出版文化への愛が溢れる作品。ひとりボケつっこみの破壊力にKOされましたよ。執筆の号砲は編集者とのふわふわの口約束だと知ってビックリ。本を作り、売る現場の仕組みや舞台裏も学べる愉快な本でした。友人に語りかけるような文章や自分自身をまるで飾らないところも魅力ですね。顔見知りの書店員さんに勢い余って「ご感想なんでくれなかったんですか」と言ってしまうエピソードには思わずニヤリ。
大人の言う綺麗ごとがどこか上滑りするなかで、子どもたちが問題の解決に向けて考え、動くさまが素晴らしかったです。声の大きい人にあらがえない空気が醸成される感覚、特別扱いへの逡巡、正しさがときに刃となる現実など、大切な気づきがギュっと詰まっていて、驚くほど夢中になれましたよ。これは読書感想文にも最適な一冊ですね。
「未練や執着は、熱に変換できなければ、何の役にも立たない」という言葉が刺さりました。主人公同様に私の価値観もひっくり返りましたね。模写なんてという意識が確かにあったのですが、元の作者の生き様まで追うような徹底した考察ぶりには衝撃を受けました。修復作業に食パンを使う、古くはオリジナリティより模倣の腕が求められたなど、ビックリするような美術知識もたっぷり。面白いほど好奇心が満たされました。著者が美術畑でなく薬学系の住人と知り、さらにビックリ!
明るい終わり方ににっこり。物語の先を想像して楽しくなりましたよ。“あの子”がますます自分色をだして、張り切る姿が目に浮かぶようで。作中で触れられていた『ちいさいモモちゃん』シリーズの3巻『モモちゃんとアカネちゃん』にどんな含みがあるのか、超気になりますね。早速通しで読んでみます。思わず膝を打ったのは「本を薦めるって本当にむずかしい。でも、楽しんでもらえると、とても嬉しいのだ」という言葉。そうそう、そうなんです!
教育にかかわる全ての人に推したい一冊。学習意欲の塊のような生徒たちの姿には驚きがありました。学がないことによるただならぬ苦悩や、戦争の愚かしさを語り合う部分にもグッと心を掴まれましたよ。これは子どもたちがどう受け止めるか、ぜひ聞いてみたいですね。受け身だった主人公が積極性を身につけていくさまは、私にも力を分けてくれした。なるほど、文字の組み合わせは誰かを苦しめも喜ばせもする。ならば私も、あの人のように後者を目指したいと胸に刻みましたよ。それにしても、被害者が割を食ういじめの現実、何とかできないか・・・
やりたいことがなかった少年が、どんどん熱くなっていくさまに魅せられました。全身全霊で盲学校の子どもたちへの将棋の普及に努める教師の熱意にも胸を打たれましたよ。中盤で描かれる彼の幼少からの歩みに、ぜひ注目してください。共助の心を呼び覚ますストーリーから伝わってきたのは著者の本気。主人公の父親の「そんなお前を見ていて、おとうさんファイトが湧いたんだ」というセリフも好きですね。私もこの作品からエネルギーを貰えました!
真っ黒に染まった心を悔いた末の決意、沁みました。切なくて、でも希望の持てる終わり方でしたよ。印象的だったのは主人公こんな心情。「じゃあ、生きるっていうのは、死という終着駅へ向かって進む、電車みたいなもの?その国には何が待っているの?」
「最近、閑古鳥が元気でさ」に吹いた!最初に百人一首にない序歌を読むなど、競技かるたの未知のきまりごとも興味深かったですね。しかもそれがいい歌なんです!宇都宮がゆかりの地だという理由もわかってフムフム。何より聴覚障害の困難や、そこから派生する周囲の大変さには学びがありましたよ。何ごともまず知ることが大事ですし、まわりの人々が抱える苦悩に関心を持つ入口として、最適な本になるのではないかと思います。心のバリアフリーに役立つ一冊ですね。
豆腐に人生を懸ける人々の物語。豆腐屋さんがピークの1/10に減っているという話は衝撃でしたね。私も量産品とは違う“本物”を味わうことで、町の豆腐屋さんを応援してみたくなりましたよ。一生豆腐なら健康になっちゃうって凄い殺し文句。
とはいえ、子どもの立場では関わらないなんて絵空事ともいえますね。教室という逃げ場のない空間に“危ない人”がいれば、普通の子とて扇動者になりうる。誰もが加害又は被害の当事者になることを強いられる。両方になることだってある。じゃあ、運ガチャのような周囲の人間関係でハズレを引いたらどうすればいいのか?答えは容易には出ませんが、終盤の母親の息子への向き合い方は参考になりそうだと感じました。ラストは風速100m級のインパクト!やられたほうが損をする世界は絶対におかしい。まさにその通りだと感じましたよ。
『時計坂の家』に魅せられて児童書ワールドに!
小中学生が読める本を中心にレビューしています。
レビュー先は、読書メーター以外では、
NetGalley、アマゾン、ツイッター、ブログなど。
これらの多層展開で、徹底的に本の応援をします!
【 レビューの広告採用実績 】
本の帯・・・『王様のキャリー』『真実の口』『ぼくの色、見つけた!』『100年見つめてきました』(すべて講談社さま)
WEB広告・・・『藍色時刻の君たちは』(東京創元社さま)、『ぼくはうそをついた』(ポプラ社さま)ほか多数
販促ポスター・・・『トモルの海』(フレーベル館さま)
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明るい終わり方ににっこり。物語の先を想像して楽しくなりましたよ。“あの子”がますます自分色をだして、張り切る姿が目に浮かぶようで。作中で触れられていた『ちいさいモモちゃん』シリーズの3巻『モモちゃんとアカネちゃん』にどんな含みがあるのか、超気になりますね。早速通しで読んでみます。思わず膝を打ったのは「本を薦めるって本当にむずかしい。でも、楽しんでもらえると、とても嬉しいのだ」という言葉。そうそう、そうなんです!