
大舞台を目の当たりにして芽生えた「勝っても負けても、勝負の場に立って自分を試したい」という心情。主人公の心に意欲の火が付くことをもって覚醒と題しているのだと私は受け止めました。細かい話ですが、個人決勝射詰の途中で尺二の的から星的に変えたという部分が引っ掛かりました。私の記憶では尺二的のことも星的と呼んでいたので、「八寸的に変えた」と表記したほうがベターのように思います。ラストシーンは超好き。これぞ青春だ!
これは戦争を史実としてではなく、肌で感じさせてくれる凄い本です。作中で救護所として登場する広島女子高等師範学校は、開校して初めての授業の日にピカドンで壊滅状態になったのだと、調べてみてわかりました。主人公の義父の言葉の端々からこぼれる温かみもいいのですが、教授の人柄は神と崇めたくなるレベルですね。それにしても、終盤のウクライナ情勢を語る一文で、やるせない気持ちになったのは私だけではないはず。人間は歴史からなにも学ばないのか、と。
表題作はタイトルから連想する戦争文学ではないし、あらすじから想像するSFとも違いました。親もその親も凄すぎて、空想に逃げたくなったり、現実に距離を置きたくなる気持ちがわかりましたよ。傍若無人な男に嫉妬する心情にまでは共感しませんでしたが、それだけ限界だったということですよね。もう一つのお話『森は盗む』は、病的な癖が印象的なストーリー。主人公の思考の浮遊っぷりが楽しく、感情の昂る人の対処法は興味深かったですよ。
ただ、誰かを差別することではけ口にするという現実は身近にもあると思います。それもレベルは違っても、作中でアンナが語った通り、根っこはナチスと同じはないでしょうか?本作は凄惨な描写がないにもかかわらず、人の愚かさを嫌というほど味わえる作品でした。あとがきの「戦争という過ちを人は何度くり返すのでしょう」という言葉が頭から離れません。
友情のスケールの大きさに胸を打たれる、という感覚はとてもよく分かります。悲劇が波紋のように人生へ広がりながらも、島の行事や人の言葉によって少しずつ解けていく描写は、この作品ならではの救済ですね。自由そうな青年の軽やかさも、重さを和らげる重要な存在だと思います。あなたは彼のどんな言動に一番惹かれましたか?
まさに医食同源!女子選手が直面する健康問題には新鮮な驚きがありました。摂取エネルギー不足、無月経、骨密度の減少という段階を踏む三主徴だけでなく、この作品では触れられていませんが、心血管や筋肉への悪影響も懸念されるようです。明らかな症状がないとそうそう気づけませんから、これは怖い!本書との出会いをきっかけに調べてみて、栄養からくる問題の周知がいかに大切かを実感しました。面白いうえに、適切な食事指導、症状の予防と早期発見、ひいては競技パフォーマンスの向上にまで資する「価値ある一冊」だと思います。
少年がまたいい子なんです。素直で我慢強く、自分より人を優先するような高潔さを兼ね備えた子がとり乱すさまには、動揺せずにいられませんでした。なんでだよぅ・・・って。それにしても、18歳未満の子どもには「告知」をしないのが常識なんですね。小学五年生の息子に置かれた状況を知らせるべきかどうか?本作で考えに考え抜いて出した家族の答えは、このうえなく尊いものでした。その選択を正解にできるよう一丸となって邁進する姿もいとおしいです。あらゆる葛藤と向き合った先に辿り着くラストに、涙腺が消し飛びました。
これは一人ひとりの成長ぶりに目頭が熱くなること請け合いですね。とくに責任感の強い部長の奮闘ぶりが凄い!故障してマネージャーに転向した少年の人間性も刺さった!名シーンを挙げたらきりがありません。落ち込む後輩を守るように座るふたりの無言の優しさは沁みましたし、距離が密で内容も濃いぃ後輩を鼓舞するシーンも良かったですよ。さらに、つらさに効くアイデアも豊富。迷いを断ち切るだけでなく、湧き上がるようなエネルギーまでもらえる素晴らしい一冊でした。
特別な家で過ごす少年の15年にわたる歩み。親の願望を背負わされることのつらさが伝わってくる話でもありました。葛藤に囚われ踏ん切りがつかなかった主人公の心に火が入り、前進から加速へと変貌するさまが凄い!これはたぶん唯一無二の熱量。そう感じるほど力を持った作品でした。
『時計坂の家』に魅せられて児童書ワールドに!
小中学生が読める本を中心にレビューしています。
レビュー先は、読書メーター以外では、
NetGalley、アマゾン、ツイッター、ブログなど。
これらの多層展開で、徹底的に本の応援をします!
【 レビューの広告採用実績 】
本の帯・・・『中受 12歳の交差点』『王様のキャリー』『真実の口』『ぼくの色、見つけた!』『100年見つめてきました』(すべて講談社さま)
WEB広告・・・『藍色時刻の君たちは』(東京創元社さま)、『ぼくはうそをついた』(ポプラ社さま)ほか多数
販促ポスター・・・『トモルの海』(フレーベル館さま)
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます