものユーモアミステリ。軽妙な会話が小気味良く、この手触りは落語の滑稽噺のようだ。語り手である作家の「ぼく」は落語の世界で言うところの与太郎。多少、役に立つ与太郎といった感じか。下手をすると、会話におけるこの与太郎の茶々を入れる行為が鬱陶しく思うのだが、本作においては絶妙なテンポを作り出している。この辺に上手さを感じる。事件の背景の構図がほとんど同じようなのは気になるところ。探偵役の妻の魅力が今ひとつ。カバーイラストではないが、イマイチ「顔が見えない」という印象。
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カノープス
ヤクザ系ルポに定評のある著者が食肉業界の大ボスに迫る。読み終えて感じるのは浅田満の頭の良さである。とにかく目立たない、名誉も求めない。多くの成功者に見られる功名心というものが一切無い。カネという「実」を手にする事に徹底しているのだ。著者も山口組を取材する中で存在を知ったのだろうが、こうした謎に包まれた大物を読者に知らせた意味は大きい。ただし、本人との対面は叶わず、周辺取材も本当に近しい人には出来ていないので、浅田の実像にどれだけ迫れたかは疑問。その背中に触れた程度、といったところか。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/01/07(1955日経過)
記録初日
2019/01/02(1960日経過)
読んだ本
672冊(1日平均0.34冊)
読んだページ
221673ページ(1日平均113ページ)
感想・レビュー
665件(投稿率99.0%)
本棚
1棚
自己紹介

山本周五郎より優れた作家がいるなら
教えてほしい

※ポリシーはつまらない物も含めて何でも読む事
図書館本、古本の類いは読まない・買わない事
※作品を読み解く事など不可能
自分は自分が感じた事を書くのみ
※積ん読3000冊(推定)消化中
※伏線がどうの、回収がどうの、という事で小説を読むような人は軽蔑する

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